169.《ネタバレ》 つまらない映画とは言わない。よいストーリーだし、イーストウッドの演技は素晴らしい。ただ、映画らしいと言えば映画らしいのだが、善人対悪人というステレオタイプから変化がない。悪い人は、ただ悪いまま。へそ出しの女の子も、息子たちも、最初に見たままの印象で終わってしまう。私にとっては“感動の映画”ではなかった。【超ネタバレ注意→】最後の展開は予想できたし、あれくらいしかないだろう。そこが見えてしまったのが心が惹かれなかった理由だとも思う。そもそも、それまで何回も銃で脅していたこと、犬を預けたりして「撃たれに行く準備」をしていたこと、“犯人”側に計画性がないこと、それどころか被害者が内ポケットに手を入れて素早く抜きだして撃つふりに見えたことを考えてみれば、彼らに重い刑が科せられるかどうかも怪しい。わざわざ「長い刑期になる」というセリフが入っているのはそのためかもしれないが、不自然な印象を持ってしまうラストだった。 【mohno】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-04-28 22:39:12) (良:1票) |
168.《ネタバレ》 孤独で偏屈な老人が最期に命を捧げて友人を守った、単にそういうお話ではない。タオのためでもない、スーのためでもない、こういう形でしか自分を赦せなかったのだろう。なんてやるせないんだ。 老人はかつての戦場のようにやるべくしてやった。その結果返り討ちに合い、スーに無残なことが起こってしまう。 ―――このスーを演じた女性、素人役者に近いかもしれないが、小粋で魅力的であった。(失礼ながら)特段に器量が良いわけでもないが・・・これも、イーストウッド・マジックか。 だからこそ、変わり果てた姿で帰宅したシーンには非常にショックを覚えた。なんてことをしてくれたのか!この瞬間、映画にドップリと感情移入していた。 イーストウッドは古き良き保守的な人間に愛着を示す一方で、勧善懲悪ならぬ“勧悪懲悪”のような構図を好む。本作は佳作にして集大成だと思うが、オスカーにノミネートすら無かったのは、これまでのイーストウッド作品で繰り返し扱われてきたテーマだからだろう。これについては「許されざる者」でオスカーとってるからねと、審査員はそんな気持ちかもしれない。ただ一味違うのは、最期に「許される者」になったという点である。 磨いた愛車グラン・トリノを眺めながらビールを飲むシーン、自分も好きだ。 【ジンロク】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-04-24 08:59:52) (良:1票) |
167.《ネタバレ》 特に前半、ツバを吐きまくるイーストウッドが気持ち悪い。そのうち血を吐き出す。人種差別全開で更に気分を悪くしながら中盤くらいまでが過ぎた。展開は速い。ラストは『なるほど』と思わせてくれたが、出所してきたらどうなるのか。 【まいるどへぶん】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-04-22 05:04:53) |
166.《ネタバレ》 自分の好きなツールで溢れた自分の城を持ち、愛車を磨き上げ、人に媚びず指図を受けず、友人は自分で選ぶ。シンプルだけどなかなか出来ないかっこいい生き方。そして彼は死に方までも自分で選んだ。自分の身を挺して友人を守った。かっこ良過ぎる。 度々出る人種差別的発言は、むしろ人種なんてどうでもいいという気持ちの表れで、遺言状もかっこ良かった。主題歌を口ずさむ彼の声が俳優イーストウッドの本当の遺言のように聞こえてしまい、思わず涙が出た。まだまだ良い作品を世に送り出してください。 【ちゃか】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-04-15 12:25:25) |
★165.《ネタバレ》 隣人が暴行された後の終盤の雰囲気が重々しく、またストーリー展開がベタになりかかっていたため、後味が悪くなりそうだなと思って観ていましたが、最期のライターに救われました。かなりの頑固爺がけっこう簡単にお隣さんと仲良くなってしまったり、ただのチンピラ風情が洒落にならないほど銃乱射してきたりなど、展開が唐突すぎると感じた部分もありましたが、ラストはイーストウッドが自らの引き際を演じているように思えてグッときました。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-04-05 22:34:48) (良:1票) |
164.人生に必ずやり残しはある。いずれタイムアウトはくる。そのとき託す相手は血縁だというのは幻想。晩年になっても、人は新しい自分に出会うことはできる。イーストウッドがそう言いたかったかどうかは別として、私はそんなメッセージを感じた。 【おばちゃん】さん [映画館(字幕)] 10点(2010-03-24 14:44:11) |
163.見ている途中で、なんとなく結末が透けて見えていたけれど、それでも素直によかったなぁと受け入れることができる作品。アメリカというサラダボールの抱えた問題や、銃社会の恐怖、戦争の傷など、たくさんの要素がつまっていました。 【lalala】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-03-17 22:08:07) |
