23.《ネタバレ》 随所に小津さんの作風が観られましたが映画全体としては月とスッポン、雲泥の差がありました。 小津作品は親子、兄弟、男女等々・・・様々な人間関係が織りなす機微を繊細かつテンポ良く描いています。 その中に時折映し出される静謐な情景が観るものの心の琴線に触れるのです。(「東京物語」が好例です) しかし本作品は喜怒哀楽・起承転結がほとんど感じ取れないストーリーなのでいくらローアングルで部屋を、そこにたたずむ人を、 また能登の風景を映してもなんの感情も起きません。 とにかく登場人物のキャラがあまりわからぬままストーリーが展開するのでゆみ子にも民雄にも感情移入(共感)できず、 あげく郁夫の自殺の原因は「幻の光を見たから・・・」で締められては何の奥行きも深みも感じられず開いた口が塞がりませんでした。 マァ私は「映画は芸術ではない、娯楽だ」派なので映像美だの、音楽性だの、監督の世界観だのと言った高尚な感性は一切持ち合わせておりませんのであしからず。 【yoroshiku】さん [DVD(邦画)] 1点(2023-11-05 17:42:47) |
22.《ネタバレ》 柴咲コウみてえな若きマキコちゃん。前夫に自殺され、再婚して能登に行ってもずっとずっとず~っと悩み続けるアタシ。とにかく暗くて重い。「赤い花白い花」を口ずさむシーンしか印象に残らねえ。天下の是枝裕和初監督作品…全くもって申し訳ないんだけど駄作。 【獅子-平常心】さん [DVD(邦画)] 5点(2021-09-15 01:26:17) |
21.《ネタバレ》 是枝監督の映画ではなぜか後回しにしていた本作、過去の作風を確かめるように鑑賞しました。映画全体に漂う空気(雰囲気)は好きです。奥能登にある海べりの寂れた寒村。その狭い入り江は、ゆみ子の人生にはもう逃げ場がないことを暗に示すようで、寂寥感を漂わせます。水面に鏡のように映る走る子供たちの姿や、水平線に沿って歩く砂浜の葬列など、構図のアイデアも光るものがありました。脚本については予想通りと言うか、良くも悪くも是枝監督の映画だな、といった印象です。事の発端である郁夫の自殺については、本人の登場も台詞も少ないので、動機どころかその人物像自体が"謎"のまま。郁夫やゆみ子はいったい何を思っていたのか?答えを全て見せずに、その心のうちを視聴者にじっくりと考察させるあたりは、挑発的で面白いと思う。しかし悪く言えば説明不足なので、これは好みが分かれるところです。本作から長らく続くことになる、是枝監督の挑発とそれを受けて立つ視聴者たち。この頃からすでに、監督流のスタイルが確立されていたことを知っただけでも、今回鑑賞した甲斐はありました。 【タケノコ】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-10-26 23:05:14) |
20.《ネタバレ》 海辺の村の時間の流れ方、ロングばかりではっきり見せぬ江角の美しい顔、子どもたちの自然な振る舞い。後の是枝節の萌芽はあちこちで見受けられる。是枝は職人になりたかったらしい。すると周囲から作家でいてくださいと言われたらしいのだが・・。確かな演出。奇をてらわぬ素材。海外で賞をとったのもうなずける。でも江角の美しさに票が集まったのかもしれない(笑) 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2016-07-30 23:58:56) |
19.《ネタバレ》 ふむ、、、これは「痛みの忘れ方」についての難しい問いを投げかけられたような感じがします。原作は未読(あんまり宮本輝は好きじゃない)。元夫が本当に死のうと思って自殺したのか、このままだったら死ねるかなー、程度で本当に死んじゃったのかは分かりませんが、前者と後者では私にとってはかなり受け止め方が変わってきてしまうので、ここが不明な本作の場合、評価はヒジョーに難しい。後者だとすれば、現夫の言う「そういうこともあるやろ・・・」というセリフはまったくもってその通りで、つまり、これは、大切な人を失った場合に遺された者がその痛みをどうやって忘れていけばよいのかという一つのあり方を見せてくれた作品ということになります。まあ、遺書を準備していたわけでもないので、後者だと解釈して点数を付けようかと思います。やっぱり私は、人は死ぬまで生きるべし、という考えの持ち主で、自殺者に対しては(状況によるけど)基本的に同情しにくいものがありますので。生きている人間は、悶え苦しみながらも現実を生きなきゃいけないわけで、そうすると、「忘却」というのはある種必然の作用です。震災後の今もそうだけれども、世間で一大事が起きると、大抵「あの悲劇を忘れるな」という論調が支配的になります。