7.《ネタバレ》 正直、武田鉄矢という人は苦手だったりもするのですが、これはスッキリした娯楽作品として、素直に楽しむ事が出来ました。
極道やら賭け事やらの要素が詰め込まれ、あと一歩で陰鬱な路線に傾きそうなところを、きちんと踏み止まり、明るく仕上げている。
基本的には人情噺なのですが、主人公がトーナメントを勝ち抜いていく爽快感も描かれている為、スポーツ物としての魅力も備わっていましたね。
ゴルフの知識が無くても分かるよう、ヒロインの桜子さんを通じて専門用語について解説したり、修造親分を通じて「ゴルフが上手くなる方法」を教えてみせたりと、初心者にも経験者にも配慮した作りとなっている事にも感心。
バックスピンの描写が大袈裟なのも、映画的なハッタリとしては有りだと思うし「行け、行け! 池?」などの駄洒落が散りばめられているのも、微笑ましくて良かったです。
不満点としては、主人公の娘達が最後に登場せず、ちょっと扱いが中途半端に思えた事でしょうか。
終盤は修造親分の死にスポットを当てていた為、そちらに専念した形なのでしょうけど「父さんはお酒ばかり飲んで、ゴルフの練習しないから、一生試合に勝てない」という言葉を覆す活躍をしてみせた訳だから、それに対する娘達の反応も知りたかったところです。
それと、狸の食べ物を主人公が横取りしたシーンは、ちゃんと謝る描写も欲しかったですね。
些細な事ですが、そういう描写が有るか無しかによって、主人公に対する好感度が大きく変わってくるように思えます。
ラストホールにて、修造親分の幻影が現れる件は感動的であり、涙腺が緩みかけたのですが、一度で終わらせずにその後何度も出てくるもんだから、ちょっとやり過ぎに感じられたのも残念。
基本的には好きな描写ですし、良かったと思うのですが、一度きりの登場でビシッと締めてくれた方が、より好みだったかも。
特筆すべきは、何といってもエンディング曲の素晴らしさですね。
「いつか観た映画みたいに」って、ゴルフとは全然関係無い歌詞だったりもする訳ですが、そんなの吹き飛ばしちゃうような力がある。
良い映画と、凄く良い曲、両方を満喫させてもらいました。