父、帰るのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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父、帰る

[チチカエル]
VOZVRASHCHENIYE /THE RETURN
2003年上映時間:111分
平均点:6.78 / 10(Review 63人) (点数分布表示)
公開開始日(2004-09-11)
ドラマ
新規登録(2004-09-07)【c r a z yガール★】さん
タイトル情報更新(2019-08-12)【Olias】さん
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監督アンドレイ・ズビャギンツェフ
あらすじ
突然、父が帰ってきた。12年も家を離れていた父のことを幼い兄弟たちは写真でしか知らない。何も語ろうとしない父親に、兄のアンドレイは戸惑いつつも徐々に慕いはじめるが、弟のイワンは反対に不信感を募らせていく。ある日、父親は兄弟をつれてキャンプに出かける。そのとき、その事件は起こった。
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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63.《ネタバレ》 父が穴を掘って掴み出した何かの箱、あれは何だったんだ?それがすごく気になる!
父は落下して事故で死んだ。
子供たちがその父の死体を、父自身が掘った穴に埋めてしまい、、そんな展開ならもっと面白かったかも。
事故が起きた島の付近には人の気配が全く感じられないのが、また寂しくて怖い雰囲気を増長していて良い。
しかし父親は何故帰ってきたのか?
何故にあそこまで暴力的で威圧的なのか。
あらゆる疑問が分からないまま終わり、もやもやが残る内容でもあった。
もうひと工夫あったら、もっと楽しめたのに。
にじばぶさん [インターネット(字幕)] 7点(2023-11-10 00:14:07)
62.《ネタバレ》 どういった目的で作られた映画なのか理解できなかった。
いきなり帰ってきて、事情も説明せず、親交を深めるなどの猶予も与えぬまま、いきなり旅行に3人だけで出ていく父親。どんな事情があるか知らないが、常識的に考えて、こんな行動はあり得ないのでは。
父親の正体は判らずじまいなので、ミステリーというわけでもないのでしょう。
時間の無駄だったような。。。
マー君さん [DVD(吹替)] 2点(2017-04-23 11:53:16)
61.《ネタバレ》 ロシア正教では父は神と同等の絶対の存在であるという。何故、十数年ぶりに父が帰ってきたか、そもそも彼は"父"なのか、最後まで明かされない。まるで神聖なベール覆われているようだ。長男は畏れながらも父と信じて慕い、次男も畏れながらも父と信じず反発する。その微妙に移ろいゆく心理描写は空疎で、雄大で、美しい風景と重なる。男と共に湖に沈むパンドラの箱に答えはあるかもしれないが、兄弟も観客もその聖域に触れることすら許されない(一種のマクガフィンと思われる)。水平線の見えない湖を眺める兄弟はその旅を通じて、かけがえのない何かを掴んだはずだ。タルコフスキーを思わせる映像美と繊細で濃厚な心理ドラマの融合。秀作。
Cinecdockeさん [DVD(字幕)] 8点(2017-01-31 23:47:07)
60.《ネタバレ》 西部劇のテイストも感じさせる旅の物語。

冒頭、深海らしき場所に横たわる残骸の正体。そして、突然帰ってくる謎多き父親は一体何者なのか。父親の正体を知ることができるのか、できないのか。
劇中の水は、人々の不信を深めるかのように幾度も画面に現れる。海、水たまり、湖、嵐と繰り返される雨。

海に飛び込む勇気は無いが兄貴と取っ組み合う勇気はある高所恐怖症の弟。反抗的とも言える多感な時期、追いかけっこは母親に訴え出るため、予想外の帰還者との再会。

写真でしか知らない存在、母親もそんな夫の前で戸惑いを隠せない。視線の先にある何か。
なんせ布一枚かぶって裸で寝てたらビックリするぜ。父親にとっては懐かしの我が家、父を知らない子供にとっては突然現れた得体の知れない人物。子供たちはこの男に散々振り回されていくことになる。

きまずい空気が流れる食卓。淡々と酒を注ぐ夫、母親は子供に気を利かせて水で酒を薄める。劇中では親睦を深めようと度々食事をする場面が出てくるが、親密になるどころか増々警戒が強まる。
部屋の寝室やテントの中における相談、写真を撮るのも日記を書くのも遠くから双眼鏡で覗いて観察するように続けられる。

