64.合理性・柔軟性を欠いた精神主義と形式・規律主義とによって軍を差配する主人公に対して、たとえば司馬遼太郎翁であれば、それこそボロクソにけなすことことでしょう(笑)。当時は、兵器のハイテク化や軍人の専門化という「構造改革」が進んでいく、まさに転換期。二言目には戦記からの引用を並べたて、往年の威光をかざす老将は、周囲に疎まれながら、時には嘲笑の対象とさえなるわけですが、これはパットンだけではなく、当時の多くの軍においてみられた光景です。まだ戦争が白兵戦至上主義・戦艦巨砲主義のもとに行われた時代においては、名将と称される人々は、たとえば乃木大将が当代随一の漢文の素養に恵まれていたように、文学や歴史に通じていることは当然であり、総合的教養人ともいうべき大人物でありました。そういえば、海軍畑から英国宰相に上り詰めたチャーチルも、かの大著『ローマ帝国衰亡史』を常に座右に置き、主要部分を諳んじていたといわれています。もちろん、軍事部門に限らず、リーダーの専門化・官僚化・小人物化は、政治・経済をはじめ、あらゆる分野に共通する傾向でありますが。パットンの場合、頭の中が戦史・戦術でいっぱいというところは軍の脱総合化・専門化に符合しますが、ハイテク化と現代化には到底ついていけなかったところが、当時の「転換期」を表しています。ほぼ風化してしまった古戦場に足を運び、まるで往時を思い出すかのように表情を緩めるパットン老将の演技は、そうした時代の趨勢を実感する者の寂しさを体現し、本作中でも出色の名場面。 |
63.《ネタバレ》 フランクリン・J・シャフナー監督ごめんなさい、この映画をフランシス・フォード・コッポラ監督(本作の脚本)の系譜として捉えてしまいました。■パットンは、シーザーやナポレオンを標榜するも、影響力を「軍事」の領域に限定された一介の軍人に過ぎなく、憧れのシーザーやナポレオンは軍人である以前に、皇帝や執政官という「政治」を司る立場にあったのです。いかに個人的資質が高くとも、未曾有の破壊力に肥大した「軍事力」と、新たな“民主主義”という手法の「政治」を一元管理する事など、この高度に分業化した社会構造の中では不可能なことになっていたわけです。70年代終盤、コッポラはカーツ大佐という、違う形の「戦場のカリスマ」に、パットンが成しえなかった伝説の指揮官を実行させることになります。行動目的を「軍事」から「政治」に、「勝敗」から「支配」へと拡大させたのです。“戦う者”から“統治する者”への巨視的展望こそが、パットンとカーツを、そしてパットンと伝説の指揮官を分ける決定的な要因だったのです。しかし、残念なことにカーツは“民主主義”とは極北にある“シャーマニズム”を導入しての絶対的な“神”へと成り下がっていくのです。このカーツの事例でコッポラは、「軍事と政治の一元化」は時代に逆行した“独裁”形態でしか成しえないことを実証し、パットンの時代的ハンディキャップをも擁護しているかのように思えました。■この映画の冒頭、パットンは熱い演説で【第二次世界大戦の新兵】を鼓舞しますが、聴衆を画面から徹底排除した作為的な演出を行うことで、この演説が、この映画を観ている【来たるべきベトナム新兵】を洗脳する戦意発揚プロパガンダにすり変わったと感じました。公開が1970年という絶妙のタイミングに国家的陰謀の臭いをかいだのです。70年初頭-パットンに尻を叩かれながらベトナムに赴き、75年-地獄を見ての帰国。やっと癒えた79年-カーツによる悪夢の再現。そしてそれによる心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症。さぞかしコッポラに憤慨したアメリカ人も多っかたことでしょう。“コッポラ黄金の70年代”を総括すると、このパットンで颯爽と幕を開け、73年、ビトー・コルレオーネという「戦場(抗争)のカリスマ」で急展開、70年終盤にカーツと共に破滅的に終焉を迎えた、と言えるのではないでしょうか。■あっ!!本当にゴメンなさい!フランクリン・J・シャフナー監督! 【マーク・レスター】さん 7点(2004-06-08 22:25:39) (良:2票) |
62.ジョージ・C・スコットの演技は素晴らしいと思う。初めてアカデミー賞を辞退した名優だが、何だか彼のために作られた作品って感じもした。 【☆】さん 7点(2001-03-16 00:09:14) (良:2票) |
