26.《ネタバレ》 渡辺謙の「明日の記憶」は同様に認知症をテーマにした映画だが邦画と言うこともあり、リアルに恐怖を感じた。それに比べるとこの作品は全体的にお洒落なトーンでまとまっている。まあ、いいんじゃないのって感じかな。ただ、スピーチは良かった。その場にいたら間違いなくスタンディングオベーションしていると思う。 【イサオマン】さん [地上波(吹替)] 5点(2021-06-13 22:10:34) (良:1票) |
《改行表示》25.《ネタバレ》 ジュリアン・ムーアが迫真の演技ゆえ、見ているこちらはとても辛かった。思い出せない苦しみ、自分が壊れてゆく恐怖、社会にとって有用でなくなることへの絶望。目の輝きすら徐々に失ってゆくアリス、見守るだけのわたし。苦しい。 観客に苦痛を与えるだけでは映画作品にはならないわけで、監督はお話の軸を主にアリスと次女との関わりに持ってきています。次女はエリート一家の中で一人だけ毛色が違い、キャリア重視のアリスとも水と油のよう。だけど、日常が一変してからは徐々に距離が近くなる、その描写の一つ一つが印象的です。アリスがスピーチの原稿を床に落としてしまう場面。見てるこちらは「うっ」とひるみます。黄色いマーカーのチェック虚しく、同じ箇所を「二度読み」してしまうのではないかと。結果そうならず、感動的な内容のスピーチになるのだけど、もうひとつ気付く仕掛けになっています。ああこれは先だっての次女の意見を取り入れたのだな、と。専門的な話は抜きにして、自分の今の気持ちを語った方が良い、と言っていたリディアを尊重したのだと。 病魔と闘う家族の姿を、飾らずリアルに描き実直であるとは思う。ただ、私は個人的にはアリスに自分の人生の幕を下ろす権利を渡してあげたかった。ここはこの脚本と意見の合わないところで、点数もつけづらいのだけど。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-04-16 17:48:28) (良:1票) |
《改行表示》24.《ネタバレ》 アルツハイマーの研究者が、「もし自分自身がアルツを発症したらどうなるのか」を想定して書いた著作が本作の原作。家族や友人の客観的な視点がほぼ排除されており、患者の主観に絞って描かれている点が独特であり、これによって観客に多くの発見をさせるうまい仕組みとなっています。 例えば、アリスの目の前で旦那と子供たちが「お母さんをどうするよ」と話し合う場面。彼らはアリスに会話の内容は理解できないと思って話しているのですが、アリスには「自分がお荷物扱いをされている」ということはちゃんと伝わるんですね。旦那にも子供たちにも悪気はないものの、こうした一人の人間に対する配慮を欠いた行為の積み重ねが、患者本人を傷つけていくのです。また、馴染みだったアイスクリーム屋にアリスを連れて行った旦那が「君は何を食べたい?」と質問したにも関わらず、「いやいや、いつも君が食べていたのはこっちだ」と言ってアリスの注文を勝手に変えてしまう場面。些細なやりとりではありますが、無自覚のうちに周囲の人間が患者の意思を無視し、それによって患者が余計に自信をなくすという過程がよく見えてきます。 そんな中でアリスとの相性が良かったのが次女でした。一流大学の教授である両親、医学の道に進んだ兄、法曹の道に進んだ姉というスーパーインテリ一家において演劇志望の次女の肩身は狭いものでしたが、蔑まれ、他人からの価値観の押し付けと戦い続けてきた彼女だからこそ、現在のアリスの立場への理解と共感ができたのではないでしょうか。 なお、演劇志望と言っても彼女が本気で演劇に取り組んでいる様子はなく、世界的な演劇のメッカであるNYの実家を離れてわざわざLAで演劇をやっているという点を見るにつけても、家族への反発心がたまたま好きだった演劇と結び付いた程度のものだったと思います。満を持して披露される彼女の演技は超ド下手であり、舞台を見ていた家族の間では「おいおい、これどうするよ」という微妙な空気が流れるのですが、アリスが次女の演技を絶賛したことからその重い空気が一掃されます。「物事はこうあるべき」という価値観から解放されたアリスだからこそ、目の前で次女が一生懸命演じているという姿に対して純粋な感動が得られたのだと思いますが、周囲からの否定に対する反発が唯一の行動原理だった次女は、このアリスの言動でかえって吹っ切れ、演劇の道から距離を置く決断に至ります。このくだりではアルツハイマー患者の良い点も描かれており、決して悪いことばかりではない点が作品の救いとなっています。 以上の通り意義のある作品ではあるのですが、全体としては優等生的で盛り上がりに欠けるという印象を受けました。難病に対する啓蒙という要素があまりに強く出すぎており、映画として面白くないのです。 また、ジュリアン・ムーアは確かに素晴らしい演技を見せているものの、果たしてこれが彼女のベストかと言われると微妙です。