5.何十年ぶりかに巡り会った友が再会し友情を深めていく過程が何と言ってもすばらしい。画家にとっては人生の大きな転機になったであろう。バイクの後を追う子犬や釣った大きな魚を湖に戻すシーンなどたくさんの場面がこころに残る。最後にモーツァルトのクラリネット協奏曲のもの悲しい旋律が切ない。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-02-14 13:30:51) |
★4.《ネタバレ》 自分には一回見たらもういい感じですし、他人にオススメするには面白みに欠けていると思いますが、ラストは不意に涙が出ました。他人に頼まれて描く絵に「何も感じない」と言っていたシーンや、「野菜を描くなんてベジタリアンのレストランにしか飾れない」みたいに言ったシーンがあるから、グッときました。思えば庭の作物は庭師の作品なわけで、でも主人公は自分の絵のことばかりで庭のことにはあまり関心を示していなかった。庭を指して「自分の人生だ」と言う庭師に対し、主人公は自分の絵を指して同じ思いがあるのかどうか…そんな彼が最後に作物に水をやるシーンと展覧会の絵が良かったです。それと、バイクと犬のシーンはずっと焼き付いて離れない気がします。 【だみお】さん [DVD(吹替)] 6点(2013-05-14 09:57:12) |
3.《ネタバレ》 めちゃくちゃ硬い演技もできるし、めちゃくちゃ柔らかい演技もできるダニエル・オートゥイユっていう人はほんと凄いと思う。幼馴染が画家と庭師という関係で再び出会い、まるで「モリー先生との火曜日」のように人が人に人生とはなんぞや?楽しさとはなんぞや?な感じで二人で説いていく姿はなんか微笑ましい。フランス映画らしい雰囲気あふれるけどこんなにも悲しくならない前向きな映画を作るジャン・ベッケルって人は凄いなぁ。 【M・R・サイケデリコン】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-12-25 13:41:37) (良:1票) |
2.ダニエル・オートゥイユにはルコントの「ぼくの大切なともだち」もあり、どちらも人に無関心な主人公が新しい知人によって変わっていくお話。 猛禽類のような大きな目をしたオートゥイユには偏屈男がよく似あう。 ルコントの都会的でしゃれた軽妙さに対してベッケルのこの作品は、パン・ド・カンパーニュ(田舎パン)のような素朴な味わい。 会話と自然でできていて音楽も最後のモーツァルトだけ。 庭や風景を映した映画は多いけれども、おいしい野菜を実らせてくれる菜園への愛情というのもあるのだ。 妻に離婚されたくない一方で適当に遊んでいるキャンバス(画家)と妻をあがめ惚れぬく国鉄退職者のジャルダン(庭師)は、およそ似たところがないのに気がおけない関係が形作られ、語り合う日々が続くのだが。 画家に連れて行ってもらったパリのルーヴルで庭師が目をとめるのは、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」。 コールドプレイのCDジャケットにも使われた名画に家で毎日見ていたカレンダーの絵だと親しみを見せるジャルダン。 限られた人間のものである抽象画の画家だったキャンバスの画風が変わったのもそのせいか。 「芸術のための芸術より人生に彩りを添える作品を」と。 妻の眼差しも自分本位だった夫の変化に和らぐ。 2人で釣りあげた伝説の池の主はあるものをねじふせた証、たとえ一時でも。 哀れっぽい映画には泣けなくともこれは泣けた。 小説に空白があるように、あえて描かれぬ部分に。 【レイン】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-07-02 07:00:00) |
1.《ネタバレ》 前作「ピエロの赤い鼻」よりも断然、台詞の掛け合い具合や人物たちの動きが素晴らしくなっており、スクリーンを観ているただそれだけですごく楽しめた。幼い頃仲の良かった二人が久しぶりに出会い、余白の部分を埋めあうように様々な会話にふける。青々と美しい緑、クシャクシャで愛くるしいバカ犬、日向に横たわる美女、吊り上げた大きな魚。それらの飾らない美しさと、庭師、ジェルダンの振る舞いが同じように飾っておらず、あるがままの幸せや喜びをしっかりと噛み締めているようだった。そんなジェルダンや自然に影響を受け、次第に魅力的に変化していく画家のキャンバスを好きにならずにはいられない。優しくて暖かい物語。テンポが良くて、尺も短く、ラストシーンまでじっと集中して観続けることができた。終始、コミカルな空気で包まれているため、どんなに悲しみの結末を予感できたとしても笑顔で見届けることができた。今後の、ジャン・ベッケル監督にも期待が持てる。 【ボビー】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-08-23 13:34:39) (良:1票) |