父親はどこまでも冷徹に振る舞い続ける。不器用という言葉では片づけきれないほど。
妻も女として男を迎えるが、男は黙って横で寝るだけ。それどころか、旅先で別の女の尻やスケスケで下着の見えるウエイトレスに目がいくばかり。

子供が不良に絡まれて財布を盗まれる瞬間。子供の危機よりも重要な受話器の向こう側の人物は誰なのか?盗人を冷静に追跡していく姿の不気味さ。
釣りの時も、橋に置き去りにする時も、泥から脱出する時も、ボートを漕ぐ時も、父親ではなくまるで指揮官のように淡々と指示を出す。時には壁に顔を打ち付ける。酒も冷えた体を暖めるためだと素直に言えばいいものを。ああじれったい。 

母を愛している弟は、そんな奴に父親面されて説教されたり頭をなでられたくないと不信を強めていく。まして何度も置いてきぼりを喰らわされたら。
弟は、独り震えて待つ場所に駆けつけ、抱擁してくれる母親のような愛情を父に求めていた。兄もまた、父親の出現に喜んでいるようで約束を守らなかったり、行動にショックを受けたりと少しずつ意識が変わっていく。

島に眠る父親の目的、蘇るトラウマ。梯子を登らせるのは哀しみが恐怖を上回ったから。そうまでして聞きたかったもの。どうしていいか解らずに歪む表情。

謎が謎を呼ぶ“ぞっとする”ような写真の数々で物語は締めくくられる。
すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:47:13)
59.《ネタバレ》 今の日本のイクメン全盛(?)の時代に生きる自分としては、面白さが微塵も感じられなかった作品。
父親は言わずもがな、子供二人の方にも共感が出来ず。弟は我儘でイライラさせられるし、兄の方も冒頭から仲間と一緒になって弟を突き放す態度を取るし、最後も父親の遺体をボートに乗せて何をしたかったのかが不明だし、などなど、ストーリー全体を考えてみると苦痛と退屈さばかりといった内容でした。
終盤、兄弟が父の遺体をボートに残して車の中で母と二人が写った写真を見つけたシーンで、二人が父親に愛されていた事を知るというのは先に投稿されたレビューでわかりましたが、もしそうであるならば、父が子供を抱きしめている写真とかの方が良かったのではという気がします。
また、映像的にはそこそこなのですが、中盤辺りで画面の奥で電車が通っているシーンで、車両の上部が画面のフレームギリギリを通っていたりする構図にも疑問を感じますし、たまに出る青空ショットも雲を木の枝で隠すように撮られていたり、雲の配分が悪かったりして雨との対比を上手に表現し切れていなかったように思えてしまったりと、ストーリー同様、結構微妙な印象でした。
それよりも、一番驚いたのがラスト。
まさか、車を運転してその場を去るなんてポカ~ンですよ。
運転が出来ないからボートで出発しようとしたのかと思っていたので、だったらボートで何がやりたかったのか???
ここが一番理解不能なポイント。
その後でスチール写真の羅列で幕を閉じるのですが、特に幼少期の親子愛を強調したものばかりでもなく、旅行中に撮った写真だけという訳でもないために一貫性がなく、作り手の意図が読み辛かったところも自分にとってはイタい所でした。
もっつぁれらさん [映画館(字幕)] 4点(2015-10-20 23:01:03)
58.《ネタバレ》 何も肝心なことはわからないまま終わっちゃうという、お国柄の違い?を感じさせる独特の造りですね。お父さんは12年(だよね?)何してたのかとか、島で掘り出したのは何?とかここまで何も分からないのは、ある意味清いかも。でもなんだかよく分からないけど、印象に残るものはありますね。何か不思議な感じのものでゴザイマシタ
Kanameさん [DVD(字幕)] 4点(2015-07-18 10:55:07)
57.《ネタバレ》 突如、12年ぶりに姿を現した父に驚くアンドレイとイワンの兄弟。母と祖母の態度から歓迎されていないことが知れる。二人とも父の顔を知らない。写真で確認すると、戸惑いながらも嬉しさを隠せない。しかし父も母も事情を一切説明しない。三人は、翌日から二日の予定で旅に出る。二人は釣りを楽しみにしていたが、父親は行先も告げない。道中、父は横柄で、命令口調なので両者の関係は険悪となる。予定が三日間伸び、修理した舟で島に渡った。父親は隠していた何かを掘りだしたが、子供はそれを知らない。父子で諍いがあり、父親は物見の搭から墜落死した。父の遺体を舟で運んで帰ると、車の中に三人が映った写真を発見する。父親の愛情に触れたと感じたが、舟が死体と共に流された。「パパ!パパ!」初めて心から「パパ」と呼べた瞬間だったが、無常にも死体は沈没する。
