1.タイトルはおそらく“ゾネンシャインの子孫”という隠喩だろうか。本作はそのゾネンシャイン家の親子三代を通しての、ハンガリー激動の近代史を描いたもの。常識的な感想としては、長尺でありながら一大叙事詩としてよく纏め上げられている。が、しかし3時間という上映時間の中にエピソードを詰め込みすぎた為か、場面展開が目まぐるしく変わり、“何故”という疑問の余地を挟むことも、また余韻に浸る間もなく、ストーリーは忙しなく流れていく。だから話の繋がりが解り難く、肉親や家族らそれぞれの登場人物の描き方やその消息など、実に曖昧な印象となってしまっている。おそらく実際はもっと多くのエピソードを入れたかったに違いない筈で、いっその事あと1時間ほど長くしていれば、もっとゆったりとスッキリした作品になっていただろうに。なかなかの力作であり、またレイフ・ファインズが見事に三役を演じ分けていただけに、惜しいと思う。つくづく長編歴史ドラマの難しさを感じた。