9.《ネタバレ》 本作は、妄想部分を指摘するより現実部分をあげたほうが早いと思う。
そうなると全ての辻褄が合うのです。
トイレのシーンからのワルターとの絡みはエリカ先生の妄想でしょう。あの状況でアレはないし、自宅で母親を締め出すなんていうところもまさしくって感じです。
アダルトショップ、ドラマや映画から見聞きした知識を彼女なりに組み立てたストーリーです。なので奇抜だけどとてつもなく幼い。
トイレでワルターに命令するところはエリカ自身があのように母親から育てられたとこからきてると思う。
たぶんメンタルからくるホルモンのアンバランスで生理も止まってしまっている(コレ、タダ事じゃありません、赤信号。体から出ている悲鳴です)
生理を実感したいからなんだろうけどその発想ですよ、問題は。ラストもそうだけど自傷行為にまで及んでしまっているエリカ先生。自分の存在、生きていることを確認できるのは彼女の場合「痛み」なんですね。しかしそういう自分をひたすら隠すべく鎧でガチガチ、あの無表情と腕組がソレ。
誰か早く気付いて病院に連れて行ってあげてと切に思った次第です。
芸術の才能はあっても、母親の存在と抑圧され壊れてしまった独身中年女の性癖を見せてもらったわけですが、男女関係なくこういう人は特別珍しいことでもないだろうし、だからナニ?
ただこの監督はこういう女に対して見下した感情をもっているのかな。
見守る、認めるとか優しさや愛情がみじんも感じられないのがとても気になりました。というかとても暴力的な描き方です。
妄想部分がすんなり理解できてしまい、意外性が殆どみられないところがわたしにとって大きなマイナスです。でもやはりカンヌが好きそうな映画ですね。