2.《ネタバレ》 ひとことで言うと、詰め込みすぎ。おかげで後半は駆け足で、のだめの心情がコロコロ変わる。これでは説得力がないし、なんといっても見ているこちらが共感できません。ただ筋を追っているという風でした。シュトレーゼマンとの共演あたりまでを中編にして、それ以降でもう一本作る三部作の方がよかったと思います。諸般の事情で無理でしょうが。
よかった点2つ。まずは上野樹里嬢のピアノ(を弾く芝居)。これはもう、“野田恵というピアニストは実在する!”と言っても過言ではないほどの表現。特にラヴェルでのルイとの対比で、それが生きていました。もしかするとテレビドラマ以来もっとも完成されたのが、彼女のピアノかもしれません。もうひとつは、モーツァルトの2台ピアノ。「音楽家とは、音楽を使ってコミュニケーションをとる人である」と考えている私にとって、それを画と音でちゃんと表現してもらえたのは、嬉しいことでした。役者の2人のみならず、実際にピアノを弾いた方にもブラボー!を送ります。それだけに、そこに至るまでの経過がほとんどセリフで説明されているばかりとなったのは、残念でした。