5.前シリーズとの関わりが薄い。
映画では「アルティメイタム」と関連した情報がいくつか出てくるのですが、これが本編の物語に絡むことがほとんどないのです。
結果、
①ボーンシリーズを観ている人→シリーズとの関連がほとんどなくてガッカリ
②ボーンシリーズを観ていない人→意味不明な用語や登場人物が多くて内容を理解できない
と、どっちもダメな状況に。
企画と脚本段階から間違っている気がしないでもないです。
また、本作で名前が提示される「計画」はなんと4つもあります。
・トレッドストーン→前作までの主人公であるジェイソン・ボーンを生み出した計画
・ブラックブライアー→「アルティメイタム」で明かされた新たな計画
・アウトカム→本作「レガシー」の主人公であるアーロンを生み出した計画
・ラークス→感情を排した暗殺者を作り上げる計画
下2つが本作で新しく示された計画なのですが、とりあえず多すぎじゃね?
この用語の多さは映画の内容をわかりにくくしているだけのように感じます。
ボーンシリーズとのつながりはひとまず置いておいて、ひとつのアクション映画としてはどうか?と問われれば、それほど悪くはありません。
大筋のストーリーはシンプルにまとまっているし、主演のジェレミー・レナーによるアクションも確かなクオリティです。
全てが洗練されていた「アルティメイタム」と比べると物足りなさもありますが、劇場で観る価値はあると思います。
ただし本作はテンポが本気で悪い。
会話シーンが今までに比べて冗長だし、これまた本編にうまく絡んでいないところも多いのです。
これはいままでのシリーズと監督が交代したためでもあるのでしょうが、シリーズのスピーディな展開を求めると確実に裏切られると思います。
さらに言えば、ボーンシリーズの醍醐味であろう「CIAが最善の方法で追跡し、相手はそれを凌駕して逃げおおせる」という要素も薄く、盛り上がりに欠けています。
重ねて言いますが、一本のアクション映画としては十分観られます。
しかし本作はシリーズのファンの期待に応えているとは言いがたいです。