4.《ネタバレ》 まず邦題が最高の優れもの!誰のお仕事かは存じませんが(水野晴郎ってことはまさかないでしょう)、これほど映画の内容を的確に伝える邦題は滅多にあるもんじゃないです。 ヒッチコックが脱走ものを撮ったらこんな感じになるんじゃないかと思える洒落っ気が楽しいところですが、これも主演にジェームズ・ロバートソン・ジャスティスを使ったのが勝因でしょう。この人『ナバロンの要塞』などの主に60年代の戦争映画で良く見かける髭面のいかにも英国紳士という風貌の俳優ですが、主役を演じている映画となると非常に珍しいです。劇中で空軍将校に化けようとすると「空軍の規則では髭はNG」と言われて海軍将校に変更するエピソードがありますが、これは一種の楽屋落ちでしょう。実際この人の髭を生やしていない顔は映画では観たことないですから、髭は完全に彼のトレードマークなんでしょうね。 この映画で実行される脱走は『アルゴ』の作戦とほとんど一緒です。まさかCIAの担当者が本作を観て考えついた計画ではないでしょうが、まさに“事実は映画よりも奇なり”ということですね。ラストの敵味方の戦後の再会も微笑ましいし、こういう登場人物が誰も死なない戦争映画というのもまた良いもんです。