★40.スパイスの効いた、家族の崩壊と再生or新生のドラマ。中産都市生活者の意識描写がカミソリ味でクール。唐突やけくそな展開は消化不良だが、全編台無しになるほど嫌いではない。エンディングのあと、確かに1~2分ほどは幸福などこかに連れて行ってくれたからね。 【ねこひばち】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-31 19:56:57) |
39.《ネタバレ》 とても静かに、家族崩壊していく様はパゾリーニの「テオレマ」を思わせる。 しかし、本作において「テオレマ」と決定的に異なっているところは、また何事もなかったかのように「家族」として再構築されてしまうこと。 つくづく家族というのはわからん媒体だと思う。 美しい光の使い方に+1点 【せかいのこども】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-12-12 11:20:02) |
38.《ネタバレ》 自分なりの希望を胸に米軍に入隊し、颯爽と家を出て行く長男。残された母親はある日、そんな彼が帰宅する夢を見る。憔悴し這々の体で帰還した息子は、この手で敵を何人も殺してしまったと、沈痛な面持ちで母に告げる。魘され、居眠りから飛び起きる母親。だがその夢は彼女にとって、いわゆる悪夢ではない。自分の忠告に耳を貸さず家から去った我が子が、自身の選択を悔い尻尾を巻いて逃げ帰ることを、彼女は願っているからだ。その願いが実現するためには、家を捨てた息子が家の外=戦場の悲惨さによりひどく打ちのめされなくてはならない。そうして彼女は心のどこかで息子の不幸を望み、その後ろめたさに魘されるのだ。父親にしてもそうだ。父としてふりかざす威厳をもってしても長男を家に繋ぎ止めることに失敗した彼は、幼さゆえ逃げ場所を持たない小学生の次男に対し支配的な暴君となることで、再び威厳を取り戻そうとする。そして自らが理想とする父親役を躍起になって演じる。リストラの不名誉を必死で隠しつづけることと同様に、たとえそれが如何に不毛な行為であったとしてもだ。そうすることで「家」を守れると彼は頑なに信じる。そして妻には良き妻良き母の役を、次男には従順な子どもの役を、それぞれ上手に演じるよう要求する。従順でありさえすればいい息子にピアノの才能があることなど、彼にとっては理想のマイホームを脅かす不吉な白蟻のようなものだ。私はここで、まさに白蟻を発端に崩壊する家族を描いた石井聰互監督『逆噴射家族』を思い出す。だが、エゴむきだしな壮絶なバトルの末に食卓を囲んだ『逆噴射』の家族に対し、こちらの家族は向き合うのでなく離散する。それぞれの闘いはそれぞれに家の外=戦場で行われ、それぞれの出来事は共有されることなく、それぞれの秘密となる。それでも、留守となり一旦機能を停止したその「家」に、秘密を抱えた彼らは再び帰ってくる。そしてやはり何事もなかったかのように朝食を囲む。たとえ本末転倒であっても、彼らはそうして家族に戻るのだ。続いて描かれる幕切れの強烈な鋭さは、黒沢清監督真骨頂だ。音楽学校の実技試験で桁外れの見事なピアノを披露する次男。演奏を終えた息子を迎えフレームアウトしていく彼らを、他の受験生の父母たちが振り返り、羨望の眼差しで見つめる。なんて理想的な家族だろう、と。 【BOWWOW】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-12-04 16:19:04) (良:1票) |
37.《ネタバレ》 一人ひとりが秘密を抱える家族がゆっくりとバラバラになっていく過程を丁寧に描いた作品。という次元に止まっていれば、もっと面白い映画になったと思うのだが、強盗事件以降の終盤がかなり全体を台無しにした感もある。 それまでは、キャストの好演もあってなかなか面白かった。ユーモラスなシーンを挟みながらも少しずつ狂っていく家族の様子はリアルで怖かった。家族全員で夕飯を囲むなんて、本当は微笑ましい光景であるはずなのに、それが全然楽しくないように見えるところなどは、思わず意地悪な笑いをしてしまった。黒須の携帯電話のくだりと黒須家を訪問するシーンも印象深い。また、小泉今日子さんの演技は今まであまり観たことがなかったのだが、優しく、時に威厳のある母親の雰囲気をとてもよく出せていたと思う。正直、「お父さん」がしょぼすぎて、長男の台詞じゃないけど離婚すればいいのにとも感じた。香川照之さんのそのしょぼさを出す演技も良かった。