演技力と色気の同居こそが、そこいらの演技派女優とは違うジュリアン・ムーア独自の個性なのに、本作ではただの演技がうまい人なんですよね。10年前だったらメリル・ストリープが、10年後だったらケイト・ウィンスレット辺りが演じても同じようなものが出来上がるんじゃないのと感じられて、ムーアである必然性がありませんでした。本作でのオスカー受賞はムーアのキャリア全体に対するご褒美的な意味合いが強いのではないかとの否定的な見解も聞かれますが、『セント・オブ・ウーマン』や『ディパーテッド』がアル・パチーノやマーティン・スコセッシの代表作とは見做されていないように、本作もジュリアン・ムーアの代表作にはならないように思います。 【ザ・チャンバラ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2017-09-16 12:48:44) (良:1票) |
23.《ネタバレ》 ジュリアン・ムーア大好きです。自然な演技の中に、人間的な愛らしさが訴えかけてくるのはどの映画でも共通しています。「クッキー・フォーチュン」なんて最高! 本作でも、若年性アルツハイマー病を患うシリアスな役柄ながら、感傷的になりすぎないのがとても自然です。悲痛な感情を吐露するのは、夫に打ち明ける夜中のシーンくらい。 その後、急速に病気の進行していくアリスですが、とても自然で淡々としています。ところが、病気の進行したアリスが初期のアリスが残したメッセージを見るシーン。メッセージ内容の重さも伴って、高揚感の高まるシーンなのですが、昔のアリスの表情や言葉遣い、行動との違いが鮮明に。J・ムーアの巧さが光るとともに、映画的にもとてもグッとくる場面でした。 オスカー受賞、おめでとう!「ビッグ・リボウスキ」のような弾けた演技もまだまだ期待してます。 【カワウソの聞耳】さん [映画館(字幕)] 8点(2015-07-19 20:49:51) (良:1票) |
22.《ネタバレ》 徐々に自分が自分でなくなるというのはすごい恐怖だと思います。とても見入ってしまう映画でした。邦題は「アリスのままで」とありますが原題(Still Alice)から考えると正しい和訳は「それでもまだアリス」となるのではないでしょうか。自分が自分でなくなるという不安・恐怖を抱えつつも"それでも私は私なんだ"という意味につながると思います。「アリスのままで」の方が題名としてしっくりくるのはわかりますが、似たような言葉でも意味が変わるのはどうかと。 【珈琲時間】さん [映画館(字幕)] 8点(2015-07-07 08:44:16) (良:1票) |
21.《ネタバレ》 ジュリアン・ムーアという人の演技が凄いのは、何かを誇張したり変形したりすることなく、その辺にいそうな一般の人というベースに立った上で、確実な造型や表現をするという点である。本作は、これまで積み重ねてきたそのキャリアを全開させた、まさに集大成のような作品。日常生活の中でふっと物忘れが通り過ぎ、それがいつしかじわじわと広がっていく。その表現の丁寧さがあるからこそ、ラストの一言も存分に生きている。●もちろんそれは、彼女の演技力を引き出した脚本や演出の細やかさあってのことで、特にそれは、中盤で出てくるスピーチに集約されている。アルツハイマーの一番怖いのは、何かを忘れたり分からなかったりすることではなくて、世間から途絶していくこと、過去も含めた自分の存在がなくなること、自分が必要とされなくなること。その確かな視点で統一されているからこそ、この作品は、単に闘病を描写しただけではなく、見る側の個々の人生観をも問う普遍的なレベルに昇華している。●アレック・ボールドウィンの作中の夫同様の好サポートぶりは、キャスティングを見たときから予想していた通りであったが、「ブルークラッシュ」で馬鹿主人公を演じて以来私の中では馬鹿扱いだったケイト・ボスワースの落ち着いた確実な演技は、予想外の驚きだった。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 7点(2015-06-27 21:35:58) (良:1票) |
20.人格の壊れ方がきれい過ぎですが、今までの自分がどんどん失われていく恐怖は痛いほど伝わってきます。これに貧困や家族間の不和でも加わればもう目を背けたくなるような修羅場なんでしょうが・・・生々しい描写は抑え気味ですが介護の深刻さは推して知るべしです。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-06 00:06:26) |
