30.《ネタバレ》 舞台版の「マンマ・ミーア!」は、出張で行ったロンドンで初めて見た。面白かったので、次に出張で行ったラスベガスでも同行者に見せてやろうと思って一緒に行った。
あれ以来、このミュージカルが映画化されるのをひそかに心待ちにしてきた。
やっと日本で公開されたので、これだけはいい設備で見ようと思い、このところ足が遠のいている映画感に足を運んだ。
見終わっての感想を一言に集約するなら、「劇場版の方が数倍良かった・・・。」
まず、メリル・ストリープを始めとする俳優陣の老け具合が気になりすぎる。
はつらつさが売り物のミュージカルなのだから、メイクでもCGでも使ってもっとごまかして欲しかった。
ターニャが自分に言い寄ってくる若い男を軽くあしらいながら歌う「Does Your Mother Know?」のナンバーなど、あばら骨の浮き出た胸をさらけ出されても正視に耐えず(こういうのってセクハラ発言?美意識の問題だと思うので書いているのだけど)。
メリル・ストリープが歌い、踊るシーンもまるで自分の母親が踊っているのを見ているような気恥ずかしさがある。演技派としての姿しか見たことがなかった彼女に、ミュージカルシーンは違和感が大きかった。ちょっとミスキャストでは?
だいたい娘が20歳で、しかもそこそこ遊び人の母親だったんだから親たちに40歳ぐらいの俳優を配役しても十分おかしくないのだ。30代でもいけるかもしれない。
「人生後半に入ってからの再出発」をテーマに入れたいにしても、そんなの演出や設定でどうにでもなるだろ。
劇場版の俳優陣の年齢はよく分からないが、遠くから見るステージと、クローズアップで見る映画ではこのあたり考慮した方がいい気がする。
また、劇場版では、アバの有名なナンバーが意外な使われ方をするのが楽しみの一つになっている。
思いがけないシーンで、誰もが知っている歌の歌詞がぴたりとはまると場内から爆笑が起こった。
「Chiquitita」が使われる場面がその代表的なものだが、映画館ではクスリとも笑いが起きず。
この曲に限らず、せっかくの個性的な歌の数々がまるで普通の劇中歌のように見えた。
それから、ソフィー役の娘に魅力が乏しい。劇場版では二回とも、主役の娘が舞台を引っ張っていくような存在感を見せていた。
残念。ただ、このミュージカルを初めて見る人ならもしかすると楽しめるかもしれないが・・・。