3.1981年なのに白黒スタンダードサイズには驚いた。さらに、ドリフのコント並みのドタバタコメディ。その上、設定やストーリーが、そりゃないでしょうと思わず突っ込みたくなるほど荒唐無稽でメチャクチャ。でも、芸達者な役者がオーバーアクションを真面目に演じて、ストーリーのテンポも良くて、メチャクチャでも違和感なく一気に見られる良質の娯楽映画に仕上げられている。有り得ない設定、行動なのに何故か説得力があったり、登場人物に妙に思い入れしてしまうのは、脚本の練りこみ、監督の力量、役者の個性の成せる技。敢えて白黒スタンダードにした意味は分からないけど、カラー、ワイドでなくても充分に面白い映画であることは確か。物語が一気に収束に向かうところの畳み掛けや、ラストの複雑な余韻も岡本監督らしさが充分味わえる。