奇妙な味わいの映画だ。父子の断絶を描いており、父の死という悲劇で終るが、子供にとっては、最後の最後で父の愛情を確認できたという皮肉な結果となる。この解釈では、父が掘り起こしたものは「親子の愛情」を象徴するものだ。一枚の写真を示せなかった悲劇である。その前に、イワンを追いかけた場面で、初めて父親らしい行動を見せた。だが、それは子供には通じなかったようだ。服役を終えて帰った父が、島に隠匿していた盗品を掘り出すとも解釈できる。わざわざ隔絶した島の土中に隠すのだから、こちらの解釈の方が妥当だ。家族に関するものなら念入りに隠す必要はない。お金と車を持っているので、服役ではなく、単に出奔していたのかもしれない。いずれにせよ、大切なものなら、掘り出してから帰ってくればよかったのだ。妻と母から疎まれている人物なので、死なずに戻ったとしても、喧嘩の絶えない家庭になっていただろう。
父子の断絶が平行線のまま進むので見ていて苦痛だった。宝箱の中を開けずに終った感じ。子供の行動も、レストランを探しに行って三時間も戻ってこないとか、出された食事を食べないとか、舟釣りに出て四時間も遅れて帰るとか、異常行動が目立つ。子供がもっと素直であれば、肩入れして見れたのに。父親がイワンを心配して搭を登る行動は唐突に感じた。放っておけばよいではないか。イワンが最初に「飛び降りて死んでやる」と宣言していればよかった。搭の場面は、冒頭の飛び込み台から海に飛び込む場面が伏線となっている。感心した。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 5点(2014-09-07 07:39:37)
56.なぜかわからないけど、心に残る映画。
aimihcimuimさん [DVD(字幕)] 8点(2014-08-10 02:23:22)
55.突然帰ってきた父親に対する息子2人の感情が揺れ動く様を、旅を通して実にリアルに描きだされている。これだけでもうこの映画は傑作と言える。
あまりにミステリアスな父に戸惑う兄弟だが、兄と弟それぞれの立場で異なる父親像がしっかり描かれているのが良かった。
兄は、父親に対して怖いと思いながらも、やはり自分の父親なんだとしっかり受け止めていて、次第に尊敬の念を抱いて行く。一方の弟は何かに付けて反抗的だ。何故帰ってきた。自分らをいじめるために帰ってきたのかと父親に対して逆らってばかりだ。そんな両者の言い分は最もであり、自分もこの弟のようにつまらない事で反抗し、車で何処かに置いてきぼりを食らったことがあるので、この弟の気持ちは痛いほど良く分かる。どうせ、すぐ戻ってくるだろうと最初はたかをくくって余裕なんだけど、次第に不安な気持ちがどんどん押し寄せてきて、しまいには絶望的な気持ちになってうずくまるしかないという。ああ、考えただけでも絶望的な気持ちになってきた。
最後に、父親について駄目出し!もうちょっと子供達の事も考えて打ち解けてやろうよ、手当たり次第に厳しくすればいいってもんじゃないでしょう。ちょびっとでいいからユーモアを身につけようよ、道中の沈黙が気まずすぎるよ。不器用すぎるだけで、きっと根は優しい父親に違いないのだから。
ヴレアさん [映画館(字幕)] 9点(2014-07-14 19:38:00)
54.ロシア映画は数えるほどしか観ていませんが、どの映画も強い衝撃を与えてくれます、芸術的に幅のある、奥深い国だと改めて思いました。本作もすばらしいです、弟役の少年も満点の演技じゃありませんか、見応えがありました。ラストの写真たちもさらによかったです。
HRM36さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-09-08 15:05:44)(良:2票)
53.今まで写真でしか見たことないパパがいきなり家に帰ってきて、「よし、3人で旅行に行くぞ!!」と言われても子供なら動揺して当たり前だとは思いますがそれを上手く2人の子役が表現できてるんですよね。無駄を一切省いて台詞よりも演技や雰囲気を重視して進む展開は素晴らしいものがありますが父親が死んでしまったことによるいくつかの謎がどうも、気になってしゃあない。モヤモヤ感がかなり残る映画だけども親子の絆を一つの出来事を通じて浮き彫りにして息子二人が成長していくと感じさせてくれるラスト手前のショットは個人的にはよかったです。
M・R・サイケデリコンさん [DVD(字幕)] 7点(2011-09-03 01:57:39)
52.《ネタバレ》 父親と息子の関係の微妙な部分を巧く描いていると思います。役者陣の演技も良かったです。ただ、「これからどう展開していくんだろう」という期待を持たせながら物語が進んでいくのですが、結局謎は謎のままで終わってしまい正直言って取り残された感じを受けました。