威厳を示そうと思って理不尽なことを言うから更に威厳は失墜するのだ。 それが、強盗が入るシーン以降、一気に面白くなくなる。一人ひとりが一旦「家出」をして戻ってきて「家族」を再構成するというのは面白いストーリーだが、お母さんの場合、強盗に頼る必要は無かった。もっと他の「家出」の方法もあったはずだ。自発的な家出でも良かった。映画の進行上、強盗が入る必要性が無い。更に言うと、お父さんが交通事故に遭う必要性も次男が天才児である必要も無い(いくらなんでもあんなに短期間で「月の光」マスターは不自然)。途中まではリアリティ溢れる展開だっただけに理解に苦しむ。8点ペースだったが、ラストで2点引いて6点としたい。 それにしても、日本の映画に出てくる「お父さん」ってこういうキャラが多いけど、未だにこんなに父権主義的な家庭があるのかね?僕も父親には結構叩かれたけど、ピアノをこっそり習ったから殴るとか意見を枉げないくせに議論を尽くせと言うとか、こういう理不尽なことで叩かれたことは無かったなあ。本当におっさんという生き物はしょうも無い連中だと思っているおっさん予備軍です。 最後に疑問点が1点。なぜタニタが協力を了承したのか?解せません(笑) 【枕流】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-07-25 18:03:46) |
36.《ネタバレ》 途中から意味不明な展開に変わっていき、感情がついていけず。もったいない。。。 【朴モグタン】さん [映画館(邦画)] 4点(2010-07-14 23:39:00) |
35.《ネタバレ》 最近観た映画の中では、最も考えさせられる映画でした。今作の夫婦と兄弟の4人は、家族の体裁はあるものの、各自の考えや悩みを共有していない。それぞれが誰にも相談せず、それなりに自分で答を出している。だから独奏曲なのだと解釈しました。この4人の人生がそれぞれの「ソナタ」です。では、家族とは必要のない単位なのかというと、そんなこともない。三者が別々の事件を過ごした翌朝に食卓を囲むシーンや、両親が次男の演奏を見守るシーンには、家族の繋がりを感じます。でも、コミュニケーションの頻度とそれぞれが抱える問題の解決は別次元の話だと思いました。音楽に喩えるなら、時には和音を重ねたり、セッションを演じるようなタイミングがあったとしても、基本はカルテットではなく「ソナタ」なのだと…。この映画には、さらに「トウキョウ」が加わります。人口密度が高いと、他者との精神的距離はかえって広がるように思える。そんな場所で生き残るために、神経を擦り減らし続けるような圧迫感。それが「トウキョウ」の意味合いだろう。父の同級生や役所広司のように、適応できなかった人はバッサリと切り捨てられる。オーソドックスな流れだと、ここで家族の絆が登場するのだけど、今作は逆説的です。ここで、それぞれの「ソナタ」を強調している。長男は強い意志を持って自分の道を拓こうとした。米軍入りは突飛な選択に思えたけど、なんとか踏みとどまっていました。次男も、まさに「ソナタ」を演じることで、自分自身の人生の入り口に立ちました。気になるのは夫婦です。長男が勧めたように離婚という選択もあるでしょう。でも、この後の彼らの生き方を考えたとき、結婚生活を続けるかどうかは問題の本質ではない。一度は虚無的になりかけた個々の人生を、新しい価値観で捉え直すこと。その為であれば、離婚でさえ前向きな決断になることもある。「ソナタ」とは孤独になることではなく、単独の演奏でも豊かな音色を奏でることです。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-05 22:08:53) (良:2票) |
34.細部にリアリティを欠き、更には突飛すぎるストーリー展開に難あり。 ただし、序盤は面白く、サラリーマンの悲哀を面白哀しく綴っているのは、まるで他人の不幸を覗き見しているようで楽しめた。 家族のエピソードを切り捨て、香川照之の失業物語的な内容に絞ってくれたら、もっと秀作になったに違いなく、そう考えるともったいない作品であった。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-03-22 03:13:28) |
