5.GYAOの無料動画で視聴。すでに18年前にレビューしていたことはおろか、二度目の鑑賞だったことにすら気づかず、最後まで初めてのつもりで観てしまった(笑)。われながら凄い記憶力の無さ…。
二作目は三隅研次です。キレッキレのシャープな構図がいちいちカッコいい。お姫様の祈りと涙が大魔神を突き動かす設定は前作と同じで、やはりこの神様は「信心の有無」で善悪を見分けているのだということが明確になる。十字架ごと持ち上げられたときの藤村志保の恍惚とした表情にも説得力があります。とりわけ今回は、最後にお姫様の涙が湖に溶け込んだことで、湖の神様との精神的な一体性がより強まっている。
チャンバラの見せ場もあります。大魔神への縄攻めが裏目に出るのは前作同様のお約束だけど、火薬による爆破攻撃もなかなかの見どころだし、船の帆によじ登った敵の親分に縄が巻きついて火あぶりになる最後の演出は、いかにも三隈研次らしくてケレン味たっぷり。
細部にツッコミどころがないとは言えないけど、全体的な設定に矛盾は感じない。たんなる二番煎じではない面白さがあるし、二作目としては十分に成功しています。湖が十戒みたいに割れるのも悪くないし、前作のUFOみたいな火の玉が出てこなかったのはむしろ前進。
18年前には7点つけていたのだけど、8点に格上げ。
【以下は18年前(ビデオ鑑賞)のレビュー】
もしアメリカ人に「GodzillaとDaimajinはどっちがスゴイか」と聞かれたら、絶対、「佐々木のほうです」と答える。東宝と大映の差でもあるけど、大魔神には、時代劇的な情緒感があります。『ゴジラ』も悪くないけど、あれはどっちかっていうと「科学映画」ですよね。それに、ゴジラはデカすぎて、かえってリアリティが無い。大魔神は、目の合うくらいの高さで迫ってくるから、ほんとうにむこうから歩いてくるようなリアリティを感じる。鎌倉の大仏さまを初めて見たときのような、微妙に大きさの感覚が幻惑される感じ。これは、怪獣映画にとってとても重要なことなんだけど、ゴジラにはそれが感じられないです。日本映画は大魔神のようでなくちゃいけないです。
これはシリーズ2作目。豪快で明快な怪物映画の中に、三隅研次一流のありえない演出の妙や奇特な映像のエロティシズムが加わってて魅力的。同時に、三隅作品として見るならば、大魔神の豪快さと明快さによって、彼の奇特な映像エロスに偏りすぎていないところがちょうどいい。そんなわけで、いっぱい楽しめます。