1.米Screen Media版 Blu-rayで鑑賞 (2019年10月8日に書いたレビューです。)
ドン・キホーテに着想を得た夢とも現ともつかない物語。というと如何にもギリアムらしいのだが...
ビジュアル面では (類似点の多い)『バロン (1988)』の豪華絢爛さとは対極。とてもストレートでシンプルな絵作り。
ギリアム作品の集客 (一般ウケ) のポイントは、奇想天外な物語。そして、凝りに凝ったビジュアル (だと思う) それ故に、今作の一般ウケは望めないかも知れない。
そもそも、初期の構想では世界を股にかけた壮大な物語になる筈だった...が
製作上の苦難・災難の数々が発生し、それ自体がドキュメンタリー映画『ロスト・イン・ラ・マンチャ』として公開されることに。
黒澤明 然り、年齢とともに監督が映画に注ぎ込める熱量は自然と落ちてくる。
今回ギリアムは、それとは別の問題で妥協してしまったように見え、完成を祝うと同時に彼の運の無さに同情してしまった。
とは言え、満足とまでは行かないが、ギリアムらしさが感じられるファンタジックな作品であることは確か。
“受け継がれる夢想家の魂”とで言うべきか、ギリアムらしいテーマにも共感できる。
アダム・ドライバー、ジョナサン・プライスの熱演も光っているし、良いタイミングでの日本公開を切に願う。
2020年1月30日《追記》
同じくアダム・ドライバー熱演の某銀河大戦完結編と公開を合わせた日本公開に、お見事!と言いたいが、本質を無視した予告編には納得できないのでチャラですね。