33.振り返ってみるとちょっと無理のある話の展開だったけど、映画全体に漂う重苦しさが妙な緊張感をかもしだしていて、一定のリアリティがあった。 【しっぽり】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-02-07 10:59:33) |
32.《ネタバレ》 母親はオープンカーを「屋根がなくなっちゃった車」と称しました。それはこの家族の状態に似ている気がする。父親はリストラで職を失った。家計を支える収入が途絶えるのは、家屋で言えば屋根が無いのと同じ。雨ざらし、風さらし。大切な家財を守れない。でもそんな事実に家族はみな目を背けてしまう。屋根が無いのを認識するのは怖いから。でも容赦ない風雨に心と体は荒んでいく。限界を迎えた黒須家は悲惨な最期を遂げました。佐々木家も危うく同じ轍を踏むところ。でも彼らはその前に逃げた。散り散りになって。母が漆黒の海の彼方に見つけた光は何だったのでしょう。この先にある希望の象徴?でも目を離した隙に消えてしまう。何とあやふやなものを頼りに、私たちは今まで生きてきたのか。全てを諦めた彼女が口にしたのは「今までの人生が全て夢だったらそんなにいいだろう」。期せずして同じ頃、夫も同じく「やり直したい」と。長い歳月と、膨大な労力を払ってきた大人にとっては、これまでの生き方を否定するのは耐え難いこと。絶対に口にしたくない“本心”を吐露したとき、2人の心は一度死んだのだと思う。黒須よりも彼らは弱かったのかもしれない。でも弱さを認めたからこそ再生できた。バラバラになったから、また集うことが出来た。生き様を肯定したまま命を絶った黒須、人生を否定して生き延びた佐々木。その差は僅か。もし強盗が入らなかったら、大金を手にしなかったら、彼らは走り出していただろうか。この物語は少しも他人事とは思えませんでした。父に自身を重ね、体を硬くして観入りました。もちろん自分もかつての子供。息子たちの戸惑いも判ったし、母の想いも想像できました。痛くて、苦しくて、ずっと泣きそうでした。終始この調子だったら、最後まで観られなかったかもしれない。ですから、役所教官の運転教習に笑わせてもらったのが救い。重苦しい物語ほどユーモアが欠かせません。ソナタは、2つの主題を対比的に用い、主題の提示・展開・再現の3部で構成される器楽形式。コンダクター黒沢清の、家族再生のソナタが心に響きました。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-01-25 20:56:58) (良:4票) |
31.《ネタバレ》 小泉今日子も香川照之もいつものようによい演技をしているのですが、ストーリーがいただけません。いま街で起きているホワイトカラーの失業、米国の戦争の現実はもっと深刻かつ複雑なものなのにパターン化されています。スーツを着て、炊き出しに並んでいるのもおかしいし、いっしょに並んでいる失業者の人々もただの風景で同じ人間としては扱われていなし。小泉今日子の出奔も唐突な感じ。息子の天才が発見されるというエンディングも、そんなにうまくいくわけないぞ、と突っ込みたくなります。 【stak55】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-11-17 00:36:18) |
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30.《ネタバレ》 いつの間にか周りを埋め尽くす観衆、演奏後静かに歩み寄る両親。泥棒の登場と共に挟まれた非現実的な時間が、あの試験会場にも流れているように感じる。今は幻想と現実の狭間に揺れる天才の夢が、確固たる現実として結実するのかどうか。未だ一家は不透明な道を歩いてはいるが確かに微かな希望を感じた。 某細木○子氏のようにあんた死ぬわよと絶叫しながら将来を見る事は出来ないが、それでも希望を持って走りたいと思える作品だった。 【njld】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-11-08 04:21:01) |
29.元からギャグ映画なのだと思うと妙に納得がいく。とはいえ決して笑わせようとしているわけではない…のかな。とはいえ強盗が出てきて以降、ぶっ飛びすぎた観はしますね。 ソナタ、という意味をあれこれ詮索してしまう。 【Balrog】さん [DVD(吹替)] 6点(2009-10-16 23:00:40) |
