24.《ネタバレ》 「八十日間世界一周」をジャッキー主演で映画化したという、正に夢のような映画。
その分、ちょっとファンタジー色が強過ぎるというか、映画版「八十日間世界一周」(1956年)のリメイクと考えたら違和感が大きいけど、自分としては満足でしたね。
あくまでも、ジュール・ヴェルヌの小説を翻案した「ジャッキー映画」として楽しむべきなんだと思います(エンディングのNG集は無いけど)
物語の大オチ「日付変更線を越えたから期限に間に合った」は変えてないし、世界一周の旅を通して「金や名誉よりも大切な人を得る事が出来た」という、原作で一番大切な部分を、きちんと踏襲しているのも嬉しい。
随所にアクションも盛り込まれているし、急造飛行機以外にも「色んな機能を備えたステッキ」「車輪を付けた靴」など、ワクワクさせられるアイテムが揃ってるのも良かったです。
主人公格のフォッグを発明家キャラにした事に、ちゃんと意味があったと思います。
ゴッホやライト兄弟にウォン・フェイフォンなど、史実におけるビッグネームが登場する事と「俳優としてのビッグネーム」が登場する事をシンクロさせている作りも面白い。
この辺りは「さりげなくスターを出演させる」という1956年版の遊び心に通じるものがあるし、ただ真似をするだけでなく、一歩先に進んでみせた感もありますよね。
特に「ジャッキー・チェンとシュワルツェネッガーの共演」には胸躍るものがあって、本作が「夢の映画」である事を実感させてくれました。
万里の長城を徒歩で移動する場面なんかも、旅映画らしい切なさを感じられて好きだし、パスパルトゥーの故郷の描写も「懐かしき我が家に帰ってきた……」って感じがして、良かったですね。
敵と戦っている内に、自然とキャンパスに絵が完成しちゃう場面も可笑しくって、コメディ部分としては、ここが一番お気に入りかも。
そんな具合に、様々な長所が備わっている映画なんですが……
・船を材料として提供した船長達が、その後どうなったかについて描かれていない。
・「また腕が取れた」と笑いを取って終わるのは、ちょっと微妙。
といった具合に、終盤において短所が目立つのが残念ですね。
最後の最後で、テンションが下がって終わっちゃう形。
これって「終わり良ければ全て良し」の逆の現象であり、作品全体の印象も微妙なまま終わっちゃう訳だから、凄く勿体無い。
せっかく旅の途中までは楽しかったのだから、その勢いのままハッピーエンドまで駆け抜けて欲しかったものです。