《改行表示》61.《ネタバレ》 「猿の惑星」のフランクリン・J・シャフナーが監督、「ゴッドファーザー」のフランシス・フォード・コッポラが脚本、さらにアカデミー賞作品賞でタイトルに「大戦車軍団 」となるとさぞかし派手なアクション大作映画なのだろうと思って一番最初は見たので意外と地味というか、イマイチ物足りなくて、長いし退屈に感じ肩透かし食らいました。 今回久しぶりに見てみましたが、見たことあるはずなのに全く覚えておりませんでした。たぶん、20歳頃に見た時は戦闘シーン以外興味ないというか、まだ若く頭が弱かったのでストーリーをまともに見る忍耐力がなかったのでしょう(笑) 約15年近く振りに見ましたが、冒頭から勲章まみれで演説するシーンには引き込まれました。その後も派手なアクションの戦争映画ではなく、このパットン将軍の物語として進行して行きます。今なら問題になるパワハラクソジジイですが、当時でも問題になってしまっているのはある意味流石です(笑)でも道理は分かるとうか、筋は通ってるというか、とにかくベストではなかったのかも知れませんが、かと言って間違ってるというわけではなく、嫌いではありません。あっ一緒に仕事はしたくないです笑) この映画もパワハラクソジジイも別に特別好きというわけではありませんが、嫌いではありません。割かし好きです。僕も年を取ったというか、中途半端ですが、忍耐力が着いて若くはなかったということでしょう。もちろん、良い意味でと自負しております(笑) 【映画の夢】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-06-24 21:08:00) (良:1票) |
《改行表示》60.《ネタバレ》 主人公は戦車の残骸や多くの戦死者が野ざらしになっている戦場跡を見て「これが好きだ」と言いました。そのひと言で、普通の人とは違う感覚を持った人物だと分かります。自国の利益のために戦うと云うより、目の前の戦闘での勝利だけに興味があったようです。味方が死ぬことよりも、敵を殺すことに意識が向いていました。そんな「戦場でしか生を全う出来ない人物」の伝記として、とても良く出来ていたと思います。前線から離れた場所にいる者からは頼りになる将軍でしょう。でも、その人の配下で戦えるかと問われると尻込みしそうですけどね。 「失言」がもうひとつのテーマになっていました。思ったことを全て口にする。それが災いになり不遇へ落ちる。私は同情しましたよ。確かに「失言」なんだけど、本人の思惑から離れたところで言葉が独り歩きしている部分もあったと思います。 余談。官僚の失言がマスコミを賑わす昨今。パットンさんじゃないけど「失言」のほとんどはメディアの紙面や放送枠を埋めるためだけの揚げ足取りだと思っております。いや、確かに正真正銘の失言もたまにはありますけど、野党は政策論で戦うことを放棄しているとしか思えません。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-04-24 02:52:28) (良:1票) |
《改行表示》59.《ネタバレ》 鉄血将軍パットンの伝記映画だが、奥底には「人間は何故戦争するのか」という命題を含んでいると思う。新兵への演説で、 「米国民は常に戦いを求めている。お前たちが子供の頃あこがれたのはビー玉や徒競走の優勝者、野球の名選手、タフなボクサーだ。米国民は勝者が好きだ」と断言する。「死ぬほど戦場が好きだ。外に生き甲斐が無い」と言い切る男、「永遠に戦いに生きる男」とも 偉大なる時代遅れ」とも称される男、このような人間がどうして生まれたのか。それは時代が必要としたからだろう。平時ではものの役に立たない人物が、乱世や争乱になると人間ばなれした活躍を見せ、英雄になる場合がある。日本では、幕末の高杉晋作がよい例だ。戦争がいつから始まったか不明だが、紀元前25世紀の頃には記録がある。それ以前の戦争がない時代であも、動物を狩るということに快楽を覚えることがあっただろう。農業が始まると、富の蓄積が起こり、略奪行為が発生する。すると今度は防衛のための備えが重要になる。隣の村や部族同士で軍事力が増し、緊張が高まると、偶発的な事故や突発的な争いで戦争が勃発するようになる。生き残るためには常に戦争に備え、戦争に勝たなければならない。このような事情から、人類には闘争というDNAが沁み込んでいったのだろう。