《改行表示》101.《ネタバレ》 私が小学生の時、教室で読んでいい漫画ってのがあって、『はだしのゲン』とか太平洋戦争を描いた漫画が数冊ありました。アジア各国で悪逆非道を行う日本軍。“御国(天皇・国家)のため”に無駄に死なされた神風特攻隊。特攻の命令を出す悪そうな上官と、悔し涙を流しながら出撃する隊員のイメージが印象に残ってます。私たちは自分で考える前に、そういう“教育”を受けてきた世代です。 本作は特攻を美化するでも、卑下するでもなく、当時の軍部の方針とかも描かず、あくまで当事者である若者たち=特攻隊員の目線で描かれています。現代の若者・まだ26歳の健太郎が、当時26歳で命を落とした自分の祖父の、気持ちや行動を探求していく構図が面白いです。 特攻と自爆テロの違い。健太郎の友達が考えるように、熱狂的愛国者が“御国のために”と誇りを持って、ヒロイズムに浸って特攻したのか? 合コンを抜け、改札に向かう普段着の健太郎。周りはみんなスーツ。命令されなくてもおんなじ格好してるのが、日本人らしい。戦時中も日本人は、みんなおんなじ方向向いてたんだろうな、って。 宮部教官に可を貰い、一日でも早く特攻に出撃したい予備学生たち。彼らは悲惨な戦争に自暴自棄になったのではなく、自分が国のために何が出来るかを考えたうえで、特攻を望んだように観えました。家族の住む本土に迫る、目の前の米軍艦隊。その足を止める手段としての特攻。予備学生は国を戦火から守るために、出撃を望んでたんでしょう。でも宮部はその先の、戦争に負けた後を見据えていたんでしょうね。 宮部が最後に特攻を選んだのは、自分の代わりに、日本の未来を創る若者たちが死んでいくのに、耐えられなかったからでしょう。でも搭乗機52型の不調が、宮部の望みを叶えてくれました。「生まれ変わってでも、必ず君と清子の元に戻ってきます。」 「妻と娘のために生きて帰りたい。」この言葉は、あの時代“妻と娘を愛している”と同じ意味だと、井崎は言いました。 あの時代に彼ら若者が使った“国のため”という言葉は、今の時代の“家族のため”と同義語だったんじゃないかと思えます。 早田ひな選手の「鹿児島の特攻資料館に行ってみたい」発言がネットで話題になっています。実際に見た結果、どんな感想を持つかは彼女の自由だし、感想を公表する必要もないことですが、まだ24歳の若い子が、自分の目で観て自分で考えようという想いが、とても素晴らしいことだと思います。 彼ら特攻隊員が守ろうとした“国”には、きっと私たち=未来の子孫たちも含まれるのでしょうね。そんな事を考えた、今年の終戦記念日でした。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 8点(2024-08-17 18:07:41) |
《改行表示》100.《ネタバレ》 漫画版を読破後に見ました。漫画は大変面白かったので映画の方はきっとイマイチだろうと思って見たけどそれなりに楽しめました。 ラストの終わらせ方が上手かったと思います。漫画だと宮部は爆弾が不発で犬死してしまい、なんとも後味の悪い印象で、それが生き残った者の生をより一層際立たせる効果がありましたが、この映画では宮部の死の直前でぶった切ることでカタルシスを観客に与えることに成功しているように思います。 俳優陣もよい演技だったと思います。とくに、生き残った戦友たちが豪華で演技も申し分ない。ただ私は三浦春馬の演技力がいまいちに思えました。 【ブッキングパパ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-09-27 12:39:01) |
99.《ネタバレ》 この映画のテーマは継ぐということではないでしょうか。戦争を体験した世代から戦時はおろか戦後さえ知らない世代にかつてこの国が戦争をしたのだという事実を継ぐ。戦争を体験した世代が時代とともにどんどん減っていきそれに伴い、国もどんどん変わってきました。それは決して悪いことではなく、個人的には良いことだと思います。ただ、まだしばらくは戦争について次の世代に継いでいく必要があるのかなと思います。誰かが語り継がなくとも少なくともこの映画が戦争のある側面は語り継いでくれるでしょう。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-08-29 03:57:11) (良:1票) |
