2.《ネタバレ》 「家庭ではお人よしのパパが、会社のためとなると犯罪同然の行為を平気でやって他を押しのけようとする」「人間は組織の中に組み込まれると怖いほど凶暴になれるものですね」と嘆く高橋悦史が、ラストでファミリーのために凶暴化する。娘婿という微妙な立場だが、彼の行動は組織のためではなく家族のためなのか?この中途半端なポジションと彼の心情・行動にとても興味が沸く。
結局ヤクザも組織人であり、使い捨てなのは会社員と一緒。たとえ組織のために凶暴になっても役に立たなければクビになる千葉真一。「わしはもうあほらしくてやってられんわ」はリストラされたサラリーマンの悲哀そのもの。佐分利信を守るために苦渋の選択で解散を決意する鶴田浩二だが、最後は家族愛?に負けて殺される。任侠映画を見慣れていると、現代ヤクザの武闘派TOPが鶴田浩二というのはどうも違和感あったのですが、こういう理不尽な結末を迎える悲哀ある男を演じるのであれば納得の配役で彼にしかできないでしょう。
どこまで史実なのかわかりませんし、ちょっと駆け足でストーリーをおいにくい所はありますが、40~50年前の日本は政財界ヤクザの癒着がここまでだったのかと思うと、隔世の感があります。ヤクザも形を変えつつ生き残っているとはいえ、社会から締め出されて行き場を失っている事の問題もあるのかと。