別言すれば、闘争というDNAを持たない人種、部族は滅亡する運命を辿ったのかもしれない。さて怪物的な闘争本能の持ち主であるパットンは良い時宜を得て、良い戦争に巡り合った。味方の兵にさえ人権を認めない彼は敵に対して容赦などしない。敵、味方関係なく、次々と屍の山を築いていく。勝つためには勇気と犠牲が必要だが、「愚将は敵より恐い」という諺があるようにその匙加減が難しい。彼は運よく勝利し、英雄となる。しかし勝利しても、「次はナチスと組んでソ連を叩く」と嘯く。戦うことが総てである彼にとっては当然の所見だ。ローマの英雄が現代に出現したかのような生き様を見せる彼は時代を映す鏡だ。国民を鼓舞し激励する指導者であり、戦争の英雄であり、血に飢えた愚将であり、弱い人間の見本のようにも映る。戦争と人間について考えさせられた映画だ。批判や英雄視を廃し、パットンを客観的に見据え続ける視座がよい。アフリカでの戦闘場面は迫力があった。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-12-17 22:25:23) (良:1票) |
58.この映画は戦争映画であり、1人の男の半生を描いた伝記のような作品ですね。戦争こそが命、それ以外はなく、底知れぬ名誉欲や、さまざまな毒舌などで失脚を繰り返した猛将パットン将軍、そして、有名なロンメル将軍との戦車戦など、戦争映画としての醍醐味をを織り交ぜつつ、1人の男の数奇な生涯が描かれている。時間としては少し長い部類に入るが、それをもって有り余る見せ場の連続で、時間を忘れて見入ってしまった。 【クリムゾン・キング】さん [DVD(字幕)] 8点(2003-08-08 21:16:02) (良:1票) |
57.結構長い映画。「史上最大の作戦」のように淡々と戦闘シーンが描かれている。冷戦時代のアメリカが生んだ作品だなって印象は拭えないし、これでオスカーと言うのも時代を感じさせる。そのことは星条旗を前に演説するシーンに象徴されているのだろう。個人的には戦争ノイローゼの部下を殴るシーンが印象的だった。やはりジョージ・C・スコットの存在は大きい。 【イマジン】さん 8点(2001-02-17 20:12:04) (良:1票) |
56.《ネタバレ》 3時間弱の戦争大作映画。戦争大好きおっさんが主人公。主人公役は熱演だと思うのですが、いかんせんストーリーが単調で起伏がなくて、どうしても退屈になってきます。戦争のドンパチも当時の映像としては凄いのでしょうが、計算された構図で、どこか切迫感に欠ける気がします。このおっさんも威勢がいい割に、戦場で活躍してるイメージが薄いんですよね。映像が断片的で、戦いの流れが掴めず、勝った負けたもよくわからないまま話が進んでいくからでしょうか。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 5点(2023-04-12 17:50:24) |
《改行表示》55.好き勝手に自由にモノが言いたいが、誰からも批判される事なく認められたい、そして組織の指揮官として活躍したい。これらの欲求を全て満たすには独裁国家のTOPに立たなければならない。ヒトラーのように。しかしながら、主人公は中間管理職でしかないし、「一応」自由と民主主義の国のアメリカ国民なので不当な言動は周囲やマスコミから叩かれる。とはいえ、戦争や軍隊と人権とは相性が悪いというかそもそも両立するのかという疑問もあり、本音とタテマエも見え隠れする。勝負には強いパワハラ指導者が身内である選手やその父兄からは人気があるのも類似系であろう。 ただし、上司部下が逆転したり主人公が次々と閑職に追いやられる過程は軍隊と言えどもというか、軍隊だからこそ「協調性」が要求される故だろう。結局こういう我が道を行くタイプは個人として自由に生きる分にはいいが、組織では出世しないという現実を突きつけられる。 |
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《改行表示》54.《ネタバレ》 「あんたは自分の意地で多くの将兵を危険にさらしている。本当の勇気があるのならやめたまえ。そうでないと一般の兵士が気の毒だ。彼らはあんたの夢とは関係ない。彼らは今も最前線で毎日死と直面してるんだ。あんたと私は一点で違う。私は任務だから戦うが、あんたが戦うのは好きだからだ。」ブラッドリーのパットンへの直言が私の感じた事をズバリ言い表しています。お目当てカール・マルデンは期待通りであっても期待を超える事はありませんでした。ノーマークのジョージ・C・スコットが演じるパットンの喜怒哀楽ぶりは実に見応えあるもので他の出演作も要チェック。 ドイツ軍人はドイツ語だったのに好感。ロンメル役のカール・ミヒャエル・フォーグラーは観た事あると思ったら「ブルーマックス」のハイデマン隊長で大出世しています♪ |
