★183.2008年に修復したフィルム。 配信の技術も素晴らしく、スッキリ綺麗な映像を観られた。 ずいぶん前にビデオ録画した黒沢作品は(どの作品かは忘れました)ぼやけて見づらかった。 時代が進むと、昔の名作が当時のものに近く観られる。 嬉しい進歩に感謝。
さて、「羅生門」のレビューに移ります。
光と影をこんなにも美しく撮影できるとは! そして三船さんの活発で残酷でイキのいい演技。 端正な顔がくるくると表情変わり、美しくコミカルな動き。 深刻な話しでありながら、おかしみも感じられる。 京マチ子さんの体当たり演技も良かった。
不気味な羅生門での3人のやりとりにも引き込まれた。
これぞ映画と思わせてくれた名作。 【たんぽぽ】さん [インターネット(邦画)] 10点(2022-06-21 13:00:08) (良:1票) |
182.個人的に初黒澤。三船の豪快さと京マチ子の品の良さが光る。人間のエゴや自己都合の良さ、業というのをさらけ出す。鑑賞終了後一気に芥川の羅生門も読破。根底は一緒。黒澤はちゃんと咀嚼している。このテーマ性は現代作品でも応用できそう。 【タッチッチ】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-06-21 20:14:32) (良:1票) |
181.《ネタバレ》 どいつもこいつも皆嘘つき。 でも人を信用したいという坊さんまで人を疑ってしまう始末。 でも子供を育てようと改心するオヤジに、最後は救いのある結末でした。 【クロエ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-12-06 23:00:58) |
180.《ネタバレ》 本作品は、黒澤監督が世界に認められた作品ではあるが、 いつもとちょっと違う。 三船と志村の演じる人物の対比がない。 そして京マチ子の出演である。 妖艶な京マチ子がここではあどけない女性のような表情を見せる。 筋も面白い。 芥川の「藪の中」を黒澤風に料理している。 鬼才黒澤の世界からの祝福は、日本映画史に残る大きなポイントだろう。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2020-06-14 19:58:15) |
179.黒澤明の映画は結構観ていますが、本作はまだ観ていなかったのでBS4Kの放送で鑑賞しました。黒澤映画にしては短めで一気に観れました。人間のエゴイズムを追求した名作なのでしょうが、私にはテーマが重すぎたかなと思います。ダイナッミックで娯楽色の強い黒澤作品のほうが好きです。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-05-25 06:38:37) |
178.《ネタバレ》 原作未読。 雨の羅生門と猛暑の藪の中、そして検非違使での告白と3シーンにおける、今でいうところのシチュエーションミステリー。 特に京マチ子が顔に汗を浮かべながらの妖艶な演技が印象に残る ある強姦事件を当事者たちが全く違う視点で供述を展開し、さて真実はいかに…という展開がユニーク。 しかもその全員が自分に都合のよい解釈(つまり都合悪い点を改変している)で告白するわけだが、恐らく最も真実に近い告白をする志村僑(事件の目撃者)ですら、自分に都合の悪いこと(短刀のこと)を隠している。 興味深いのは、結局多襄丸と武士との決闘もお互い「へっぴり腰」だったということ。 本作は戦後まもない時期の作品だが、恐らく戦争での歴史や回想というのも似たようなもので、大本営発表の例を持ち出すまでもなく、また一人ひとりの戦地での回想も自分に都合よく、そして自分に都合悪いことは語られなかったであろう。 しかし、最後はそうした人間の暗部を認めつつ、それでも人間に希望を示して終わるエンディングもよい。 本作は戦後という時代背景も踏まえ、人間存在の本質を焙り出して見せた黒沢監督の力量が光る名作。 【田吾作】さん [地上波(邦画)] 8点(2020-04-27 12:01:02) (良:1票) |
177.《ネタバレ》 女は犯され、男は死んだ。それだけが事実。だが誰の視点で詳細が語られようが、自分の有利なように繰り広げられる"物語"がそこにあった。真相が醜悪で泥臭いものだとしても、受け取る側は好みの情報を事実として広めていく。まさに現代社会のマウンティングとファクトチェックそのものだ。最低限のセットだけで中世と感じさせる黒澤明の力量は言うまでもない。京マチ子の多重人格にも似た怪演が、男の所有物として踏み躙られてきた女という生き物が、如何に時代をしたたかに生きてきたことを印象付ける。人間の愚かさに直面しながらもそれでも世は捨てたものではないと思わせる重厚なヒューマニズムが、モノクロ画面に鮮やかに焼き付けるラストが心に残る。たとえその意見が個人から見た美談だとしても・・・ |
176.《ネタバレ》 舞台は、藪の中、羅生門、検非違使への証言の場という、3つだけ。登場人物も少ない。それでも、動きと光を巧妙に捉えた演出と、表情豊かな演者の存在感に魅了され、目が離せない。作り手の工夫が詰まっている。 【カワウソの聞耳】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-01-29 08:50:11) |