98.《ネタバレ》 CGの評判を聞き、観てきました..空母が海上を進む細密さ、勇壮さは見事ですね~ そして、零戦の飛ぶ姿、(プロペラ機の)エンジン音を聞くだけで、なぜか心湧き踊り、「おぉ~」って興奮してしまう自分がいました..戦闘シーンも迫力満点、大満足です..ただ、肝心のストーリーはどうかと言うと..陳腐そのもの..色んなところが、納得できない..①全力で精一杯戦いつつ、命を無駄にしてはいけない、そして生きて帰る..のであれば共感できるのですが..戦う前から戦線離脱..って、軍規違反、軍法会議ものでしょう~ 部下や仲間の事をあんなに思いやる感受性の高い宮部が、乱戦の最中、皆が必死に戦っているのに、なぜ逃げ出すことが出来るのか..仲間は見殺し?自分だけ生き残ればいい?設定が矛盾しているぞ..②宮部の性格、思考からして、特攻そのものを批判し猛反対すると思うのだが..そこが全く描かれていない..なぜか、精神を病んでいるかのような描写があり..元気なく、腐り..唐突に特攻に志願..その行動に、何の意味があるのだろう、理解出来ない..しかも、最後は、自ら進んで、死を選ぶ..ただ死にたかっただけなのか?..もっと答えが分かりやすい演出は出来なかったものか..③宮部の妻、松乃は、なぜ、大石と再婚する?..「死んでも生き返って帰ってくる」という宮部を心から想い胸に抱き、それを大石に打明けると..やがて二人は夫婦に..って、(松乃も心が病んでいるのか?笑) 大石も、プライドのある男なら、俺は宮部の代わりしゃない!と拒絶していいと思うのだが..そもそも、一本筋の通った、気骨ある日本男児であれば、妻に迎え入れるなんて出来ないはず、いくら想いを寄せていたとしても、そこはガマンでしょ..陰ながら見守り、困った時はさりげなく助ける..ってのが男ってもんだ!..道義を重んじ..自分を前に出さない..古き良き日本人気質..と、いったものが、微塵も出てこない..(日本人も変わってしまった..こんな節操の無い物語が平然と受入られるとは..悲しい) 本作は、一見、正論を主張しているように見えるが、根幹部分は、利己主義(欧米的思考)に染まってしまっている..全編、ツッコミどころ満載..なんとレベルの低い幼稚で浅い物語なんだろう..期待していただけに、残念!! 【コナンが一番】さん [映画館(邦画)] 4点(2021-11-07 09:42:25) (良:3票) |
《改行表示》97.《ネタバレ》 これはもう、原作の悪い所がそのまんま出ちゃったなあ、と。 原作自体、正直、これを小説として読むことはできず、情報の少なさをフィクションと著者の感想とで水増ししたルポルタージュ、として受け止めてしまったんですけれども、映画化にあたっても、原作の基本構成は変えられず、結局、特攻というものに対する感想を述べ続ける映画になってしまいました。いや、映画らしい味付けも確かになされているんですけどね。染谷将太復帰の場面を視点を変えて繰り返し描く場面なんかもちょっとした面白さがあるし、井上真央が染谷将太をいったん拒絶する場面なんかも原作の弱さを補っているとは思います。 ただやっぱり、いちいち挿入される現代パートが、ひたすら胡散臭さにしか繋がっていなくって、こればかりはもう、どうしようもありません。 CGによる描写は、意外によくできていたなあ、と感じる部分もあるのですが、ただ残念ながら、あの戦闘機なり軍艦なりに、肝心の「生身の人間」が乗っているようにはどうしても見えない、ってのは、やはりイタいです。 【鱗歌】さん [ブルーレイ(邦画)] 5点(2021-01-04 17:58:06) (笑:1票) |
《改行表示》96.《ネタバレ》 特攻という本当の意味を知ったのはこれが初めてかも。そう思わせた作品。今まで特攻する人の思いをあまり知ろうとしなかっただけあって、結末を観て涙が出てきました。 作者自身だったり、作品のコンセプトが批判の対象に挙がってるけど、少なくとも戦争や特攻を賛美してるような映画ではないと思う。主人公含めかつての仲間たちやその子孫は特攻して良かったとは思ってはいないはずだし、特攻そのものは戦況に何も影響が出ないし、それでも特攻する人の気持ちを鑑みるともっと称えられるべきなんだなと思った。 映画とは関係ないけど自分自身も左翼な地上波テレビ大嫌いになってニュースを見なくなりネトウヨと咎められてるニュース番組で百田さんを知ってそれを見てるので贔屓にしてるかもしれないけど、少なくとも好きではあるし言い分も下品だけど地上波のアホコメンテータよりは遥かにまともで、少なくとも今作の特攻、戦争のテーマは共感できました 【ラスウェル】さん [DVD(邦画)] 8点(2019-09-16 23:44:08) (良:1票) |
