1.《ネタバレ》 何という微塵の明るさも希望も無く、救いの無い映画か・・・。
実話モノであり、実際に殺人が行われた現場でロケを敢行したという実録サスペンス。
エンターテイメント性を排し音楽もほとんど使われず徹底的に地味に撮られた作品ですが、
実際の犯行現場ロケということもあり、その作風がより重さと気味の悪さを感じさせます。
その現場で快楽殺人を重ねた男を演じたのが後に名監督となるリチャード・アッテンボロー。
感情をむき出しにしたり大声を張り上げたりすることあまり無く
地味に演じていますが、それが余計に形容し難い不気味さを醸し出しています。
もう1人、無実の罪で絞首刑となった若者を演じたのがまだ若き日のジョン・ハート。
アッテンボローの静かな怪演とは対照的な終盤の熱演が印象的。
読み書きもほとんど出来ない無学の若者。妻子を養うに十分な収入を得ることができる仕事に就けない。
そこをアッテンボロー演じる真犯人にいいように利用されてしまう。
ずさんな取調べと裁判を経て殺人犯にされ死刑を宣告されてしまう。
本作が製作された頃にはイギリスではもう死刑制度は廃止されていたのでしょうか。
この青年の運命は様々な問題を提起しているように思えました。