162.涙は一滴も流れなかったけど、とても感動し引き込まれました。男と男の対話には魂を感じます。今までに見たどの俳優よりもクリントはかっこよく見えました! 【Kの紅茶】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-03-13 00:22:27) |
161.《ネタバレ》 私にはグラントリノという車が主人公を象徴しているようには思えませんでした。 今の日本人、特に若者にとって「車」というものはそれほど興味を抱かせるものではないからかもしれません。 過去のトラウマを勲章や銃、ライターで表現して、ラストは「許されざる者」みたいなものかと思ったら、いい意味で裏切られました。 でも、私が主人公の立場だったら、少年よりも乱暴されたお姉ちゃんの方がずっと気がかりになる。 ラストの遺言状のシーンで、期待する身内たちの姿は「ミリオンダラー~」を思い出し、いかにもイーストウッドらしさが出ていました。 これが彼の俳優としての引退作だと思うと、ちょっと寂しいです。 【クロエ】さん [DVD(吹替)] 8点(2010-02-25 07:00:05) |
160.きっと,この作品はイーストウッドの遺書なのでしょう。アメリカンスピリットの象徴たるグラントリノを引き継ぐ者は,アメリカ出身・白人でなくとも,血がつながっていなくても構わない。イーストウッド評価で「魂のあるヤツ」が,後継者ってわけですね。ラストシーンの独唱。役柄を超えて,イーストウッド本人が「俺のバトンを受け取ったか?後はよろしく。じゃあな」って言ってるように聞こえて,ちょっと寂しかったですね。 【veryautumn】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-02-23 17:37:50) (良:1票) |
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【のははすひ】さん [DVD(吹替)] 7点(2010-02-21 17:08:12) |
158.話題になっていたのと、DVDが安かったんで、購入。 素人の子どもたちの演技が下手でむごかった。 内容はそれなりに面白かったけど。。。。 空気感と姿勢はクリントイーストウッドらしさがでていました。 この人は人間としてかっこいい。 【ひであき】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-02-18 06:12:40) |
157.《ネタバレ》 見てたらセント・オブ・ウーマンを思い出しました。 ギャングを挑発したら、直接おじいさんが嫌がらせを受けそうなものですが・・・。 みんなが銃を持ったらどうなるんだろう?と思いました。 【はに丸】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2010-02-14 17:49:05) |
156.《ネタバレ》 味わい深い映画だ。反戦に通ずる「現代アメリカの恐怖の克服」の物語が裏で流れていると感じた。マイケル・ムーアは、ドキュメンタリーで「恐怖による病的な自衛が暴力(銃)をうむこと」に対しての警鐘を鳴らしたが、イーストウッドは同じことを物語に溶け込ませて表現し、その克服法を示している。 この作品の厚みは、筋を面白く語りつつ、様々なメタファーらしきものを原始的な行為を交えて配置してることにある。神の前でアメリカを憂う所から始まり、芝生(国土)を守る争い、貰った食べ物を食べる行為、祈祷師に現状を覗かれ、そしてモン族の土地の心臓部でもある地下室(心の中)へ導かれる。その最深部でウォルトにとって救世主とでも呼ぶべきタオが佇んでいる。彼だけは民族の風習を押し付けない。固くなだったウォルトの心は、受容され、知恵(技術)を伝えることで、解きほぐされていく。物語の中盤では、反対にタオを自分の暗い地下室(心の中)に少しずつ招き入れる。冷蔵庫(重荷)を共に運び出し、大事にしまっていた勲章(罪)を継承し告白する。そしてそのままタオを、地下室に閉じ込めてしまう。大事な宝物でもしまっておくかのように。この物語が発するエネルギーの源泉は、寓話的空気感がありながらも娯楽的に筋を通している所で、神秘と慈愛に満ち溢れていると思う。上映中はストーリーとイーストウッドの花道的な意味で泣けて仕方がなかったが、無意識の視覚的イメージにも感情を大きく揺さぶられていたことが分かる。もちろん演出に拠る所も大きい。 クライマックスの復讐のシーンでは、住民(世界)の面前で恐怖の克服をどう解決したのか判明する。そこに神父(宗教)は立ち会えない。それができたのは、銃(暴力)でもなく、神への懺悔でもない。ウォルトはタオと協力して冷蔵庫(重荷)を運び出し、神父にではなくタオに対して告白した。そして恐怖を克服し殺されてしまったけれど、悪は罰せられ、勲章とグラントリノを残した。後者が何のメタファーだたのかを考えると、この作品はきちんと答えを示してくれたことが分かる。反戦的で、すんでの所で宗教への不信を表明する隠された物語は、アメリカ人によるアメリカ人の為に作られているものなのかもしれない。 【Nujabest】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-02-12 08:42:49) |
