130.《ネタバレ》 ええ私の場合はラストシーンがフリーズした瞬間にですね、あっこれはテルマにハメられたということではないかと思いました。
テルマは単に脳タリンということではすまないのではないか…と、ラストまできてやはり思うのです。
冒頭でテルマが旅支度をしながら自ら銃をつまんで入れる場面を監督は見せています。銃を持ち出したのは偶然でも間違いでもなくテルマの意思…ということでいいのだと思う。
危なそうな男ハーランと散々ダンスしたうえ、二人きりで駐車場へ行ったのは考え無しで無防備だからなのか?
そして、モーテルでJDに大金を持ち逃げされますけど、これは偶然ということで処理できるだろうか。どうみても怪しい青年JDを部屋に招き入れ、翌朝彼を残したままルイーズのいるカフェに来る…これはみんな偶然で、テルマが脳タリン女だからなのか?
そして、テルマが強盗したことで、ルイーズの頭の片隅にまだ残っていたはずの「警察に行ってすべてを話して正当防衛でなんとかする」という選択肢をぶっ壊したのも偶然?
私はテルマがどこかの時点で破滅へ突き進むことに決めていて、恋人の待っているルイーズをハメたのだという気がどうしてもするのだ。
それから…ここではテルマとルイーズが出会うほとんどすべての男性が性的捕食者のように描かれていますが、そういう撮り方こそがやっぱり男性的なのだと…思うのです。
行く先行く先で、エロい視線で見られ、エロいジョークを言われるのはなぜかというと、男がバカだというのはひとまず置くと、まずは彼女たちがそれなりに魅力的であるからです。
本当にセクハラから逃げたいと思っていたら、デブで不細工になれば一応は解決するので、おしゃれをして酒場に行く彼女たちは「セクハラはされたくないけどそれなりにチヤホヤされていたい」という矛盾した欲望を捨てられないということです。
そこのところは全然触れないで、「レイプしようとした。男が悪い。エロジョークを言った。男が悪い。」ということで全部済ませていますが監督は自分が男なので、「デブになれば」などと口が裂けても言えないのです。
ふたりは死ぬことで「もう二度とセクハラされない」という意味での「永遠」になったのだが、そのためにはリドリー的には死んでもらわなければならなかったのだから、やはり彼女たちを罰してバランスを取ったということになるのだろうか…。