3.《ネタバレ》 とある元狙撃兵が起こした無差別射殺事件。そのニュースを見て駆け付けた主人公のトムが、彼の弁護士と共に事件の不可解な証拠を突き止め真犯人を探す。
事件の捜査パートが思いのほか長いが出来はそこまで悪くなく、バリバリのアクションを期待していた私としては良い意味で肩透かしを食らい楽しめた・・・中盤までは。
終盤に差し掛かると無差別殺人の真相や黒幕、そして動機などが判明する(ここまでの捜査に関しては一応理には適っていたと思う)が、そのどれもこれも微妙。
中盤までの雰囲気から被害者や黒幕、そしてその他多くの人間関係が複雑に絡んだ社会風潮的なオチを期待していたがまさかの私利私欲。
被害者の殺害目的や黒幕の過去、そして主人公の人間性等あらゆるものの関係性が低く、ここにきて悪い意味での肩透かし。
敵も暗い過去や設定だけ聞くと凄そうなのだが、掘り下げが出来ておらず、敵の数も町で雇ったチンピラ含めて20人以下と少ない。なので『大悪党風の小悪党』ではなく『小悪党風の大悪党』でもなく『小悪党風の小悪党』とインパクトゼロ。
細かい所では裏切り者のミスリードが10分かそこらで終了したり、話が機械的に進み人間味が感じられなかったり(良く言えばストイック?)、折角出た設定や推理がその後に活かされない(被害者同士の関係を推理するが、それがその後の展開に絡まず、単にトムの推理力の高さをひけらかす役割しかない)等粗も目に付いた。
そもそも本作の様なドラマ+アクション+サスペンな内容はシーン一つとってもキャラの人間性や話を進展させるキーワード等色々詰め込まないといけないのに、捜査は捜査、ドラマはドラマしかしない上に上述した無駄シーンも合わさりとにかく浅い。
カーチェイスは普通だが格闘や銃撃戦は完全にM:Iシリーズに軍配。
総評
『もっこりを取り除きサスペンス要素を強めたシティハンター』を薄味にした感じ。中盤以降の失速感が半端無く、話の結末より6席横でビニールバリバリ音出してパン食ってたオバサンの方が気になってしまった。