《改行表示》95.《ネタバレ》 宮部久蔵が架空の人物でも、同じ思考を持った人間が当時にも存在していたからこそ制作された物語だと感じた。 戦争を知らない私たちの世代は、軽はずみな発言はできない。なので、アクションとか俳優の演技とかは二の次で、内容や題材を胸に刻むべき作品。 【バッジョ】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-11-05 21:21:55) |
94.《ネタバレ》 最後の笑みをうかべながらの、特攻は理解できない。 【へまち】さん [DVD(邦画)] 4点(2017-12-03 13:30:05) |
《改行表示》93.この映画の原作を公開前に読んだけど、あまり面白いもんじゃなかった。 だって開戦当時から戦闘機乗りってことは、バリバリの志願兵なわけで、そんなのが逃げ回ってばかりで同僚から悪評プンプンだったら、そもそも戦闘機乗りになれるわけないから。 開戦当時の戦闘機乗りって、ノンキャリアの憧れ中の憧れですよ? 現代で言うと、警察なら白バイ隊員で、さらに箱根駅伝を先導するレベル。 そんなのが仕事よりも家族が大事って、現代人の感覚でも???で、戦時中なら絶対にいなかったと断言できるから。 ところが、この映画ではそこのところをうまーく誤魔化して、さらに映画史上最高の空戦シーンを盛り込んで、好感の持てる仕上がりになってる。 邦画だから、大して金はかかってないだろうに、これほど戦闘機乗りの高揚感や緊張感を映像で表現した作品を他に知らない。 だから、原作よりも遥かに主人公に感情移入できた。 そして、他の出演者もみんな好きになった。 そりゃあ、細かいこと言えば色々とツッコミどころはあるけど、やっと感情移入できる日本の戦争映画が出てきたことに感謝したい。 「男たちの大和」とか、ひどいもんだったし。 あー映画館で見れば良かったなあ。 でも、つまらない原作を映画館で見れないよね。今回は、仕方ない。 【まかだ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-10-01 16:52:26) (良:1票) |
《改行表示》92.《ネタバレ》 原作もマンガも未見。主演の岡田準一は寡黙で抑制的な役でなかなかよかった。 この作品に限らないが海軍軍人役の脇役が、表情や態度の演技がオーバーだったり、姿勢が悪かったりで、昔の東宝映画とかを見慣れてるものとしてはちょっと違和感あった。まあ今の映画で史実どおりボー読みってわけにもいかないか。144分という長さは感じさせなかったが、後半の終戦直後の話はちょっとバタバタした感じでちと残念。 空母赤城のCGの出来はいい感じ。空戦も昔のCGに比べると良い感じになったが、飛行機のような小さいものはまだいかにもCGっぽく見えてしまう。最近のCGを駆使した映画は情報量が多すぎてちゃかちゃかし過ぎで観てて草臥れる。 戦争が舞台になっているが、時を越えたこの国の人々の繋がり、といった、より普遍的なものがテーマである印象だった。自分の祖先が残してくれたもの、祖先が続く世代に残した思い、それらの集合体としての国が今もあるというありがたさ、というものを考えたくなる作品。 【クリプトポネ】さん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2017-08-11 11:51:46) |
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《改行表示》91.橋爪功さん何言ってるかわかりづらい。ほんとに本職が俳優なんだろうか。 映画の完成度が高いだけにとても残念なポイントでした。 【マントタヌキ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2017-07-05 14:07:23) |
《改行表示》90.《ネタバレ》 やはり完成度が高い。岡田准一や井上真央は日本の宝だなと改めて感じました。 豪華な俳優陣、真に迫るような迫力ある戦闘シーンなど、賞を総なめにした理由も分かります。 でも過剰すぎる演出には少々うんざり。終始流れる感情的な音楽、泣きの押しつけなど。この映画に始まったことではないですが。 戦後70年ともなれば戦争の記憶は薄れる一方。そんな現状に危機感をもった作者が訴えたかった真意は何か。反戦や戦争賛美を意図したものではないと思いますが、ラスト近くの三浦春馬の号泣を見ていると、平和ボケで取り残されて自信を失いかけつつあるこの国の危機感を演出したかったのかな?なんて思ってしまいました。 【mhiro】さん [地上波(邦画)] 6点(2017-06-08 18:06:20) |
