14.《ネタバレ》 売れない芸術家問題を自虐的に描く様はコメディなのか?単なるイタイ人を嘲笑しているのか?中盤は単調でややダレルし、夫婦愛というオチは平凡にも思える。しかしながら、「理解者は1人いればよい」というある種の人生の真実を語っているとも思われ、芸術家に限らず「人生とはなにか」という普遍的なテーマに見事に落とし込んだとも言えるのかもしれない。 【東京50km圏道路地図】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-07-14 11:21:44) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 後半の、はちゃめちゃ芸術人生は、コメディ色が強くなり、それほど感じ入るものはなかったが、前半から中盤にかけての芸術への傾倒の過程をブラックユーモアたっぷりに描いた部分は、ほんと面白かった。 直接的なギャグではなくて、武や武映画を好きな人なら微妙に分かるという、微妙な感じのギャグが満載。 とにかく人が次々に簡単に死んでいくところなんかは、いつもの武映画。 寺島進のヤクザ役カメオ出演も印象大。 豪華な役者陣を贅沢に少しだけ出演させて、流れるようにストーリーが進んでいくのも小気味いい。 でも一番印象に残っているのは、汚い工場で事務員として地味に働く麻生久美子。 こんな仕事場で腐り気味に働いている状況で、地味に美しいこんな女性がいたら、まさしくイチコロだろう。 しかも相手からアプローチ。 これは一種の夢物語だ。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-06-27 00:07:00) (良:1票) |
12.キタノ映画ファンという視点から言えば、今までになくフツーな映画だった。内容がというより絵作り、音作りにおいて。 カット割りやカメラワークが巷にあふれるテレビドラマのように平凡で、今までの(特に初期の作品のような)ハッとさせられるような瞬間がひとつもないまま終わる。観客に対してわかりやすくするためだけに安っぽい絵作りにあえてする必要があったのか大変疑問だ。 とはいっても、たしかにこの映画は紛れもなくキタノ映画。北野武にしか撮れない類の作品だと思う。次に期待を込めてこの点数。 【とと】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-09-24 19:54:25) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 一人の才能無い画家の奇行について、少年・青年・中年時代をそれぞれ3人の俳優が演じる。やがて妻となる良き理解者と出会い、売れる絵を描くために二人でおバカなコトばかりする。ボビーにどつかれまくるカナコちゃん。生死の境を垣間見るために、自宅風呂でカナコちゃんにおぼれさせられるタケシくん。娘の遺体の顔に口紅を塗りたくるタケシくん。狂おしいほど一生懸命なんだけど、方向性がだいぶんズレているんだよね。笑えるよ。良作。 【獅子-平常心】さん [DVD(邦画)] 7点(2019-08-04 04:07:05) |
10.《ネタバレ》 アートは、一体、人生かけてやるほどのものか? この映画ののなか、一番の悪は、画商である。 人生かけて作品つくっている作家に、商売上のアドバイスを 軽い気持ちで送ったりする。 あの少年が、いい師匠に出会わなかったのも、不運である。 これはコメディなんだから、と言えない、色々考えさせられる武の映画である。 たけしさんが、テレビのバラエティで体張って、笑いをとっていたのも、 どこかでアートとつながるものを、笑いに見出そうとしていたからだろう。 でも、最後の字幕の文字の、文字とは言えない文字には、笑った。 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2018-07-11 15:38:59) |
9.《ネタバレ》 久し振りに観た北野武作品。 結構考えさせられる。芸術は紙一重で、それをちょっとコメディ化して上手く表現していると思う。一度のめり込んだら絶対に離れられないのが真の芸術家ということか。 中年になった主人公がたけしというのは最初違和感あったが、最後はすんなりきた。 【simple】さん [地上波(邦画)] 7点(2014-01-05 19:13:49) |
