1.《ネタバレ》 頭と心をフル活用する濃厚なドラマは勿論大好物ですが、そんな映画ばかりでも困ります。3食ステーキは御免です。箸休めが欲しいとき(なんて言いつつ、箸を休めている時間の方が長いですが笑)、私の定番チョイスと言えば邦画ホラー。お手軽、お気軽なB級映画をツッコミながらのリフレッシュが希望。ところが当てが外れました。まさかこれほど難解とは。思わず2回観る羽目に。それでは、稚拙ながら私の解釈を。見当違いはご容赦ください……。時間軸が弄られている事、また可能性や幻想が映像情報として提供されているため、そもそも混乱し易い構成と考えます。中でも、須賀が津田を手にかけた瞬間には面喰いました。彼が10年前の殺人犯?まさかタイムワープ??でもあれは単に須賀の悪夢と考えるのが妥当でしょう(爪で別人と判断)。須賀が本当に殺したのは、おそらく妻と息子。だからラスト、2人は揃って藁人間に変わっていた訳です。この町に巣食う異形の者(すなわち藁人間、ハンマー女、マスク男、半身人間、そしてオチョナンさん)は、全て死者が変化した物の怪と解すると腑に落ちます。行方不明となっている洋子の兄はオチョナンさんに、母親は腕を失くしたハンマー女に変化。マスク男は津田パパ?そこで、ふと気づきました。怪事件の中心に、いつも“ある女性”が居たことに。実はそのヒントも数多く出されていました。シュールな看板『フランス語』が指示すのは、ファミレスの店名『Moncheri』=私の愛しい貴方。思い起こせば惨劇の餌食にあったのは、特定の“ある女性”が愛する人が中心。さらに“ある女性”は、死期が近い人が分かるとも口にしていました。それはそうでしょう。当人が邪気の塊。近づく者は命を落としかねません。オチョナンさんを引き寄せる三つ目シールを貼っていたのも彼女の仕業かもしれません。さらに踏み込むなら、一家惨殺の唯一の生き残りが真犯人なんてことも。謎の目玉は、死者の魂。あの世に辿り付けなかった魂は、物の怪に変化したのでしょうか……。黒沢清監督の『回路』の衝撃には及びませんが、久々に難解系オカルトホラーの当たりを引き当てた感じ。裏読みをするのがお好きな方には、オススメ出来るかと思います。