89.2017.06/01 BS鑑賞。肝心の宮部と景浦の関係が描ききれていない。青年時代と老人時期キャスティングがアンマッチ。でも結構お涙もあり楽しめたし俳優陣も充実。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-06-02 00:16:17) |
88.《ネタバレ》 <原作未読>2014年の実写邦画ナンバー1ヒット作。今さらの鑑賞だけど、実に良かった。主人公・宮部久蔵は仲間が戦ってる最中も自身の命最優先で逃げ回る帝国海軍の恥さらし。そんな彼の運命を特攻作戦が変えていく。日本軍苦肉の策により、次々と無念の死を遂げる教え子たち。そして彼らの盾になるという任務を遂行できずにいる自分。宮部には、もはや自分だけが幸せに生きる道などなかった。自身の命にかえて、一人でも未来ある若者の命を救うことが彼なりの贖罪。特攻と言えば一種の洗脳状態のもと、国のために命を捨てるというイメージで、実際それが大半なのだろうけど、宮部のような特攻の形もあったのかなと考えさせられる。原作者のことはよく知らない。左の人たちから敵視されてるのかもしれない。でも作品はまた別。愛する妻、子供と暮らす何気ない幸せを戦争は奪っていった。特攻についても作戦と呼べない代物と断罪している。このようなことを二度と繰り返してほしくない。そんな思いがこもった立派な反戦映画だ。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-05-13 10:12:51) |
87.小説は読了済みです。正直永遠の0ブームにのかっただけの体裁を整えただけの映画だろうと思ってずっと敬遠しておりましたが、これは謝らざるをえない。すみませんでした。監督、スタッフ、キャスト皆様の魂の籠った素晴らしい映画です。いい作品を作ろうという心意気を感じました。 【ばかぽん】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2017-01-06 18:11:12) |
86.出撃して上空で逃げてた?ってのがよーわからんかった。三浦春馬が大げさなのも×。ただジーンとしました。英霊に敬意。 【すたーちゃいるど】さん [地上波(邦画)] 5点(2017-01-04 18:09:41) |
《改行表示》85.《ネタバレ》 映画としては面白かったが,いろいろ疑問は残った。 そもそも開戦の時期に航空隊にいるということは志願して軍隊に入った,エリート階級のはず。それなのにその戦争観はなんだ? また,夫婦と子ども以外の家族の描写ないのも不思議。普通だったら親戚がたくさんいるはず。夫が死んでも親戚で支えるはず。航空隊に入るようなエリートならなお更。 主人公の戦争観・人生観があの時代にしては特殊な印象なのに,それを裏付けるエピソードもなく,なんだか「主人公だけ現代からタイムスリップしてあの時代に生きなければならなかった」というような印象。かと思えば,あれだけ帰りたかったのに,最後は死ぬ道を選んだことも唐突に感じた。しかも,ただ死ぬのではなく,特攻して死ぬ……つまり,アメリカ兵を巻き添えにして死ぬことをかっこよく描写しているのが非常に不可解だった。 映画として「見て損をした」とか「陳腐だった」ということはないけれど,主人公のアイデンティティの裏付けがないまま,「こんな主人公,カッコいいでしょう」という描写を見せられた気がする。原作にそのあたりが丁寧に描かれているなら読んでみたい。 【プランクトン】さん [映画館(邦画)] 7点(2016-12-05 23:13:40) |
《改行表示》84.《ネタバレ》 小説の映画化としては、かなりよくできていると思います。最低限必要な部分を抽出して上手くまとめた感じ。 私の頭が幼稚なせいだと思いますが、原作を読んでも、この映画を観ても、戦争美化だとか反戦だとかいったことについてそれほどの主張は感じませんでした。 原作の中では、日中戦争の頃から話が始まり、ゼロ戦登場時の圧倒的な敵との性能差が徐々に埋まっていく状況や、終戦頃には敵戦艦の対空装備の性能が格段に進歩していたことなどが、一戦一戦の戦況変化と並行して丁寧に語られており、個人的にはこの辺りが非常に気に入っていたのですが、映画の中では一言二言触れる程度だったのが少し残念でした。まあでも、2時間に収めるためにはそれも致し方なかったのだと思います。 【マー君】さん [DVD(邦画)] 8点(2016-11-23 19:34:37) |
