29.《ネタバレ》 グロテスクで意味不明な映画というわけではなく、完全には理解できないけど「メディアの危険性」に警鐘を鳴らしている作品。かなり時代を先取りした良作ではないだろうか。おそらく当時の人は、突飛すぎていてあまり理解はできなかったと思うけど、今観れば少しは理解できると思う。 現代社会を踏まえれば、本作に描かれていることは大部分が現実化していると思う。 本作でジェームズウッズが体験したことを現代に置き換えると、「インターネットやDVDを通じて反社会的かつ、より刺激的な画像や動画に多くの人が群がる(劇中では「ビデオドロームへの関心」)」→「現実(リアル)と擬似(ヴァーチャル)の区別がつかなくなる者の増加(劇中では「ジェームズウッズの妄想」)」→「リアルとヴァーチャルの区別がつかなくなることによる犯罪の増加(劇中では「ジェームズウッズのテレビ局襲撃」)」→「現実からの逃避(メディアの世界にのみに生きるひきこもり)(劇中ではラストで「ジェームズウッズが自己の肉体を殺して、テレビ(ビデオ)の中で生きようとしたことの現われ」」という流れになると思う。 また、何年もの前に亡くなった俳優やミュージシャンが、亡くなった数年後でさえもCMに出演したり、CDを続々とリリースし、亡くなっているにも関わらず、まるで生きているかのような活動をする現象も、オブリヴィアン教授で見事に表現していると思う。 25年もの前に、このようなメディア社会の未来をずばり描いている点は凄いとしかいいようがない。 しかしながら、そうは言っても、刺激的な画像や映像によって、人々を反社会的な行為に走らせないようにしているのも事実だろう。人々はメディアを通じて疑似体験することにより、暴力的な衝動や性的な欲求を緩和することができ、犯罪が抑止されている。 本作は、その両面をカバーしているのではないか。メッセージ的には刺激的なメディアによる暴力行為増加への警鐘を鳴らすとともに、視覚的にはより暴力的な映像を駆使することにより、人々の暴力的な欲求を抑える働きをみせていると思う。 だから、クローネンバーグの映画はいつもグロテスクで暴力的なのではないだろうか。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-08-29 00:27:02) (良:3票) |
★28.《ネタバレ》 ジョン・カーペンターを謎にして一般受けしないようにしたような世界(爆)
演出にカーペンターっぽさを感じたのですが・・
クローネンバーグのほうが病んでいますね。
だからカルトなファンがつくのかもしれない。
映画の完成度はクローネンバーグのほうがすごいと思います。
でも観たいと思う気軽さはカーペンターのほうですね。
この作品は私的には非常に惜しいなぁと思うところがあります。
それが短い時間でありながら長く感じたところ。
コメデイなのか高尚なる風刺なのかわからない・・
その線のうやむやさがうまい監督がテリー・ギリアムなのですが・・
誰もが考えられないおなかからビデオやピストル。
あのグニューッとした演出は気味悪く面白いのですが、
なぜおなかからなのか??
