5.《ネタバレ》 全3部作の第一章。
漫画の実写化としては、まあまあ成功の部類に入る出来だと思います。
少年時代に作った「よげんの書」と、現実に起きた「細菌テロ」、
謎の教祖「ともだち」と、よげんの内容を知る「かつての旧友(の誰か)」、
それらが本作のクライマックスである「血のおおみそか」に向けて
急激にリンクし収束していき、そして新たな主人公カンナへと
希望のバトンが渡された所で「つづく」…と、
物語が勢いづいた、いい場面で作品は一旦の終わりを迎え、よい読後感?を味わえました。
チョイ役も含め、出演陣が豪華なのも良(竹中直人氏の顔芸が無駄に?発揮されています(笑))。
問題点としては、映画が原作のあらすじを駆け足で追っていくので手一杯なため
登場人物たちのディテール表現が浅くなってしまった点でしょうか。
人物像を掘り下げるためのエピソードや回想シーンが可能な限り削られてしまい
シナリオを進めるためのコマのひとつとしての役割の方が、皆に強く出てしまっています。
また、ともだちの正体を推理するための材料も原作と比べかなり不足しており
加えて多くの登場人物が次々と現れては消えていくので、原作未読の方は混乱必至だと思います。
自分は原作となった漫画は、雑誌連載時に立ち読みで
(飛び飛びながらも)さらっと目を通してはいるので、
大まかなストーリーは覚えてはいますが、細かい部分は覚えていません。
「ある程度の前提となる基礎知識を得ており、かつ、細かいアラ探しができる程覚えてはいない」
…という、自分と同じような「原作うろ覚え状態」の人が
もっともこの映画を楽しめるのだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
ところで、今作は漫画5巻分を2時間超という長い時間をかけて再現しましたが
それでもまだまだ原作を忠実に再現するには説明不足・表現不足な所がありました。
あと2作で漫画19巻分をまとめなければならない訳ですが、大丈夫なのでしょうか?
自分は漫画の中盤~後半が少し冗長に感じたので
映画として不要だと判断されたパートは大胆にバッサリとカットしてもらいたいと思います。
もしかすると、ともだちの正体や後半のシナリオは原作と変えてくるかもしれませんね。