7.《ネタバレ》 うん、この終わり方でいいんですよ。ただ、あそこでビル・マーレーの実の息子を出すのは、ちょっと反則技、楽屋落ちが過ぎると言うものです。マーレーは確かに上手いのですが(特に目線の動かし方は、もうサイコー、名人の域に達しています)、キャラがどこか『ロスト・イン・トランスレーション』とかぶっていて、彼はこれからもこういうオフ・ビートな役柄を期待されてしまってちょっと可哀想でもある。私はこの映画けっこうツボですが、なんか今までのジャームッシュとはちょっと作風が違うなと感じました。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-14 00:34:41) |
6.《ネタバレ》 面白かった。女性たちとの再会もなかなか味がある感じでよかったし、ラストはもしかしてここで終わるんじゃ…終わった~って感じだったんですけど、その前の主人公の過去は変えられない、未来はどうにでもできる、重要なのは現在、みたいな台詞と最後にその「現在」をつかみ損ねて呆然とするってのはなかなかよかったです。 |
5.《ネタバレ》 この(物語的に)楽しそうな設定と主演がビル・マーレイ、これだけでもうOKです。どんな筋書でどんな結論でも、つまらなくなるわけがありません。しかも、最初の1人は案外いい感触だったのが、進むにつれて冷たさ度が増しているのが笑えます。ラストは一瞬あっけにとられましたが、よく噛みしめてみると、いろんなことを後から考えさせるなかなか洒落た締め方ですね。ちょっと残念だったのは、ジュリー・デルピーとジェシカ・ラングの顔つきが、なぜかいつもと全然違っていたこと。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-12-10 03:20:02) |
4.口数こそ少ないが女性にはことのほか優しく、いかにも頼りなげだが、それでいてどこか放っては置けない。女はこういうタイプの男に惚れやすいのか。しかし、男の優柔不断な性格が災いして、結局別れるハメに。泣いた女の数は一人や二人ではないのである。そして今日もまた一人、彼の元を去っていく・・・。プレイボーイを自認し、数々の女性と浮名を流してきた主人公も中年期を過ぎ、孤独な日々がただ虚しく過ぎていく。それでも未だに女性にとっての理想の男性像を追い求めている男は、自分の殻の中から抜け出そうとしない。その姿には哀れさが漂うが、隣人すら放っては置けないのだから、お節介と言うより、やはりどこか憎めない、愛すべき人物なのだろう。そんな彼がある事をきっかけに、数人の元カノたちと再会する旅に出る。手土産として胸に花束を忘れないところなどは、伊達男いまだ健在である。しかし、感情を露わにせず、終始無表情な主人公とは対照的に、女たちの感情の起伏は激しく、反応も様々だ。若かりし頃を懐かしみ、ヨリを戻してもいいような素振りを見せる女から、困惑するばかりで、突然の来訪にいかにも迷惑だと言わんばかりの女。あるいはまったく相手にされないばかりか、恨みつらみをぶちまける女まで、その生活力の差や幸福度も然ることながら、当時の“新密度”や“別れ方”までもが瞬時に透けて見える。それぞれの場面でのセリフの間合いや空気感、女たちのアンサンブルの面白さが本作のポイントだが、やはり主人公のドンを演じるB・マーレイのダメ男ぶりが最大の魅力の作品だと言っていいだろう。永年培ってきたコメディアンとしての彼独特のおとぼけぶりが、歳相応のひとつの味わいを醸し出せている。演技派として近年とみに心境著しい、今が旬の貴重な俳優である。長い歳月が過ぎ去り、歳を重ねた彼女たちと再会を果たしたことで、我が身を振り返り、男としての責任の重さと痛みをヒシヒシと感じ始める主人公。人生は長いようでいて短くもある。男が、そして女がいつまでも変わらずにいられるのか・・・。 「時の流れの残酷さ」という自明の理をしみじみと感じさせてくれる好篇だ。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-09-17 23:59:40) |
《改行表示》3.あんなに気まずい旅、面白くねえわけがねえ!でも当事者にはなりたくねえ。 ビルマーレーの表情は何で出来ているんでしょうね。物悲しくもあり、こっけいである。観ていて飽きない。すばらしい。 |
2.《ネタバレ》 個人的にはジム・ジャームッシュは当たり外れの激しい監督。でもコレは面白かった!かなりツボでした。ほんとに金持ちなのか?と思わせる居住地の雰囲気と自宅、隣人のウインストンのオタクなお節介、「ピンク」へのこだわり、二本ラインのジャージ、あの息詰まるような夕食。訪ね歩く過去の女たちというのがまったくちがうタイプというのもいいね。ジェシカ・ラングの死んだ愛犬が黒毛のうえに名前がいい、ジョンストンにジョンソンと全編にちりばめられた「ネタ」のおかしさよ。シャロン・ストーンが登場した時のヴィトンのバッグとサックスブルーのジャケットを見てちらりと「カジノ」がよぎりました。諦め、無気力、無愛想、無感動の中にフっとしたおかしさのあるビル・マーレーの芸風が最近好きになりました。 【envy】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-05-02 23:16:46) |
1.《ネタバレ》 刑事ナッシュもといドン・ジョンソンもといドン・ジョンストンは無気力、無口、無表情で劇中一切笑顔を見せなければ怒りもしない。さらに一財産築き昔はプレイボーイという設定。そんな捕らえ所の無いキャラクターだがビル・マーレー(最近どんどん良い俳優になってる!)が演じているせいか何処かトボケていて可笑しく、情けなくてそのうえ哀愁を感じさせる。作品自体も相変わらずのハイセンスさで、手紙のピンクの象徴が象徴を生み出し憶測が憶測を生んでいく母親探しもなかなか面白い。だが、映画はヒントを散りばめながらあらゆる答えを出さない。彼女のうちの誰の息子なのか、ただのイタズラだったのか、それとも思い出し忘れた別の女の息子なのか…。さらにサンドを奢った男が息子なのか、カルバンクラインのモデル風の男か、ジャージを着たむさい男か、それとも全く別にいるのかいないのか…。またドンは過去の栄光にすがるようにドン・ファンの映画を観ながらソファーでダラリのカウチポテト的生活から脱却できるのか…。そしてブロークン・フラワーズとは他人から見れば微妙な生活を送るドンの昔の彼女たちのことなのか、それともドン自身のことなのであろうか…。答え欲しがりの私としてはこの結末はハッキリ言って消化不良でないわけではない。しかしこの旅でドンはある意味彼女たちの〝過去〟(思い出)と〝未来〟(過去からの変化)と〝現在〟(現状)を目にしたとも思う。過去よりも未来よりも現在が大事だと悟る旅は自照の旅でもある。自分の人生、時の流れを我に返って感じさせる本作は観ると何だかとっても胸が詰まるのである。 【ミスター・グレイ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-05-01 18:05:52) |