《改行表示》83.この映画を観た感想というか、この映画を観た人の感想を見て思った事をいくつか。 まず、戦争賛美だ反戦だ、といろいろ物議を醸すこの映画ですが【「百田尚樹」が書いたもの】だという要素を外して純粋に映画だけを観れば、僕には反戦映画に見えます。というかこれを観て戦争賛美に見える人がいるというのがよくわかりません。 どうしてもそう見えてしまう人は、「百田尚樹」の呪縛にかかってるんじゃないかと思います。 百田尚樹自身はまぎれもなく右寄ですからしょうがないところはあるのですが。 それから、僕にとって太平洋戦争は生まれる20年前に終わった戦争ではありますが、それでも戦争の記憶は世間に色濃く残っていて、それも含めて太平洋戦争についての知識や特攻隊の知識は当然もっています。 しかし、今のたとえば20代の人にとってみれば太平洋戦争は遠い昔の歴史の中の出来事。たぶん僕にとっての日露戦争くらいの感覚でしょう。 この映画(小説)の感想を読んでいるとおどろくほど「戦争の事はよく知らないけど」という文言が出てくるのですが、これってまさに劇中の健太郎の最初のスタンス。 劇中の健太郎は、祖父の事をいろいろ調べるうちに「歴史の中の他人事」が「自分にとって関係のある事」に変化していくわけですが、この映画を観た人も戦争というものを少し意識する事で今後の日本のあり方について真剣に考えるようになるのかもしれません。 考えるとっかかりがこの映画でも僕は別にかまわないと思います。 まぁ個人的にはこの映画は好きではないですが。なにしろ百田尚樹が好きになれないもので…(最初に書いたのはなんなんだw) 【あばれて万歳】さん [地上波(邦画)] 6点(2016-11-10 00:34:02) |
82.《ネタバレ》 昭和の左翼全盛時代では「特攻は無駄死にだった」と否定的にとらえるのが普通でした。でも近年は米軍資料が公開されてきて、米海軍に予想以上の損害を与え恐怖を呼び起こしていたことが明らかにされています。日本の戦争映画であまた製作されてきた“特攻もの”ですけど、本作では「腕は立つけど海軍いち臆病な戦闘機パイロット」というキャラを主人公に持ってきたところが目新しいんでしょうか。でもその宮部久蔵はとても疑問が多いキャラであります。この映画を観る前は「臆病」というのは「無茶な戦闘はしない」という意味で使われていると自分は思っていたんですが、それが全然違うんです。映像で見る限りでは敵味方入り乱れて空戦が戦われている最中に彼は戦闘空域を離れてただ見ているだけだったんです。彼は三機編隊の編隊長のはずで、部下が空戦しているのにそれはないでしょう。第二次大戦を生き抜いたエース・パイロットたちは「空中戦では慎重かつ細心に徹して決して不利な状況では戦わない」を鉄則としていたから空戦に勝利して生き残ったわけですが、それは決して逃げていたというわけではないのは当然のことです。こんな部下を見捨てるような人間をまるで良心的なヒーローとする原作者の感覚は、なんかおかしいんじゃないかと感じました。そしてこれはあくまで映画としての問題ですが、うすーい脚本のせいでこの宮部という人の人物像がさっぱり伝わってこないのも困ったことです。 観終わっての感想は、ちょっとカネをかけたTVの二時間ドラマだったということに尽きます。戦時中の話と現代をシンクロさせながらストーリーを展開させるというのは最近の邦画では頻繁に使われる手法で、「またこれか」とため息が出るばかりです。登場人物たちの会話は妙に説明口調のセリフばかりで、ここら辺もTVドラマ臭さが滲んでいます。そういえば原作者は放送作家上がりだそうですから、ある意味納得です。後半の宮部が戦死してからの展開がまた安易で、宮部の妻子の流転は懐かしの50年代新東宝メロドラマを観てるような錯覚に陥りました。 空戦シーンはほぼ100%CGですが、なんか妙に実感がなかったです。これはたぶん航空機に詳しいCGスタッフが参加してなかったからでしょう。ここは同じCGでも、最近量産されているロシア製独ソ戦映画の空戦シーンの方がはるかにリアルです。艦船にいたっては雑誌の付録についているCGムーヴィーと大差ないレベルでした。CG担当は最近『シン・ゴジラ』で話題の白組ですけど、しょせん彼らでもカネをケチられたらこんなもんでしょう。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2016-09-22 22:51:35) |