TMさん [地上波(字幕)] 7点(2011-08-25 00:06:33)
51.「父が久々に帰ってきた」という一事だけで、それを息をひそめるようなじっとした雰囲気で描き出していく前半はなかなか見事。後半は少しテンションが落ちているが、中途半端に何かを盛り上げようとしないのがよい。
Oliasさん [DVD(字幕)] 6点(2011-06-03 22:11:51)
50.《ネタバレ》 子供の視点で、父親の意図はおおよそ分かっているつもりで見ていました。厳しく接する父に対し反発する弟だけでなく従順な兄にもその間には壁があるように見え、12年の空白の大きさを感じていた。しかし父親の死がそれを変化させた。兄は父のような立派な振舞いを見せたし弟は父を父として認識したように思った。その変化は空白を埋め始めているようで、そしてまた彼らがこの数日を思い出すことで埋まっていくのだろう。
映画の多くに意味ありげだがハッキリとは理解できないカットが多く、調べてみたら聖書の隠喩のようだ。馴染みのない人は十分に楽しめるものでないかもしれないが、親子の絆を無理なく捉えた印象的な作品です。
さわきさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-30 12:34:45)
49.《ネタバレ》 この映画を「夫、帰る」としても見ました。主人公のお母さんが、テラスで煙草を吸っているときの無表情。寝室に入るときの表情、決意なのか躊躇なのか。兄弟の寝室を見に来るときの表情。お母さんはお父さんの事を、夫としては無責任と感じていたと思うし、許せなさがあったと思います。不安もあったと思う。でも、もし子供達の良き父親となってくれるなら、受け入れようとしていたのではないでしょうか。子供たちもそうで、お父さんに不安を覚えながらも、親子の関係になりたいと思っていた気がします。問題なのは、唯一お父さんだけが、今回の帰省を、与えられた『チャンス』と思っていなかったことだと思う。本当は子供達に愛情を与えたり、少なくとも示したりしないといけなかったんです。そうやって信頼を築くことが大切だったんです。でもお父さんの側には、父として子供達から尊敬されたい、自分の言うことを聞かせたいという自分の思いが強くて、そればっかりを出してしまう。車にあった写真でお父さんの愛の片鱗を見るけれど、お兄ちゃんの「しまえ」という言葉が印象的でした。お兄ちゃんはその片鱗も認めたくないのかもしれない。興味深い映画でした。
キュウリと蜂蜜さん [DVD(字幕)] 8点(2010-09-22 22:46:55)
48.肉親と共にいることが、こんなにも不安で心細いなんて。つい子どもの気持ちに感情移入してしまって心がヒリヒリするような痛みを感じながら観た。戸惑いながらも、兄・弟それぞれのやり方で不器用に父親との絆を確認しようとする様がいじらしくて、涙が出た。父親の方は子ども以上に不器用で、このまま心通わすことなく終わるのかと思いきや、一番哀しい方法で父と息子達にそのおぼろげな絆を再確認させるという、予想以上にヘビーな話だった。
lady wolfさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-21 13:19:02)
47.皆さんもコメントされてますが、映像の美しさは素晴らしいです。内容はちょっと無骨というか説明が足りないというか。父に対する反発だけが強く残ってしまう印象。
nojiさん [地上波(字幕)] 5点(2010-01-21 00:53:25)
46.父と息子二人の物語ですが、謎が残りますね。みなさんが書かれているように、壮大な空と海、自然の景色が本当に美しい! それに反するような重い展開・・・このギャップが印象深い作品です。最後の主人公の「パパ~!パパ~!」という叫びが、とても意味深く感じられました。でも、「よく分からん映画だった」というのが正直な感想です。^^;
たけたんさん [DVD(字幕)] 6点(2009-07-14 05:14:57)