どうも気味が悪いを通り越して笑えてしまう。
私は脳からビデオのほうを期待したんですが・・
あと関係のない変な日本の世界もどうかと。
サムライドリームって私は香水の名が浮んできて違和感(苦笑)
私が浮んだのはサムライとアナスイのスイドリームだっけ。
ちょっとこれらの香水を見るたびこのシーンが浮んじゃいそうだ・・
SM女役をブロンデイがやっててやけに似合っていた。
主役のジェームズ・ウッズも「ドク・ハリウッド」以来久しぶりに観ました。
よかった演出は今で言うネットカフェみたいな間取りの怪しくも質素な、
ビデオドロームの大元の店の世界。
そして犯罪に使おうとしているもっと怪しい普通のメガネ屋。
なんかすごい風刺の世界を的確に表現しているよなぁと感心したものの、
結局はそんなに重要な世界ではなかったみたいでした。
ラストは説明のしようがない後味の悪さ。
後味の悪い結末の作品は結構好きです。
何かを残すから。
でもちょっと説明不足で静止画で説明するような感覚的なものがあります。
テレビの中に逃げる男を撃ったあと胸から血を流し絶える男とか、
もうちょっとわかりやすい演出にしてほしかったですね。
まあこれがこの監督の醍醐味なのでしょうか。
テレビから吐き出された贓物?というのは結構理解でき気持ち悪かったです。
昔あったスピルバーグ制作の「世にも不思議なアメージングストーリー」
アレを思い出しました。
【アルメイダ】さん [DVD(字幕)] 5点(2006-05-28 14:27:06) |
27.《ネタバレ》 やっと見れました、この作品。実にクローネンバーグでした。伝統的ハリウッド映画と真っ向からの対立軸「暗い、湿っぽい、歪んでいる、バッドエンド」に真骨頂たるあのグロテスクさ。この時代の映像だからこその魅力もありますが、この作品と「裸のランチ」は、今の映像技術でリメイクしたらおもしろいと思います。ジェームス・ウッズも良い味出してました。その後も「デッドゾーン」のクリストファー・ウォーケンからジェレミー・アイアンズの2作品等に最新作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のヴィゴ・モーテンセンまで、この監督が起用する主演男優は「一癖」ある役者陣でこだわりを感じます。点数は甘めですが、クロネンバーグ・フリークだからしょうがないということで・・・。 【ぼぎー】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-28 02:28:36) |
26.《ネタバレ》 これについてはレビュワーの皆さん力が入っておられる。最近もう一度確認したくて見たけど。 「腹に何かがー」っていうネタって、ちょっとコントで爆笑する瞬間と似てるような気が。「マイナスの爆笑」ていうか。それと、ニッキー役の女優さんがブスだ。そのためウッズが助けにゆく気持ちに説得力がうまれない。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-31 22:57:23) |
25.夢か現実か、とゆーよーな主人公が幻想世界に入り込んでまうわけわからん系の映画は苦手やねんけど、これはそれなりにはまってもーた。クローネンバーグ監督のかもしだす映画の雰囲気がやはり俺にはあうんかな。人間が異質なものに変わるとゆう恐怖感を描くのがこの監督はリアルでうまいんかも。そしてお得意の独特なグロい特撮映像表現。ただこの表現には中毒性がある。オナカ、パカッ、銃、パクッ。そして必死に銃を探す。この一連の流れ、くせになる。ただ、ラストがなんとなく、あかん。 【なにわ君】さん 7点(2005-01-30 17:28:03) |
24.《ネタバレ》 ちょうど時代的に「情報化社会の不安」なんて事が言われ始めた時期を象徴するような作品。現実と非現実の融合する世界の強調は、当時からあったであろう、ホラー批判に対する皮肉とも取れる。いずれにせよ、その着眼点の先進性を評価したい。 見る者にとっては、結局、何が現実かはどうでもいいのだ。この現実すら自分の脳内が作り出した「虚像」でしかないのだから。 この世界を終わらせるには自らの命を断たねばならないという、監督独自の「現実世界」に対する恐怖感や諦観が良く出ている。 また個人的に昨今の「CG乱用映画」に憤りを感じていたところなので、久しぶりに、手作り感の溢れる特殊映像を見られた事が嬉しかった。古き良き時代よ…。 PS.ちなみに私が始めてレンタルで借りたホラーはこの作品と「デッドリー・スポーン」でした。一本1500円でした。一泊二日でした。これ以上は聞かないで下さい。 【FSS】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-01-18 17:58:07) |
