1.《ネタバレ》 設定とか美術デザインとか人間側のドラマとか、いいところはいっぱいあるのに肝心の主人公のコウノトリに魅力が薄くて、となると映画全体の進行そのものがシンドくなってくるという。
主人公の思考と行動が理解できないんですよね。一貫性が無く、その場その場でどんどんブレていっちゃう。スラップスティックな線を狙っているんでしょうけれど、彼が物語の導き役である以上、そこに共感を得られるようにしてくれないとどんどんと取っ散らかった映画になっていっちゃう。
基本的には自己保身のための行動で、途中からは赤ちゃんを届ける使命感に変化してゆく、のですが、その明確な変化がドタバタの中に隠れて見えてきません。っていうか、先を急ぐ旅なのにフロートにわざと穴を開けて停滞させたのは、あれ、なんのためだったんでしょ? ちゃんと見てなかったのかなぁ。ひと休みするため?
一方で赤ちゃんを待つ一家の物語の方は家族の愛が描かれていてなかなか良かったのですが、これもそれまで子供を顧みない両親がコロリと子供寄りになる展開が唐突で、そこも取っ散らかり印象の一因かな。
あと、コウノトリ以外の鳥も色々と描かれながら、あまり活躍しない、伏線→伏線回収だけで真ん中がなかったりする存在がいたりして、ドタバタもいいけれど、もう少し腰を据えて落ち着いて描いて欲しい感じがしました。特にチリチリ赤毛のヒロインの個性、そのドラマをもっと落ち着いてみていたかったかな。ここはどうも扱いが軽すぎな気が。
切り捨ててしまうには色々と惜しい作品ではありますが。
でも、考えてみればこれって『モンスターズ・インク』とほぼ同じオハナシよね・・・