2.これは綺譚なんですな。興味本位で語られた話。登場人物は話を面白く進めるためにのみ奉仕し続けるんだけど、じいさんだけが飛び抜けて「人間」が描かれてしまって綺譚の枠をはみ出してしまう。作者の思い入れでしょうか、最後の貴族の風格があって。おそらくアイデアとしては、そういった洗練された貴族趣味と原始のターザンとを衝突させる面白さみたいなものを狙ったんだろうが、こっちの貴族趣味のほうに惚れてしまってる(光抑え目で美しい)。どちらかと言うと否定したく思ってたんじゃないかな、でもそっちに傾いてしまう。否定しなくちゃいけないと思いつつ惚れ込んでる、ってのが一番面白いんだ。『炎のランナー』の監督なら仕方ないだろう。猿の表情がやっぱり微妙に人間の表情。母猿の慈愛とか、矢が刺さったときの驚きと苦痛とか。