でも、市井に生きる庶民は、本当は忘れないとやってらんねぇという部分も多々あるんでは。こういう場合は、「忘れるな」ではなくて「学べ」というべきなんでしょうなあ、きっと。でも、学びようのない悲劇も一杯あって、本作はその最たるものの一つでしょうね・・・。ゆみ子は、幸い精神的に上質な男性と再婚しているので、うまく痛みを忘れていけるのではないかと感じさせる終わり方で、良かったのではないでしょうか。義父の柄本明が出色です。ゆみ子の息子を、初めて家に来たとき無言で膝に乗せるあのシーン、一番印象に残りました。 【すねこすり】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-03-31 22:00:48) |
18.ただただ遠引きの映像で語りかける映画。台詞も少なく、ストーリもじっくり進む。この映像を観て、魅了できるか退屈と感じるかで評価は分かれる。私は後者だった。私もこんな映画をじっくり見れるようになりたいものだ。 【たこちゅう】さん [地上波(邦画)] 5点(2011-01-10 23:57:55) |
17.小津へのオマージュが感じられる作品でした。幻の光に魅せられたんだ、というのに納得できるかどうかが分かれ目なのでしょうか。前半はすごく面白かったのですが、後半は少し退屈でした。あの何とも言えない間が素晴らしいのだけれど、ストーリーとしては特に何もないです。絵の美しさはあるけど、今ひとつ。前の夫の自殺に疑問を感じながらも今の生活に慣れていく江角マキコは良かったです。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-10-29 00:38:06) |
16.自転車から自転車へ。人が消えていく周囲を自転車のモチーフがめぐって統一感を出している。話のポイントは、イクちゃんの死を驚かせ、しかし後半で、そういうこともある、と納得させていくところだと思うんだ、そういう意味では成功している。謎が現実の中で解かれるというんじゃなくて、現実が謎と溶け合ってしまう、というふうに。映画のスタイルがそういう方向なの。ただ実感を欠くんだよね。とっても美しく詩的なんだけど、その分、散文の持つ実感からは離れていく。そういう映画なんだから文句をつけるのは間違ってるんだろうが、この実感のなさは映画の手応えとして少々物足りなくはあった。締めが葬列ってのもちょっとつまんない。美しくはあるんだけど、死と離れたもので、死につながる何かがあればいいと思った。子どもらが遊ぶシーンも美しかったなあ、水を張った田の脇を駆け抜け、廃船に立ち。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2009-11-28 11:52:44) |
15.《ネタバレ》 全編通じてドキュメンタリータッチだけどあまりにも暗くて重すぎる。 【osamurai】さん [DVD(字幕)] 4点(2009-07-04 19:40:15) |
14.演出から暴力、激高、爆発、セックス、超常現象などを排すると、こんな形になるのかなという映画。落ち着かされる感じで心にしみます。少々人間らしくないかなとも思いますが、このくらいの平静な心持ちで生きていけたら良いなとも思います。 【チューン】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2008-01-28 20:28:19) |
|
13.どっしりと構えられたカメラによって映し出される画はどれもが程よく素晴らしい。構図はほぼ完璧。なのに何か物足りない。完璧すぎて面白みに欠けるってのもあるかもしれないが、構図がいいのが目立ちすぎている。生活感が乏しいのはそこに起因しているかもしれない。べつに生活感が無いからダメってことじゃなく、むしろ再婚する以前の生活は虚構性を帯びたほうが良かったと思うのでいいと思うのだが、それも結果的にそうなったにすぎないことはその後も同じような画面が続くことからも明らかで、どうも構図だけにこだわりすぎて、お話を語るうえでのリズムを無視しているような感じ。よくわからんが。とにかく何かが足りん。 【R&A】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-11-22 13:34:29) |
★12.《ネタバレ》 “誰も知らない”の是枝裕和監督作品。この人の撮る映画は苦手。えらく退屈に感じてしまう。しかも、この作品は格別に退屈と感じた。遠目のショットが多すぎ。話もつまらない。浅野忠信も前半で早々と死んでしまうので、途中で作品に対する興味が引いてしまうのも、つまらなく感じた要因の一つ。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 2点(2007-09-04 09:37:35) |
