2.プロットから「民間人を誤射した兵士の苦悩」が描かれるのかと思ってたら、キム・ギドクがそんなありきたりな映画を作る筈も無く、チャン・ドンゴン演じる劇中の兵士は苦悩こそするものの、そこから一気に狂気へと走っていく。恋人を目の前でバラバラにされた女も気がふれ、やがて駐屯地から地域全体へと狂気が蔓延し始める…。通常のギドク作品は個の奥底に潜む人間の本能を描く寓話から普遍性を導き出してますが、本作はかなり社会性を持った「韓国映画」になってました。海岸線に戦場を「作り出し」、殺した相手が同胞の民間人でも兵士を表彰する軍隊。南北の軍事的緊張感が国中に広がり、徐々に国民をパラノイア化していく恐怖。本作は「グエムル/漢江の怪物」なんかとは目線の高さが違います、7点献上。