23.現実と妄想が交錯するこの映画。入り方もいいし、メインへのもっていき方はいいが、これからが面白くなるだろうって時に失速。。 【A.O.D】さん 5点(2004-12-07 18:24:19) |
22.《ネタバレ》 ビデオの世界にどんどん人間の精神が支配されてゆく様を、見事に描いています。作られたのが1982年ですから、かなり早い段階でビデオに注目してた事になりますね、クローネンバーグは。ただ結局、結末の意味はよく分からなかったかな?「ビデオドローム」の世界に入り込み、「ビデオ人間」と言われるようになったマックスは、自分をビデオドロームの世界に引きずり込んだ人を次々殺してゆくのですが、殺し方もグロイ(@@;結局最後は、いち早くビデオ世界に入り込んでしまった彼女のニッキーに「新しい人間に生まれ変わるのよ」と言われ、ビデオドロームの世界を破壊。破壊した現実世界の自分も自殺という、ちょっと「?」って感じでした。でも途中までの引っ張り方はなかなか良かったですよ!でも「スキャナーズ」の頭爆発が苦手な人は無理かも・・・。 |
21.《ネタバレ》 俺の初レンタルビデオもコレです(笑)。夜中に見始めたンですが「ガツーン!」と脳髄の奥までキちゃってww 結局、朝までブッ続けで3回見ました。終始息が白くなるような肌寒さとか、無気味さと寂寥感が融合したような音楽とか、特殊メイクの神様リック・ベイカーの圧倒的な仕事ぶりとか…。その後のクローネンバーグの作品は、どんどんと精神性(心理性)を追求して行きましたが、俺は下世話さと哲学性のバランスが絶妙な『ヴィデオドローム』こそがクローネンバーグの最高傑作だと思います。ちなみに…バーチャルリアリティーブーム?の時に頭からかぶるアレ(わかる?)を見た時は「出たー!!」と思いました(笑)。この映画は発表以来常に「時代を先取りした!」と言われ続けてきましたが、21世紀の現在になっても、この映画の予言性は色褪せないですよね…。今なら『ヴィデオドローム』は、ネットを通じては世界中のエロ野郎の精神を侵食してゆくことでしょうね。俺も気を付けなくちゃ…(笑) 【追記】バーチャルリアリティーのアレに続いて、その後ネットカフェ難民が話題になった時も「出たー!!」と思った。そして…テレビの中では司会者の隣のモニーターの中から出演者がしゃべっている。(2020/09) 【幻覚@蛇プニョ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2004-06-05 01:02:25) |
20.《ネタバレ》 ヴィデオドロームを見る事で肉体に影響を受けるという設定は良いのだが、政治的陰謀に発展させてしまった為に、映像から受ける肉体変調の恐怖から国家権力への恐怖へと若干視点が変わり、テーマが希薄になってしまったような気がする。ヴィジュアル面では当時衝撃的だった映画なので惜しい。ヴィデオドロームがアダルトビデオではなくスナッフフィルムだと判明していく展開は悪趣味で良い。 【マーメイド】さん 5点(2004-01-17 06:01:08) |
|
19.この作品が20年前に作られた事を思うと、ビデオを使ったホラーというアイデアも秀逸だし、CGによるリアルな映像にならされた眼からみても、特殊効果は陳腐化していない。変形していく肉体はダリの世界かとも思われたが、映像世界の放つ中毒的な怨念の世界をより明快にストーリー表現してほしかった。 リングを書く前の鈴木光司はこの作品を知っていたかなあ。 【TSUTTY】さん 6点(2003-12-19 19:20:04) |
