4.浮世の世界に独り生きる女を徹底的にドライな視線で描いた作品。
地味な味わいながら、実にリアルにその世界が描写されており、川島雄三監督の社会派劇を撮る巧さというものも堪能できる佳作である。
結局、最後に損をするのは女の方で、男は勝手気ままに生きて、それで最後は女を捨てて去っていく。
どこに去っていくかと言えば、あの世であり、結婚であり、飽きて他の女の所へ行くのであり、様々だ。
いずれにしても、水商売という世界、そしてそこに関わる男達は、一時の享楽しか味わうことができず、安定した幸福感というものは味わえないんじゃなかろうか。
しかし、かく言う私も、そういう世界に身を置きたいという欲求があったりして、なかなか理屈一辺倒では割り切れないのが、この世界である。
そういったやり場のなさというか、世の常というか、人生の儚さというか、浮世の世界に生きる男女の鬱憤みたいなものが、ジメジメとした感じで実にリアルに伝わってきた。
そういう意味では、川島雄三監督の手腕が遺憾なく発揮されていると言えるだろう。