45.《ネタバレ》 父の不在と帰還には当然物語があるはずなのだが、その部分をごっそりそぎ落としている。この映画が描くのは「父」そのものであるから父が何故家を空けていたのかや何故帰ってきたのか、はたまた何故旅をするのかなどはどうでもいいことなのだが、いくらどうでもいいからといってここまで無視しちゃうってのは凄い。冒頭、海に飛び込めなかった弟が塔の上で泣いている。母は飛び込んだことにすればよい、誰にも言わないから、と息子に優しい言葉を投げかけ、抱擁する。母の愛である。父は優しい言葉などかけない。抱擁もしない。むしろ反目しあう。まるで本能のように相手を警戒し合う。終盤に登場する塔において母とは異なる無言の愛が示される。身代わりとなるしか示せない不器用な愛。父がいなかったとき、兄は弟を守らなかった。しかし父の帰還を経て、またその父がいなくなったとき、兄は家族の長として振舞う。画面は常に崇高。なるほど宗教的世界観が厳かな雰囲気を発散しているようでもあるがそれだけじゃない。こんな空、どうやったら撮れるんだろう。こんな美しい場所がこの世界にあるんだろうか。驚くのはまるで妖精でも出てきそうなそんな美しい情景に突如泥まみれの車が現れたりするから。この美しい世界に我々は生きているのだ。そのことを証明する映画。
R&Aさん [DVD(字幕)] 8点(2009-03-06 16:31:18)(良:2票)
44.《ネタバレ》 鮮烈な印象を残す映画であった。とにかく空が、雲が、美しいんだ。ロシアのどっかの片田舎でひっそりと語られる物語、それをよそに、素知らぬ顔で空は美しく広がる。と思えば、時には物語にリンクするような涙雨も(そのためには、映画製作者はどんな突然の気象変化も厭わぬのだ、はっはっは)。その空の下で繰り広げられる、「互いに面識の無い」父と息子たちの物語。息子たちにとって、「父」は理解できぬ存在。社会生活の要領をある程度つかんでいる兄は、「父」というものにどう接するべきかを「知識として」知っており、それなりに対応できるのだけど、不器用な弟(=母が迎えに来るまで飛び込み台から降りられない)にはそれができない。この弟の態度は、本来、至極もっともなものである。血のつながりのある親子でありながら(しかも父にはおそらく何かやむにやまれぬ事情があって家を離れていたのであろうが)やっぱりもっともな態度、なのである。3人の間に高まる緊張の末、ついに悲劇が起こる。会ったばかりの父、心の通わない父、実はかけがえのない父の、あまりにもあっけない死。その父が、手の届かないところに流されていく時、初めて弟の口から、「パパ」という呼び声が発せられる皮肉。この父という人は、いわば、今の世の中でだんだん希薄になりつつある“家族の絆”というもののために殉死する、現代の殉教者であった(思えば、初めて登場する父がベッドに横たわる姿は、イエス・キリストのイメージではなかったか)。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2008-12-23 17:24:36)(良:3票)
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【点数情報】

Review人数 63人
平均点数 6.78点
000.00%
111.59%
211.59%
334.76%
4711.11%
546.35%
6914.29%
71320.63%
8812.70%
91219.05%
1057.94%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.66点 Review3人
2 ストーリー評価 7.25点 Review4人
3 鑑賞後の後味 3.80点 Review5人
4 音楽評価 9.50点 Review2人
5 感泣評価 7.33点 Review3人
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【ゴールデングローブ賞 情報】

2003年 61回
外国語映画賞 候補(ノミネート) 

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