【はりねずみ】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-02-11 19:13:40) |
154.イーストウッド監督作品は苦手な私ですが、この映画も最後は無情を感じます。運命を変えようと歯を食いしばって頑張っても、神はまるで何もなかったように、人生という筋書きのまま、人々に過酷な運命を課すのです。まるでアメリカン・ニュー・シネマのようなラストでした。 【shoukan】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-02-07 15:00:02) |
153.クリント・イーストウッドの映画には、主人公含めいつも面倒臭!って感じの人が多いですね。でも、現実の世界ってそんなもんで、クリント・イーストウッドは本当のリアルを表現できる数少ない監督だと思います。この映画の主人公も、全部がかっこいい完璧なヒーローじゃないからこそ、感動できるのではないでしょうか。 【ばかぽん】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-02-07 06:13:19) |
152.《ネタバレ》 もちろんタオの手を汚させる訳にはいかないし、ウォルトが悪を全員撃ち殺すのも違う。すんなりいきそうにも無いこの物語は俳優クリント・イーストウッドの死に場所探しの結果だったんですね。そんな事考えもせず、何らかの妙案でみんなが笑えるような形で終わってくれると思ってたからつらかったな… 【リーム555】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-02-05 21:09:17) |
151.《ネタバレ》 戦争で人を殺したことへの自責の念から、いつまでも解放されないウォルト。妻も亡くなり、もはや誰にも心を開くことなく・・・そんな時に隣人となったアジア人一家と知り合い、少しずつなにかが溶けていく。家族じゃなく、偶然出会った他人が民族も超えてほんとうに繋がり合う、、というのはよく描けていて、なにか不快に感じてしまうイーストウッド監督映画の中では普通に見られました。ラストもなるほど。ただ、そんな心のつながりを描いているのに、悪役がなんか普通のチンピラで、インネンつけるとか根性焼きとか表面的で怖くない。最初はそのへんのチンピラなのにウォルトの家に銃弾撃ち込むところから、いきなりマフィアになる。そんなに極悪な若者たちだったのか・・・彼らの背景を描く必要は無いけれど、めちゃ陰湿とか空虚だとかなにかの雰囲気が感じられなかったのが残念です。日本でも普通の子供がつるんで女性や浮浪者を殺したりする事件も多いし、そんな子たちも現実的にいっぱいいるのかもしれないが。ストーリーのために用意されたお手軽な悪役に、わざわざ殺されにいくことないのになぁ、と思ってしまいました。 【ETNA】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-01-31 00:39:56) |
150.《ネタバレ》 人並みに国産車しか知らない私には『グラン・トリノ』ってタイトルがぱっとしませんでしたが、あの車の荒々しいイメージとウォルト(=クリント・イーストウッドさん)の印象は妙にマッチしていました。ただ、タイトルに持ってくるぐらいなんだからもっと『グラン・トリノ』を描いてあげて欲しかった。当時の車の持つ荒々しいエキゾーストだったりそういうのを。車に関して言えば洗車シーンくらいしか(文字通り)輝くところが無かったように感じて、ちょっともったいなかった。そこを埋めるためというわけではありませんが、DVDで鑑賞した人、もしくはする人なら映像特典は見ておく価値ありです☆「車と人をつなげて見る」というコンセプトの大変面白い談話が見られるので♪ つーか、『グラン・トリノ』は1972年製ということですが、クリントさんはすでに齢80近いのでは・・・(汗)いやー見えない!!あんなガタイのいい80歳いないでしょう。 車を盗もうとしたタオが後日家族に半ば無理やりにウォルトの手伝いを承諾させられるシーンは笑えましたwww 償いなんかいらないというウォルトが、「断るならそれは侮辱になる」と言われて困ってるシーンなんかとても微笑ましい。 ウォルトに共感するシーンも多く、一言で言えば「最近の若者」の傍若無人な態度に対する憤りだとか、そういうのも映画を観る上で共感を持てる材料となりました。日本だけじゃないんですねえ、葬式もまともに出れない若者がいたりとか。少々極端な脚色があるとしても、いやにリアルな描写でした。 車の魅力を伝えようとするストーリー構成だったり、ウォルトと仲良くしてたスーが襲われたりと女性票は厳しくなりそうな話ですが、なかなか良かったと思います。 【TANTO】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-01-19 12:48:29) |