53.確かに興味深い主人公だけど中味はとっても退屈。これだけユニークな人物なら映画の出来ももう少し何とかなったんじゃないの? 【ProPace】さん [CS・衛星(吹替)] 5点(2016-08-15 13:45:32) |
52.《ネタバレ》 ○他のレビュワーも突っ込まれているようにタイトルでかなり誤解を受けるのではないか。確かに想像していたのとは違った。○冒頭の星条旗バックの大演説からパットンのキャラは十分に描かれていたものの、指導者として、軍人としてどれだけ有能だったのかがエピソードの数珠つなぎではあまり感じ取れない。また、不祥事からの謝罪と弁明には現代の政治家と通ずるところがありなかなか印象的な場面であった。○ジョージ・C・スコットの好演は印象的であった。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-10-13 21:39:59) |
《改行表示》51.《ネタバレ》 思っていたよりも地味な映画だった。邦題からしたら、もっと大量の戦車が一面に展開されて、ドンパチ砲撃戦が繰り広げられるなんて、思ってた。でもこの映画は、パットン将軍の部分的な伝記映画の側面が強い。 伝記映画で主眼が主人公そのものだから、戦争の成り行きなどかなり駆け足だったり、飛んでいたりもするが、そのへんは公開当時は常識的な「現代史」だったのだろうなあ。今の日本人が見るには、第二次大戦のヨーロッパ戦史を、ちょっとだけ予習しておくといいかもしれない。 平時の30年はそれなりに記憶の彼方ではあるが、世界を廃墟にした戦争の記憶の前には30年などつい最近の事のはず。その生々しい残虐さの描写が本作では殆ど拭い去られている事に、若干の違和感を感じる。 ただ、映画としては、祖父が南北戦争の功労者で自身も戦争のために生きているような人物の、「闘う男」の一本気な生き方にある種の清々しさを感じさせて好感が持てる。それは、そのまま嘗ての強いアメリカの良さだったのかもしれないが、もし、彼が今の時代(ナチスという絶対悪と認識されていたものがない時代)に生きていたらどうなっていただろう?などと思うのは余計なお世話か。 ところで、日本の(モデル)ガンマニア的には、GSPの連なった刻印入りグリップの2挺のリボルバーがカッコイイのだが、胸に自動拳銃忍ばせてたんかと、ちょっとガッカリ。 【Tolbie】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-09-26 13:56:29) |
《改行表示》50.《ネタバレ》 ドンパチ系戦争映画だと誤解してしまうひどい邦題なんですが、戦争映画としてみるとアメリカの戦車にドイツ軍のマークだけ描くという安直さに代表されるように完全な落第点。では普通に映画としてみるとどうか…というと、まるでゲームのようにエピソードが羅列されるだけの構成は、あまり関心したもんじゃなく結局どう評価してもたいしたことない映画だと思うんですが…なぜアカデミー賞を6つも取ったのか不思議です。 劇中に描かれる兵士殴打事件がまるで現代の教師の体罰事件のようで今の日本で観るとタイムリー。 平和な日本の学校で問題になるのはわかりますが、戦争中の軍隊で上官が部下を殴打しただけでこんな事件になるとは…かなーり意外感のあるエピソードですが、これもキャラが立ちすぎてる戦争馬鹿パットンだからこそ叩かれたんでしょうね。 【あばれて万歳】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-11-12 16:21:58) |
49.パットン大将のことはもちろん詳しく知らないが、この映画を観たらこういう人がいたんだと洗脳されること間違いなしの力作(実際映画の通りの人物であったと思うが)。余談ながらO支店長を思い出しました。 【すたーちゃいるど】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-10-01 23:29:51) |