18.なんだこの展開(・・でも、悪夢か妄想のデジャブか・・なんか知っているような気も・・)なんだこの描写(・・でも、見たかったビジュアルだった気も・・)なんなんだこの映画(・・でも嫌いじゃない・・)変な監督だなー(・・でも、この人以外に出来ない・・またこの人の作品が見たい・・)あれ、おれ大丈夫? 【ウメキチ】さん 7点(2003-11-26 13:25:57) |
17.これはわたしにとって、とても思いで深い作品なんです。初めて観たクローネンバーグ監督作品であると共に、初めて借りたレンタルビデオ作品でもあるのです。わたしが中学生だった頃はレンタルビデオ店なんか初期の初期で1泊2日で1500円(高!)とか取られる時代だった。 そんな初期のレンタルビデオ店の目玉作品がこの「ビデオドローム」だった。わたしはどうしても見たくて会員費1000円と1泊2日1500円の2500円も払い、この作品を借りたのだった。家に着いた頃はちょうど夕飯時、茶の間にはすでに夕食が並べられていた。ここで普通は、さっさと飯を食って自分の部屋でゆっくり鑑賞したいところなのだが、当時ビデオデッキは大変高価なもの。普通の家なら茶の間に1台しかないのは当たり前の時代だった(多分)。しかし早く見たかったわたしは、そこで何を血迷ったか家族にこう提案した。「今日はレンタルで映画を借りてきたからみんなで観ながら食べよう!」と。家族もレンタルビデオなど初めてだったので快く承知してくれた。早速テープをデッキに挿入、映画が始まった。それから数十分後・・・テープはレンタル店の袋に戻され、テレビの画面にはニュースが映し出され、会話のない気まずい雰囲気だけがそこにあった。それから十数年、最近DVDで鑑賞し、改めてこう思う。クローネンバーグは変態監督で、この作品は家族では観てはいけないと。 【カズゥー柔術】さん 7点(2003-11-26 12:26:44) (笑:8票) |
16.どんな点をつけていいか分からないので5点で。いい意味でも悪い意味でもかなり疲れました。実写なのにあの歪み感、すごいっす。荒木飛呂彦ばり。気色悪かったです。クローネンバーグ作品に「気色悪い」は賛美の一種かも。 |
【のりまき】さん 4点(2003-11-07 17:23:43) (笑:1票) |
14.全編クローネンバーグ一色 全ては妄想だったのか???? 【BAMBI】さん 7点(2003-10-21 13:59:32) |
13.映像表現のグロさに見るところはあるものの物語にどうも魅力がない。ていうか退屈でした。テーマそのものには面白みがあるんだけどどうも消化しきれていない感じ。深みがないのです。そういえば体の中にビデオを入れるシーンはあるジャンプ系漫画を彷彿とさせました。多分ここから引っ張ってきたのだろうなぁ・・。 【ぽぽ.net】さん 4点(2003-08-16 03:30:28) |
12.《ネタバレ》 初めて見たときは食事の後に見たので気持ち悪くなって、胃がむかむかしました。2度目に見て不思議に惹きつけられることに気がつきました。なので初見より+2。下の方同様「リング」は、この映画のアイデアとかなり似ているなあと思いました。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2003-08-16 03:11:37) |
11.いま思うとかなり濃い作品。なんでこんなの好き好んで観てたんでしょ? だが、ヴィデオが普及しつつあった当時に、映像表現が持つ一種の危険性を訴えた社会派作品として見ればなかなか良いでき。実際、昔より犯罪が増えたり多様化したのは、(他にも要因はあるが)ヴィデオの普及と無縁でないと思うしねぇ。 余談だが、再生中のビデオの中で「マイネーム イズ リッキ」って言ってる唇、もといセクシーな女性はブロンディってグループのボーカルでしたよね、たしか。名前は失念したけど。 【じゃん++】さん 7点(2003-07-22 06:42:24) |
10.初めて観た時、ストーリーはワケわかんなくても、とにかく映像がすごくて(ほんとに腹に手を突っ込んでるぞ)、圧倒されて「ああ、こういう映画が有ったのか(有り得たのか)」と、非常に鮮烈な印象を受けました。後の「イグジステンズ」や「裸のランチ」はあまり好きにはなれないのですが、本作はちょっと別格です。 【鱗歌】さん 9点(2003-06-22 01:41:19) (笑:1票) |