175.上映当時はわからないけど、現代では人間の本性についての描写も特に目新しいものはない。セットは雰囲気が出ていて素晴らしい。 【noji】さん [インターネット(邦画)] 5点(2019-12-22 23:52:48) |
174.《ネタバレ》 中世の日本を舞台にした、黒澤明監督による名作サスペンス・ドラマ。雨降りの羅生門の下で、殺人・強姦事件について語らう3人。三船敏郎が鬼気迫る怪演。マチ子ちゃんは感情豊かに熱演。 【獅子-平常心】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2019-09-24 00:47:31) |
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173.《ネタバレ》 この映画のヴェネツィア映画祭グランプリ受賞は、今はどうなっているのか知らないけど私らの世代では中学校社会の教科書に湯川秀樹のノーベル賞受賞とともに戦後の文化の欄に必ず記載されているトピックスだった記憶があります。映画の内容はとても文部省が中学生に推奨するものような代物じゃないし、実際観ても中学生ぐらいじゃ理解できないでしょうけど、ちゃんとスチール写真付きで載ってました。教科書を執筆するお偉い大学教授なんかも実はこの映画を観てないなかった、なんてところが真相なのかもしれません。 とはいっても世界の映画作家に与えた衝撃とその影響は、『七人の侍』以上のものであることは確かです。これほど知的に撮られた時代劇は前代未聞で、そのシンプル極まりないストーリーテリングと相まって現代でもまったく色あせてないと思います。多襄丸・侍・妻の三者の言い分が全く違って、その再現劇が三人ともまるで違う人格みたいなところが面白いし、中でも京マチ子の三変化が凄まじいレベルに達しています。昨今の“me too”運動に熱心な意識の高い方々には「実にけしからん映画だ!」と上映禁止運動が起きそうな内容とも言えますが、悪いけど自分には三人の中では京マチ子がもっとも女性というか人間の本質を出している気がします。「門を造るだけだから安く上がります」と会社をだまして凝りまくった羅生門のセットは見事の一語に尽きます。そして受賞したときのドタバタというか大騒ぎのエピソードの中でやはりいちばん強烈なのは、授賞式に日本から関係者は誰も出席してなかったので、急遽街中で見つけたヴェトナム人を引っ張って来てトロフィーを渡すセレモニーを強行したことでしょう。もちろんトロフィーはすぐ回収して日本に贈られたそうですが。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2019-09-17 23:16:09) |
172.《ネタバレ》 聞き取りづらい。字幕つけてほしい。 【チェブ大王】さん [地上波(邦画)] 5点(2019-08-25 14:52:04) |
171.はじめて見た黒沢映画でした。 芥川龍之介の『羅生門』と『藪の中』がミックスされている。 舞台を見ているような作品。 三船敏郎は強烈にパワフルです。 【めたもん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2019-05-05 21:31:41) |
170.面白い構図。そしておそらく当時のわかり易さを考えた台詞回し。 以前観た時はもう少し深く入れたが、二度目は何故か少々退屈。雨の羅生門のシーンは良いが。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2019-02-11 14:19:46) |
169.《ネタバレ》 最初見た時は、分からなかった。でも、そういう話。有名な太陽を撮ったシーン。土砂降りのシーンなど、見所多し。京マチ子が妖艶だが、それ以上に三船がエネルギッシュでセクシー。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 8点(2019-01-13 09:27:35) |
168.《ネタバレ》 良かったのは、「自分は殺してない」じゃなくて、皆が「自分が殺した」と言ってるのが面白く、 それに自分のプライドや見栄のための嘘が混じってるところが現代でも通じるところ。 白黒だけど、木漏れ日や風のそよぎや川の流れなどの映像が綺麗だったこと。 でも、ストーリーが面白くないので退屈してしまいました。 最初のうちは、真相はどうなのかという興味で見てたけど、必要と思われないシーンが長々とあったり、 女は汚されたら自害しろとか、女自身も自分を男の持ち物のような言い方をしていることにも、 昔の話とはいえイライラしました。 「七人の侍」なんて長時間でも片時も目を離せないくらい面白かったのに、これは内容が合わなかったようです。 【nanapino】さん [インターネット(邦画)] 5点(2018-06-10 13:57:58) |
167.人間のプライド、恥、欲、優しさ を見事に描いてた思います。 俳優の演技はもちろん、演出もすばらしい。 ちなみに、以前レンタルした、DVDは、音声も聞き取りにくく、字幕もはいなかったので、途中挫折しました。 VODで再鑑賞。セリフも聞き取れ(イヤホンのおかげ?)、字幕も入っていたので、わかりやすかったです。 【へまち】さん [インターネット(邦画)] 8点(2018-01-21 12:00:36) |
