8.《ネタバレ》 凄い映画だ。特撮でテクニカラーは今回が初めて。合成とか考えたらミニチュア撮影は固定も多いから重いテクニのカメラには都合がいいところ。
タコみたいな火星人の襲来という今では冗談としか思えないようなファンタジーも後々それ自体がカルチャー化することを考えると単なる失笑ポイントではなくなる。これは、発明だ
そういった原作・プロットを含めてこの映画は後世に大いなるフォロワーを生んだ。シリーズ化したゴジラはかなり本作の流れを踏襲しているし
未知なるものの襲来といったら、はじめはこの映画の模倣から入ってあとは流れでお願いします、といったような定石が出来あがっている
電子的なSEは味があり、パターンのような音色の懐かしさに感動する。スターウォーズのレーザーの視覚と独創的な効果音も本作のフォロワーと言ってしまって差し支えないだろう
最初の被害者三人がやられるシーンのあのビジュアル、なかなか面白い。ダイナミックな演出だ。
70年代に昔の映画としてテレビで見た際にはあまりに映像の出来が良いので、子供ながらに洋画のもつ無限とも思える可能性に、外国を羨ましく思った
たしかに、若い世代が観たら映像もお話もショボイと思うだろう。黎明期特撮のままならない制限を思えばこそ、生まれるアイデアと努力の結晶に感動できるといわれればそのとおりだ
同時に、CGで世界観を細部に至るまで作りこまねばならない現在の特撮の苦労にも目を向けていくべきだ
提供されるビジュアルよりも語られる事件が大きいと思われる場合、人はバランスが悪いと感じる。画がないのにセリフで状況説明という手法を嫌うのはその為だが
世界中が攻撃されて次々と陥落していく状況は描写していたら時間がどんどん長くなってしまうから、断片的な場面の挿入でうまく処理できればというところ
その挿入カットはやや、物足りなさがあった。アメリカ国内のことはよいが、世界中となるとやはり描写が足りなく感じた
しかし、あのある意味あっけないとも思われるオチは、ちょい見せ的で人格を感じさせない火星人のビジュアルとSFというジャンルを考えると
丁度良い落としどころで、スカっと終われる、ゲームに求めるような余計な粘りのない、良い切れ味であったと感じる