8.《ネタバレ》 私は全く芸術に疎いんでよく解らんけど、芸術家の人って多かれ少なかれ一寸常識からズレてる所がありますよね。 有名どころでは、故・岡本太郎氏なんか見るからにそうだったし、だからこそ常人には生み出せない作品が出来るんでしょうし・・・ そんな部分が単純に描かれている映画だと思いました。 劇中の、あらくまさんファミリーの絵画がツボで、3日間頭から離れませんでした。 真知寿(実際は武本人が描いているんですよね?)は、私の中では天才です。 【ぐうたらパパ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2013-11-16 17:23:32) |
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7.《ネタバレ》 分からないのは、絵で世に認められたいのか、描き続けられれば満足なのか。また、シャッターペイントされた商店街の皆さんに、「あいつら、芸術が分かってないんだよ」。言葉数が少ない主人公が、絶対言わないセリフです。必ず否定されることが分かっているのに、足繁く怪しい画商のもとに通うシーン。理解者が欲しいのだとは思うが、画商にこうまで振り回されて、なぜ絵を描き続けられるのか。唯一無二の人に去られて、空き缶に20万円の値段を付けるシーン。正気を失い、缶にそれだけの価値をみたのか、今までのことを否定しているのか。空き缶を放り投げるシーン。絵を描くのをやめたのか、そうじゃないのか。そもそも、なぜ「アキレスと亀」。でも。分からないことづくしなんですが、ろくでなしの真智寿のことが気になってしょうがない。つまり、うらやましいんです。北野作品はバイオレンスなヤツより、この系譜の方が好きです。また、こんなの撮って欲しい。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-11-18 11:29:17) |
6.《ネタバレ》 悪くなかったと思います。芸術なんてものは認める人がいてこその形のないもの。価値が出ないものはすべからくゴミ。価値が出るかどうかは本人が才能と運を持ち合わせているかどうか。芸術家という職業を少なからずドライな目線で描いているんだけど、一抹の哀しさを添える手腕は北野監督、さすがといったところでしょうか。芸術という形のないものを求めるあまり娘の死体に口紅を塗りたくり、妻に罵倒されるといったシークエンスは心にくる物がありました。ラストの空き缶のシーン。「妻の愛情だけはいつも手の届くところにあったんだ」と気づいて、妻に対して手を伸ばす夫。しつこく戻ってくる芸術という夢の残骸を蹴り飛ばし、決別する妻。本作の締めくくりとしてこれ以上ないラストシーンでした。 【bolody】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-08-10 00:23:33) |
5.すんごく大人しい主人公だったのに、中年になったとたんビートたけしになりましたね。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-06-30 20:10:24) |
4.《ネタバレ》 「芸術」に憑かれた男の巻き起こす悲喜劇を、北野監督らしい観点から切り取った良作だ。この映画から感じられるのは、彼の「厳しさ」である。やっぱり自分の力で名声を勝ち得た人間の考え方は違うものだと思った。この作品で主人公の真知寿と関わった者の多くが非業の死を遂げている。少し大袈裟に言えば、彼の父、娘や美術学校の仲間は芸術(もしくはその申し子である主人公)に殺されたようなものだ。その主人公には才能が無い(と描かれている)のだから更に始末が悪い。彼らの死は犬死と言っても過言ではない。しかし、北野監督の視点には、ユーモアこそあれ彼らへの同情はほとんど無く、淡々と彼らの死を見つめるのみだ。監督にその点を質せば、「芸術とはそんなものだ」という実も蓋も無い返事が返ってくるのだろうが、私も全く同感だ。ひたすらに何かを追求することは独善的に生きることも意味する。それも仕方が無いことだ。しかし、同時にそれはどこ悲しい。人間じゃないものを愛するのは無理だ。幸子は根は温かい真知寿のことを知っているから、その彼のことを好きだったから、彼を一度は見捨てながらもラストで戻ってきたのだろう。