《改行表示》19.私も時々 ひどい短期記憶の衰えを感じることがあり、自分の問題として深刻な気持ちで観ました。恐ろしいと感じると共に、スピーチが心に響きました。 世界中の人々に永久に残る形で自分の姿を残されるという仕事でありながら、主演のジュリアン・ムーアは見事に役に入り込んで 病に侵されボロボロになった様まで表現し切った、素晴らしい演技だったと思います。家族を中心とした周囲の対応もそれぞれで、冷たいもの・温かいもの・上辺だけのもの・避けられないもの と偏らず描かれており、また主人公の病気によって、家族が変わっていく様子もきちんと追われていました。 もちろん そういった対応・影響は、個人・家族によって千差万別で、決して一つの映画で描き切れるものではありませんが、考えるきっかけのひとつとして ちゃんと成立していると思います。 【くろゆり】さん [CS・衛星(吹替)] 8点(2019-03-28 00:45:05) |
《改行表示》18.《ネタバレ》 なかなか難しい役どころだと思いますが、ジュリアン・ムーア熱演しておりましたね。 もし自分がなったら、、とか、家族がなかったらとか、色々と考えてしまう内容でした。 知的レベルの高い人ほど進行が早いというのは驚き。そして遺伝性のものがあるというのも知らず、これまた驚き。 ただ、全体的にあまり重くならないようにしていて、睡眠薬の動画のシーンもわりかしさらっとしてるなぁと。 題材としての難しさみたいなものも感じる作品でありました。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-09-18 21:48:28) |
《改行表示》17.静かな映画。でも少し重い。 エンディングテーマが心に染みる、そういった余韻は残る。ありそうなテーマを上手くまとめた作品。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-09-07 22:16:20) |
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16.アルツハイマーの進行の過程がよく分かった。もし、自分がアルツハイマーになったらどうなんだろうか。家族の誰かがアルツハイマーになったら、自分のことが認識されなくなってしまったら、やっぱりつらいとおもう。記憶を失うということはどんなに大変なことかよくわかる。そして、この病気にどう付き合えばいいのか考えさせられる。ジュリアン・ムーアの演技がすばらしい。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-30 23:45:44) |
《改行表示》15.《ネタバレ》 言語学者という高い知性を必要とされる博士が、言語とともに記憶を失っていく恐怖は、それは耐え難いものに違いない。 でも、時間が経つにつれて、それを恐怖と感じることさえもできなくなっていく。 自分自身がわからなくなっていく不安が、カメラワークと静かなピアノの響きを通しても伝わってくる映画だった。 人間は確かに今の一瞬を生きているけど、記憶を無くしてしまったら、それは単に機械的に生命を維持しているだけで、ただ虚しい。 そう考えると、アリスが将来の自分にあのようなメッセージを送ったのは、仕方のないことなのかもしれない。 そして、夫がアリスの介護を申し出た娘に、お前は自分よりもいい人間だと自分を責める場面は、この病気に直面した家族の現実を伝えているように思えた。自分を責めることはないのに。 最後に、ジュリアン・ムーアの演技は圧巻だった。 |
14.ジュリアン・ムーア適役ですね。ラストの娘とのやり取りが泣けます。 【ゆっきー】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-04-23 13:39:33) |
13.50歳を過ぎてから人や作品の名前が出てこない、仕事中に「今、何をしようと思いついたのか?」が数分後に思い浮かぶ事があり「若年性のアルツやわぁ」と笑いを取ってるのですが、本作は笑い事ではなく、築いたものが少しずつ失われてゆく恐怖のリアルさに身につまされるものがありました。家族のありかたも含めて奇をてらわない誇張のない演出とジュリアン・ムーアの表現力が見事。監督の思いを代弁したかのようなスピーチが胸に沁みます。 |
《改行表示》12.《ネタバレ》 若年性アルツハイマー。しかも遺伝性で、長女の遺伝子検査の結果は陽性。 重いです。重いですが、身近に起こりえそうな題材ですので、食い入るように見てました。 ジュリアン・ムーアの演技がよかったですね。 【あずれも】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2016-12-13 09:09:22) |
