1.《ネタバレ》 法廷劇となる後編は舞台も行動も限定的・抑制的となるだろう。
それだけに各人の所作・視線が劇を形作る。
雨が降り出す中を、娘を追いかけその肩を抱きしめてやる佐々木蔵之介。
家に戻った娘の肩に優しく手をやり、話を聞いてやる夏川結衣。
それら触れ合いの所作は、映画のラストに閉廷後の校庭でしゃがみこむ
石井杏奈を巡っても変奏される。
黒木華の平手打ち。板垣瑞生と清水尋也と間に交わされる握手。
森口瑤子が息子の友達に麦わら帽子をかぶせてやる気遣い。
そんなさりげない動作ひとつの中に各人の人間性を垣間見せるよう演出が為されている。
藤野涼子ら5人が横並びとなって校門へと歩む一つのショットで
「友達になった」ことを示す簡潔さもいい。
元校長である小日向文世に対して生徒達が感謝の意を込めて深々と頭を下げる。
田畑智子もまた、彼の背中に静かに礼をする。
それらの所作が美しい。
そうしたシーンを盛大なBGMで煽る下品な映画が多いなか、
この作品はなかなか節度があって好感を持つ。