2.《ネタバレ》 やっぱり、このキャラクターたちに会えるということ、それだけで嬉しいのです。
アニメだと平然と同じことを続けられるのでしょうが、キャラクターの性格や役割を極力維持しながら、リアルに歳をとっていかなければならない脚本家の苦労は並大抵ではなかったでしょう。
前作では新しいキャスト、新しい役職にやや違和感を持ちながら時代が変わったような印象を受けましたが、その続きになると、新しい布陣もこの世界に馴染んでしっくりとしています。テレビの良い所でもあるし、悪い所でもあるのですが、続けることって大事なことだと思います。自分は初めて「踊る」に接した時、批判的だったのに、映画もテレビのDVDも、ずっと見ているといつのまにかキャラクターたちが大好きになっている自分に気づいていました。
初めて映画第1作で「踊る」に接した自分は、ギャグのセリフのの変な「間」に耐えられなかったことを思い出します。
今では悠々とこの変な「間」を受け入れて笑える余裕が出来ていますし、「踊る」でしかこのベタな演出は笑えません。
今回も青島がラスト近くで決め台詞的な言葉をチラッと吐くのですが、その言葉、権力批判をスパイスとして効かせながら、「和」を軸に描いてきたこのシリーズの作り方の考えともオーバーラップします。
自分はかつて映画として高度であることが最も正しいと思っていましたが、キャラクターが愛されているか、その生活空間が楽しいか、ハッピーエンドであるか、そこに重きを置いてきたからこそ、このベタベタな演出の作品が続けられたのだと思います。「正しい」だけでは成り立たない世の中の事情をこのシリーズが体現しています。
今やミーハーなファンの自分としては、多くの人が思っているであろう決着してほしい部分はネタバレであえて語りませんが、欲を言えばキリがないのでこれで終わりです。
観た後、もっと一緒にいたい、次も観たいし次も同じシチュエーションを楽しみたいと寂しい思いをさせるということは、「男はつらいよ」に匹敵する偉業のように思います。