★5.オリヴェイラの映画は自由だ。と、そんなことぐらいしか言えないんだな。そこが一番凄いところなんだけど。この人にとって映画のストーリーがリアルかどうかなんて関係ないってのは確か。それでもそのリアルじゃない世界で生きている登場人物たちがその世界でリアルな存在でいるから不思議だ。オリヴェイラの映画ってどれもリアルであろうなんてこれっぽっちも考えた形跡がないのにその世界の中の人たちはその世界限定でリアルなのだ。ポルトガルで高名なアーチストが本人役で登場してもそれは変わらない。いろんなことがドラマチックに起こっているのに何も起こっていないような錯覚に陥る映画でもある。そのドラマチックさまでも、この世界限定でリアルになってる。事象は激しくても事象に伴う行動が映されないからそう感じるのだろうか。行動が映されなくてもストーリーは間違いなく進行している。これって映画だから出来るんだろうな。 【R&A】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-03-31 15:23:12) |
4.普通に考えれば、何故この世紀末(公開されたのが1999年)にこんな化石的メロドラマが作られたのかと首を傾げざるを得ない。原作は17世紀の小説で、現代に時代を設定しているものの倫理観だけはそのままなので、その貞操観念には苦笑を禁じえないだろう。また感情移入が望めないだけでなく、現代に設定する事で「エデンより彼方に」のような懐古調メロドラマにすらなりえず、さらにこの映画は盛り上がりが予想されるシーンを字幕のみでスルーしちゃう。画面にはキアラ・マストロヤンニが演じるクレーヴ夫人と、その親類や夫、あるいはシスター役のレオノール・シルヴェイラが座りながら/歩きながら会話をするシーンばかりが映る。オリヴェイラ翁よ、そこまでやるか。映画にストーリーという要素が欠かせないのは事実。だがストーリーだけが映画内時間の主役である必要はない。オリヴェイラはストーリーによる映画の起伏を拒否する。メロドラマという形式からここまで自由になった映画は空前絶後ではないか。ある評論家の小津安二郎評に「何を考え、何を言ったかではなく、何かを考え、何かを言うことにまつわる諸々の不自由を突き詰め、考え、そして言うことそのものをめぐっての映画を撮り続けた」とあるが、この賛辞の多くがまさにオリヴェイラにも当てはまり、そこからさらに邁進していくだろう。というのもオリヴェイラの偉大な同世代(ジャック・ベッケル、ジョセフ・ロージー、小津、マキノ・・・・等など)は皆死んでしまったが、オリヴェイラはまだ生きてますんで。オリヴェイラこそは映画史の生きた化石、最長老、八百比丘尼なのである。映画史が1世紀分丸ごと生きた映画監督の名を刻む瞬間はもう近い。 【追記】本当に刻んじゃいました(笑) 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 10点(2007-03-22 21:28:54) (良:1票) |
3.実はこれ公開当時に映画館まで観に行ったんですよ。銀座シネパトスっていうちょっと気取った感じの映画館に。結構期待してたのに蓋を開けてみたら点数通りメガドン級に面白くなかったんです、これが。あまりのつまらなさで帰り道、思わず涙が出てしまったほどです。それから10日ほど経ったある日、読売新聞夕刊の映画評論記事が「21世紀の幕開けにふさわしい真の傑作である」だなんて絶賛して。。。インテリの言うことは信用しないで自分の眼で映画は判断しましょう。 |
【ポジティブ】さん 3点(2003-11-04 13:02:19) |
1.この作品、「90年代の映画の最高傑作!」っていう人もいるみたいですけど、イマイチ良さがわかりませんでした。ヒロイン役のキアラ・マストロヤンニはエレガントだったし、面白い手法(コンサートシーンで、音楽は聞こえるけど写っているのは楽屋だけ、とか。「家路」でも似たような手法のシーンがあった)もあったんですけどね。厳格な母親の影響で貞節にこだわってしまうヒロインってのにどーしてもリアリティが感じられなかったんですよ。僕の映画の見方がまだまだ甘いせいかもしれないんですけど・・・。うむ、人間、一生修行だな。 【ぐるぐる】さん 6点(2003-10-13 15:13:27) |