48.《ネタバレ》 この映画はパットンという軍人の面白さに尽きるわね。 豪胆でカリスマ性があって、でも欠点も人間臭さもタップリっていう。 兵士殴打事件で好感度は一旦ずいぶん下がっちゃうけど、再び戦地に戻ると兵士たちにはやっぱり人気だし、彼の有言実行っぷりは確かに敵兵ドイツからも一目置かれるだけはあるわよね。 ただ…三度のメシより戦争が好き!!みたいなこういう人は、いくら人間的魅力に溢れてても結局大迷惑なんだけどさ。 …なんかわかんないけど惹かれちゃう!みたいなこういうタイプの人って実は演じるのがほんとに難しいと思うんだけど、その点ジョージ・C・スコットは完璧! 戦争モノが苦手なアタシにとっちゃ無駄に長くて残酷な戦場のシーンとか、コマ切れでよくわかんないエピソードとかも、彼の真に迫った演技のおかげであんまり気にならなかったもの。 【梅桃】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-08-23 14:44:23) |
47.あれ、今まで何度か観たヤツでは、冒頭の演説シーンがラストにもあったと思ったけど(ただし冒頭よりもやや口調が柔らかい)、今回観たヤツではパットンがどこか遠くへと立ち去って終わっちゃった。ちょっとカッコつけ過ぎじゃあないですかね。この映画、頭悪そうな邦題がついていますけど(笑)、戦争映画というより伝記映画。ドイツとの戦争が終結してなお、映画が続き、むしろその後日談においてパットンの本領発揮みたいなところがあるのが面白い(何だか今回観たヤツは、“戦後”の部分が物足りなく感じちゃう)。このユニークな脚本を書いた人ってのが、映画監督のコッポラって人らしい、と言う訳で、私は子供の頃、コッポラってのは何だかとってもエライ万能人であるかのように思ってました。今ではどっちかというと、本作の脚本がとりわけ優れている訳ではないような気もしてますが。エピソードの羅列になっちゃってる感じ(そこがコッポラらしいのかも?)。敵の爆撃機に拳銃で応戦しようとするとか、アフリカで自分の前世を暗示する場面とか、兵士殴打事件とか、色々エピソードを盛り込む割にはそれが単発で、彼の変人ぶりを描くことに関してはやや未消化な感じも。一方で、戦闘シーンのスペクタクルばかりに頼ることなく、パットンの足跡を追うことに専念しつつ(「歓迎パレード」のシーンであったり、背景を変えながらひたすら続く「行軍」のシーンであったり)、その中で、パットンの変わっていく面と変わらない面を描いて行くのは、やっぱり上手いと思います。最初の方では「こんな頑固親父、皆に嫌われて、生きてて楽しいのかね」と思われるパットンが、だんだん愛すべきキャラに思えてくる。ジョージ・C・スコットの一直線ぶりがいい(そして脇にひかえるカール・マルデンのデカ鼻もいい)。パットンが、行軍の邪魔になるロバだかラバだかを容赦なく射殺する前半と、活き活きとした表情で楽しそうに行軍の交通整理をする後半。うーむ。何だか星野監督の中日時代と阪神時代みたいではないですか(……この喩えはイマイチでしたね、すみません)。歴戦の中で角がとれて丸くなったようなパットンだけど、反骨精神は最後まで貫いて見せる。あのペットの犬もイイですね、どこからあんな犬見つけてきたんですかね。「魅力ある主人公」映画部門、第1位に推薦いたします。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-04-15 08:23:53) |
46.これはもう、パットン将軍の性格がすべてでしょう。正直、こんな人が実際に上司だとありがたくないですが、映画で見るぶんには面白い。生まれ変わって戦い続けてきたと称し、戦争史に詳しく詩もものするなど、なかなか一筋縄ではいきません。言うならばいくさバカですが、これだけ徹底したバカだと魅力的。長所も短所も含めて、愛すべき人物に描かれていました。少々長く感じたので、その分マイナスです。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-12 21:50:05) |
45.パットン将軍の性格のいさぎよさが爽快で楽しめた。 【ホットチョコレート】さん [地上波(字幕)] 7点(2012-03-11 09:43:47) |