9.《ネタバレ》 その中途半端さと結局は勧善懲悪になってしまったのに、
すっきりしない後味はまるで「宇宙戦争」のような脱力感。
これもまたいいんじゃあないかな。
結局のところ私はブラックなファンタジーが好きなのです。
ホラーがもっとあればいいかなとも思いましたが・・
特にラストの猫がくわえたある忘れ物・・
これは「ボディスナッチャー」の人面犬のような悪趣味で、
何回か巻き戻して確認し笑えました(という作業自体悪趣味かも)
監督の趣味の悪い策略にケッとしらけることなく楽しめたのも絵の色のおかげ。
キャストは主役がトム・ハンクスということで期待はありましたが、
このハンクスのこわばった偽善の塊のような演技・・うまい。
「ザ・プロデューサー」のケビン・スペイシーを思い出しました。
演技的にはわざとらしいんで今更うまいのはわかってるってとも思いますが、
仕切り屋、知識ひけらかし屋、うそつきと・・古風な嫌われ者を演じていました。
いい人ばかりを演じているハンクスをよく見てきたので逆に感心。
イルマ・P・ホールおばあちゃんも味があってうまかったのですが、
私がこの出演陣のなかでとくに興味を持ったのが意外と地味な役者。
ツィ・マー演じるベトナム?中国?の将軍。
この役者はなかなか面白く作品の古風さを再現。
古風な脚本と最新の役者と80年代ファンタジー映像の融合が私に合いました。
ハンクスのセリフ回しが舞台的でほとんどがE.A.ポーの詩や聖書からの引用。
ばあさんとのやりとりとかからもメッセージ性を探したのですが・・
結局はこういう普通にコメディでも聖書が出てくるんですよねぇ。
勝手に暴れて勝手に滅びる・・
それは「宇宙戦争」と同じ脱力感。
これがいい。
ばあさんは無防備で中途半端な悪人たちから守られた。
それはこの街の環境に適応できなかった侵入者たちのバカさ。
そして亡きじいさんが制裁をくだしてくれたのかもと、
ちょっとファンタジーが入るあたりに毒の少なさがあり物足りない。
「宇宙戦争」となんの関連性もありませんがちょこっと頭のスミに浮かべてくれると、
笑えないネタも笑えてしまいますよ。
あとDVD特典がよいのです。
ゴスペルシーンや楽器の紹介。
楽器制作紹介はギター弾きには当たり前に有名な人が出てきました。