11.《ネタバレ》 宮本輝のファンである僕が一番はじめて触れたのが、幻の光だった。女の独白によって語られる物語に人生の哀歓と、賛歌を感じたのを覚えている。さて映画だが、原作にほとんど忠実に作られている。台詞もそのまま使われているのではないだろうか。しかし、見終わった感想として、期待しすぎたからだろうか、物足りない印象があったのは間違いない。整った美しい画の中にさらりと感情を描くのは、是枝監督のリアリズムであるのだと思うが、果たして小説を読んだことのない人に、伝わるのだろうか、疑問である。原作を知っているが故の感想なのかもしれない。是枝監督にとっての「幻の光」であると考えれば、感情表現をぎりぎりまでに抑えて、富山の風景と、人物の何気ない会話、動作と、丁寧に愛情を込めてつくられているこの作品は、すばらしい映画であるのかもしれない。 ただ僕が感動したのは、愛していた男との埋まることのない距離を必死に埋めようとする女の悲しい独白であり、原作者宮本輝の人間観であったので、やや物足りない。 【K・T】さん 6点(2005-02-27 04:37:20) |
10.「誰も知らない」の監督さんが、徹底的に暗さを追及して作ったような映画でした。 場面は夜が多く、着ている服も全編を通して黒が多かった。 舞台の能登も「これでもか!」というくらいに暗く撮られている。 実際に北陸に住んでいる私としては空の色がとてもリアリティがありました。障子や畳も暗さを際立たせていたと思う。 波の音は集音マイクで拾いすぎ! あんなにもうるさくないし。 いろいろ突っ込みどころはありますがよく作ってくれたと思います。 海辺の町という美しい雰囲気とはかけ離れているけどタイトルの意味が「不吉な光を発する海」ということだから仕方ないでしょう。原作は「死」を強調した物語でしたが、映画は「生」を描いていたと思います。もちろんこれは映画ですからそれで構わないと思いました。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 7点(2004-11-14 18:22:44) |
9.私は原作は読んでないけど、江角マキコにすごい違和感を感じる。なぜだろう…。 【paraben】さん 4点(2004-10-15 09:56:45) |
8.《ネタバレ》 テンポがかなり遅いんで眠くなってくる…けど話そのものは悪くなかった。 突然、愛する人を失ってしまった悲しみ。しかもその理由が自殺だとしたら戸惑うのは当然で…祖母の場合も責任は自分にあると思わざるを得ない状況。 こんな経験を2度もしてしまうと、そう簡単に人を愛する事なんかできないでしょうね…。 いろいろ考えさせてもらいました。 【ふくちゃん】さん 5点(2004-06-13 14:30:30) |
7.淡々と過ぎる日常の中で突如襲ってくる”死”これをいかに受け止めて生きてゆくのか。日常の中での物語であり盛り上がりには欠けるが、見た瞬間にそれとわかる小津調のきれいに整えられた構図や能登の風景が美しく描かれている。ただラストシーンの義父とのシーンとセリフは幾らなんでも、やり過ぎではないですかね。 【亜流派 十五郎】さん 5点(2004-06-10 15:59:48) |
6.最近新聞紙上で是枝監督自身がこの映画を撮るに際して小津安二郎を意識していたと述べていました。やはり小津のイメージに引きずられてしまったところがありますね。それに気づいた監督が、自家薬籠中のドキュメンタリー・タッチに戻って行ったことは理解できます(少し残念でもありますが)。でもわたしはこの作品好きですね。人物描写にやや深みが欠ける気がしますが、他方画面の暗さ(ビデオはよく見えないほど暗い)が結果的に程よいバランスをかもし出していました。いっそう経験を深めた是枝監督自身の手になるリメイク版をいずれ観てみたいと思います。 【バッテリ】さん 8点(2004-01-15 20:32:42) |
5.江角の起用は確かに原作を読んだ人にとって不満があるかも知れないけど、その起用は理解ができた。キャスティングで何がひっかかったかと云えば、浅野忠信と江角マキコのカップリング。酷く合わないと思った。 |
4.淡々と流れる時間やその中で静かにもがく主人公の描写など、映画としてハッとする部分はあるが、全体的に間延びする感は拭えなかった。冒頭、江角マキ子演じる主人公の旦那役の浅野忠信の不可解な死によって物語は始まるが、その後の展開はあまりに盛り上がりがなかった。 【鉄腕麗人】さん 4点(2003-11-25 17:04:25) |