2.ある人が成瀬監督の映画を、どこから始まってもどこで終わってもおかしくない映画と言っていたのを思い出す。この映画にしてもしかり、父親が違う姉妹と兄という環境に至った経緯にさほど深入りすることもなく始まり、この映画の中で起こったいろいろなことの結末が描かれないうちに終わる。淡々としていて平凡ではなく、一見どろどろとしているようであっさり描かれる。それが魅力の成瀬映画、大変好きだ。
中北千枝子演じる愛人が出るところに出てと言っていたが、どうなったのだろう。清子さんの引っ越し先の隣人香川京子の兄を演じる根上淳とどうなっていくのだろう。などの余韻を残しながら終わるのが実に良い。
ところで2階に住んでいた娘さんが聴いていたレコードの曲と隣人の兄妹が弾いていたピアノの曲は同じに聞こえるが何という曲だろう。映画のBGMとしても流れてロマンティックな雰囲気を醸し出している。実に印象的。