166.説話的物語の落とし所に明治・大正の香りが漂う。人間の本質を描くのに野獣のようなメスの争奪がベースではあまりにもシンプルで寂し過ぎる。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-11-12 20:53:03) |
165.《ネタバレ》 殺人事件が起こったが、当事者全員(イタコを介して霊界からお話している被害者当人を含む)が「殺したのは自分だ」と主張しているという、なんとも不可解な裁判。 多襄丸:真砂を巡って金沢と正々堂々決闘し、自分が勝った。 真砂:多襄丸に傷物にされて自分を見る夫の目が変わったため、後追い自殺をするつもりで金沢を殺した。 金沢:多襄丸の女になろうとした真砂の裏切りに失望し、自害した。 しかし、第三者が目撃していた真相とは、レイプで傷物になったことを金沢に責められた真砂が逆上し、二人の男を煽って決闘させたが、決闘に不慣れな侍と盗賊はへっぴり腰の泥試合を演じた後に、ギリギリ多襄丸が勝利したというものでした。 本作が優れているのは、通常は無罪を主張して当事者達がウソをつくという法廷劇の構図をひっくり返し、全員が「我こそが犯人」と主張するという捻じれた物語を作り上げたことと、その風変わりな構図から、人間には罪を被るという実害よりも優先したいほどの強力なプライドがあるという普遍的な物語を描いたことでしょうか。 さらに、本作は俳優陣の熱演もあって登場人物3人が誰もウソをついているようには見えず、各当事者にとっては、本当にそのように物事が見えていたのかもしれないという解釈も残します。人は、自分にとって都合の良いように物事を認識し、記憶するという性質を持ちます。多襄丸は豪快な盗賊としての物語を、真砂は最後まで夫に忠実な良妻としての物語を、金沢は妻を守れなかった自分の落ち度を隠す(=そもそも真砂は守る価値のない女だった)物語を求め、それぞれの物語に合うように事実を歪めて記憶していたのではないか。そうした解釈の余地が、さらに本作の意図を深めています。 本作を最初に見たのは中学生の頃でしたが、正直言って当時は全然ピンときませんでした。内容の複雑さに加えて、セリフの聞き取りづらさもあったのですが、今回はリマスター版で音声も改善された上に日本語字幕による援護射撃もあって、「この映画はこれほど高尚なことを語っていたのか」とひたすら感心させられました。 これは黒澤映画全般に言えることですが、録音機器の問題でセリフが聞き取りづらい上に、口語では分かりづらい難解な表現も多用されるため、日本語での鑑賞がかなり困難という厄介な代物となっています。本作や『七人の侍』が国内よりも海外で評価されたのも、字幕で鑑賞している外国人には、原語で見ている日本人よりも的確にセリフの意図が伝わったからではないかとすら思ったほどです。 あともう一点難を言うと、「レイプされた女は自害すべき」という価値観が登場人物全員の口から出てくる点には、ちょっと馴染めませんでした。これは時代の問題でもあるのでしょうが、第一の被害者であるはずの真砂の扱いがあまりに酷すぎないかと。 【ザ・チャンバラ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2017-11-10 18:43:47) (良:3票) |
164.《ネタバレ》 カッコつけたがりの多襄丸タイプ、プライドだけは人一倍の侍タイプ、女としてのイメージと自分の都合が大事な侍の妻タイプなど、現代にも、似たような人たちがたくさんいますよね(笑) 人間って、社会や時代背景によって考え方や価値観が変わったりしますが、本質は昔も今も大差ないってことですね。 死体が発見され、殺したのは誰かを明らかにする取調べシーンでは、3人(死んだ人も含めて)とも証言がバラバラ。「自分がやったのではない!」ではなくて、みんな「自分がやった!」と言い張ります。何のために・・・? それがこの映画の主題である「人の心が信じられなくなる恐ろしい話」なんですね。 その救いの意味を持たせようとする、ラストの捨て子をめぐる三人のやりとりは蛇足のような気がしましたが、小説の面白さを映画的な面白さへと変換させた脚本は素晴らしいと思います。 始まってすぐ、内容もまだよくわからない段階で、いきなり音楽にやられちゃいました! 木こりが森にたきぎを切りに行くシーンで、ボレロ・羅生門バージョンですかー!(笑) 個人的には、これだけでこの映画に満点を差し上げたい気分でした♪ モノクロ映画だから、という理由なのか、森の中の光のコントラスト、かなり意識して作った感じですね。これも黒澤監督のこだわりなんでしょうね。 また、三船敏郎といえば、多襄丸のような「豪傑!」タイプのイメージがありますが、この映画の終盤、女にタンカを切られてツバかけられて「トホホホ・・・」という表情、これは最高でした! この作品を含めて、昔の日本って、かなりの映画先進国だったのでは? 今の時代からは決して生まれてこないような、骨太の作品がたくさんあるように思います。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-10-03 22:08:15) |