芸術の愛情に対する敗北ととれるラストには賛否両論あろうが、私はこの結末でよかったと思う。「アキレスが亀に追いついた」という最後の言葉は、芸術を極限まで追い求める激しいが満たされない真知寿の生き方と、彼の思いは理解しながらも最後は常識的で愛情に満ちた現実世界に帰って行った幸子の生き方を比喩的に表した名言だ。 映画のコピー「スキ、なのに。スキ、だから。」からすると、配給会社としては一種の恋愛映画として売ろうという思惑もあったのだろうが、この映画は真知寿と幸子の二人から夫婦愛の素晴らしさだけを描こうとした映画ではない。そもそも主人公の少年時代に割かれる時間がかなり長いことからも明らかだ。身も心も何か(この映画では芸術)に捧げ尽くすことの功罪、その悲しさやおかしさをリアルに描いたこの映画はもっと深い地点まで到達している。作品内に出てくる彼の手に成る絵画も含め、「さすが世界のキタノだ」と改めて納得した。 一点だけ疑問があったのは主人公の子供時代の描写で、先生が「分母を同じに『してあげる』」という言葉遣いをしていたこと。戦後間もない時代にそういう言葉遣いがされていたのか、細かい部分だがちょっと気になった。 【枕流】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-04-30 13:35:10) |
3.いつものごとく笑いの部分はあるが、ストーリーから脱線させる事はなく、むしろ映画全体を重厚にしていた。今まではどうしても笑いの部分だけ浮いてしまう所があったけど、この作品ではそれを感じなかった。観終わってみれば、素直に良い映画だなあと思った。 【Yoshi】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-03-16 23:39:19) |
2.戦後の高度成長期にウマい事やったんだろうなぁ、と思わせる田舎の成金趣味の家に生まれた男の少年期から中年期までのお話。相変わらず随所に「毒」があり「死」がすぐ間近に感じられる作風だった。生死は表裏一ってのは一貫してますね。 自由気ままに思うように創作活動する真知寿とそれを支える妻幸子。売れようが売れまいが好きな事をしている映画監督北野武とそのファンという図式にもはまるかな。描写がいろんな解釈をすることが出来るので好きに解釈してみるのも楽しいかと。 天才と馬鹿(天才と狂気など色々ありますけど)は紙一重といいますね。一般的には結局お金がついてくれば天才(成功)なんでしょうけど本人にとっては好きな事を出来ていれば取るに足らないことなんでしょうね。振り回される方はまいっちゃうけど。 【ロカホリ】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-09-26 23:37:47) |
1.北野監督はまだ1本しか観てなかったので、とても興味を持って鑑賞しました。 絵画に生きる男の一生(絵画に生きるしかなかった?)の物語。少年期・青年期・中年期と三期を演出していて、フィルムの質感がそれぞれ変えていたのが面白い。 少年期に神童のような扱いをされ「僕、画家でやっていける」と思ったが、売れないまま成長し生きていく。親が死のうが、娘が売春しようが「絵画の道一本!」。樋口可南子と取り組む姿は時にユーモラスに時に痛々しくもある。 これは監督の映画監督人生・決意になぞらえていると考えるのは余計だろうか? 少年、青年の主人公が自分の意思で動こうとせず、何か傍観・浮遊しているような姿がそう感じさせるのですが。 その他いくつか感じる点があり、特に人の死をいとも簡単に、「生きている世界」と同等に描いているなあと強く感じ、他の監督にはない演出に思えた。 台詞・場面の省略もかなり特徴がある。前触れもなく、画を「バッ」と見せる手法は監督の持ち味なんでしょうか。 そんな手法でもって描いた少年期・青年期は情感溢れて良い味があったのですが、後半はその波長が大きく乱れた印象です。まったく、別の作品?と思ってしまいました。 「あんたフェリーニか?」と一瞬よぎりましたが、これは私の感覚がズレているのでしょう。でも、主題は一本であれ、一本の作品としての違和感は拭えない。 作品自体を幸福と取るか取らないかは分かれると思う。 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-09-22 21:50:30) |