11.《ネタバレ》 この瞬間も私は感じるの、私の頭の中で脳細胞がどんどんと死んでいくのが。人生をかけて築いてきたことが何もかも消えていくのが――。今年で50歳になる、アリス・ハウランド博士。コロンビア大学の言語学の教授にして、3人の子供たちを立派に育て上げた母親でもある彼女は公私共に充実した日々を過ごしていた。ところがそんな彼女をある日、悲劇が襲う。度重なる物忘れ、唐突に出てこなくなる言葉、毎日過ごしているはずのキャンパスで迷子…。戸惑いつつも受診した神経科でアリスは驚きの診断結果を聞かされる。若年性アルツハイマー。しかも50%の確率で子供たちにも発症する遺伝性のものだった。急に発覚した重たい現実に、当然アリスも彼女の家族たちもおろおろとうろたえてしまうばかり。だが、そんな家族の狼狽などおかまいなしに、アリスの病状は急速に悪化してゆく……。50歳にして重い病に犯された一人の女性とその家族の葛藤と闘病の日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。アリス役を演じたジュリアン・ムーアがアカデミー主演女優賞を受賞したということで今回鑑賞してみた。結論から言うと、非常にオーソドックスな闘病もの。これまで幾度となく映画やドラマ、小説などで取り上げられてきたテーマをただこぎれいに纏めただけのもので、それ以上でもそれ以下でもない。こういう手垢にまみれた題材を扱う場合、もっと新しい視点や独自のテーマがあってしかるべきだと自分は思うのだが、本作にはそれが一切ない。病に犯された一人の可愛そうな女性がただ単に不幸になっていくのを延々と見せることで、観客の誰もが持っている善意に安易に訴えただけとしか僕には思えなかった。ジュリアン・ムーアも確かに熱演ではあるが、なんだか病に犯された一人の女性を演じる場合の模範的な教科書のようにしか見えない。こういう極限状況に追い込まれた家族にはもっと醜い諍いがあってしかるべきだし、最後の自殺未遂にしてもあれでは偶然が重なってたまたま未遂に終わっただけに過ぎないのではないか。母親を自死という究極の選択にまで追い詰めてしまったことを知った家族の、その先の物語をこそ僕は観たかった。勇気をもって言わせてもらえば、本作は総じてきれいごとに過ぎるのだ。最近、感動ポルノ(障害者や不治の病に犯された人を極端なまでに感動的に描くことで、人々の安易な涙を誘うこと)という言葉がクローズアップされているが、本作などその典型ではなかろうか。辛辣な評となってしまったが、残念ながら自分は本作及びそのテーマを受け入れることは出来なかった。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 4点(2016-10-14 23:20:04) |
《改行表示》10.症状が良かった時の録画と、悪化している時のギャップが凄い(ジュリアン・ムーアの演技なのか、メイクなのかは知らないが・・・)。 認知症になる可能性は、僕にもあるので他人事ではない。もし、認知症で生きて行くぐらいなら死んだほうがましだと、今は思っている。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-08-24 01:00:29) |
9.《ネタバレ》 病気を扱う映画は観るのがしんどいし、鑑賞後もひきずるのであまり選ないようにしていますがアカデミー賞絡みという事で覚悟して観ました。案の定非常に重く観ていて辛かったのですが、ジュリアン・ムーアはじめ役者のナチュラルですが確かな演技力、アリスの講演や家族からの愛など、心に残るシーンも多く観てよかったと思いました。家族性というを初めて知ったのですが、私も女でいずれ母親になるかもしれないのでその恐ろしさにぞっとしました。そしてアリスが自分は悪くないのにアナに謝るシーンは胸が痛くなりました。また自分がそうなるかも、とか母親が明日そうなるかも、など色々考えさせられもしました。最後のリディアとの「愛について」という場面も、とても印象に残りました。陳腐な言葉ですが「明日いつ何が起きるかわからないので、今や今日を大切に生きよう」と改めて感じました。 |
《改行表示》8.《ネタバレ》 2つの山場があります。 一つは、病状が悪化している時に行われた講演。 もう一つは、ラストでの娘との会話。「愛」という台詞。 脚本が上手いと思います。 病状が悪化した主人公が、パソコンに収録された、まだ病状が悪化していない動画の違いが、同じ役者さんが演じているように思えなかったのは素晴らしい証だと思います。 「あれ?」って感じで終わってしまって、ちょっと拍子抜けしました。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-06-17 12:05:41) |
《改行表示》7.怖い映画。別にホラー映画ではないけど、十分怖い。 「明日の記憶」とまったく同じ内容で、 どちらも同じように面白い。 どちらがいいかは好みの問題というくらい、同じ映画。 |