3.《ネタバレ》 歴史スペクタクル、とは言っても大規模な戦闘シーンを売り物にしている訳ではないのですが(チャンバラが多少)、大がかりなセットに大勢のエキストラ、やはりこれはスペクタクル。
イエス・キリストの処刑にまつわるオハナシで、例によってイエスの顔は劇中には登場しません。そして意外にアッサリと処刑されてしまう。その処刑の際にイエスが身に着けていた衣装、「聖衣」がこの作品のテーマ。
イエスは生前、人々の病気を治す奇蹟をおこなった、らしいのだけど、作中ではその奇蹟が直接描かれる訳ではなく、イエスを自らの手で処刑し後に続くマーセラスの苦しみも、聖衣に触れたため、というよりは、聖衣を通じて自分の良心の呵責に触れたため、という描かれ方になってます。キリスト教とは無縁の人間が観ても、納得感がありますね。
ラストシーンで胸を張って処刑場に赴く主人公と、その恋人。彼らの背景が、次第に現実のものから大霊界(?)へと変化していく描写が、これは今見ると少し気恥ずかしいものがあったりもするのですが、しかしなるほど、合成技術によりこういう表現もできるんだなあ。というワケで、この手法は少林サッカーあたりにも影響を与えているのではないか、と(まさか)。
基本は宗教劇なので、活劇の要素は多くはありませんが、ペテロの集会が軍隊に襲われる場面や、終盤の城への侵入シーンなどは、なかなかの見せ場になっています。