28.《ネタバレ》 津田寛治が出てるところはホラーなみに怖い。強盗がでてきてからはギャグ。ロフトの監督だったんだ!とそこで思い知った。 【はるこり】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-10-16 21:48:33) |
27.《ネタバレ》 こんどは普通のホームドラマだ、って聞いてたから、最初のうちは「粗雑なシナリオだなあ、そんなリアクションはないでしょ普通」などとブツブツ言いながら見ていたが、失業友だちのエピソードあたりからか、「これいわゆるリアリズムじゃないのだな」と分かってきて、途中からちょっと守備位置を変えて鑑賞した。だから役所が出てきても、そう驚かないですんだ。広い意味でのファルスというか。このタイトルは小津の『東京の合唱』を意識してるんだろう。あれも苦いコメディだった。戦前の大不況期の失業家族のドラマを、今回の平成の不況に読み換えていく(子どもの病院行きが共通し、トイレの札束もボーナスシーンを思い出させた)。あっちはラストで“合唱”に至ったが、こっちは家族がばらばらに“ソナタ”という独奏曲を奏でた果てに、三者三様の朝を迎え、とりあえず肩を寄せ合って終わる。でも流れる曲はまだ朝には至らない「月の光」だ。あの時代も現代も、家族ってものは隠し事をする対象であり、また踏ん張る力を与えてくれるよりどころでもあると、変わっていない。ショッピングモールから発進する役所・小泉の車を追って併走するカットや、住宅街のたたずまいのノッペリとした気味悪さなどに、この監督の味。香川照之の赤いネクタイは、作業服の予告でもあるが、同時に朝日の希求でもあった、と思ってやりたい。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-10-08 12:04:44) |
26.《ネタバレ》 キョンキョン(←いまだにこう呼んでしまう)が先年主演した「空中庭園」(5点)は、何でも隠し事なしのオープンマインドがモットーの家庭が崩壊していくおハナシ。こちらは誰もが皆隠し事をしている家族の家庭崩壊のおハナシ。それほど「家庭生活的」なイメージではない彼女が、この手の家庭劇に二本続けて主演してるっていうのはなんだか面白い。自分は「空中庭園」より、こちらの方がより現実味と切実感があって面白かったですね。「ゆっくりと沈んでいく船に乗っているようなもの」っていう心境の中年男二人の台詞にはかなり身につまされたというか。ごくフツーの、ちょっとだけ壊れた家族が奏でる「不協和音状態」っぷりは良かったのに、突然の闖入者役所広司によって映画そのものまで後半「この3時間前」テロップ以降、かなり「乱弾気味」になってしまったのが残念。結局、ラストも何も解決されないままだし。ピアノに天才的才能を持つ次男は、特待生扱いであの学校に学費免除で合格できたって事なんでしょうか?それにしても小泉今日子の女優としての、一人の女性としての「賞味期限」の長さには本当に舌を巻きますね。そもそもの素材の良さに加え、ご本人のよほどの努力と精進の賜物なのか。何やってるのを見ても、いまだに新鮮さを失わないのは凄い事だと思います。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-09-11 11:12:52) (良:1票) |
25.雰囲気はいいのに全てが極端すぎて興醒め。さらに追い討ちをかけた役所広司には失笑。もったいなかったですね。ラストは希望があったので+1点。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-09-09 13:23:35) |
24.《ネタバレ》 絵に描いたようにダメになって、これたま絵に描いたように救いがある。正直微妙。物語としては面白いんだろうけど、途中間延びしてたな。現代のリアルを描いている様でいて、明らかにそれを茶化している。ジャンルで言えばコメディ。いや人間喜劇か。天才ってプロセスが無いから楽でいいな。 【xxx】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-08-30 00:51:06) |
23.《ネタバレ》 家族全員に襲いかかる(かなりお笑いじみた)それぞれの破滅。戦場、留置所、ひき逃げ、強盗による連れ去り。そんな「プチ破滅」をくぐり抜けて、辛うじて帰還した家族たち。もともとあった問題は何も解決していない。夫はたいした仕事に就けないし、妻が生き甲斐を得たわけでもないし、長男が家に帰ってきたわけでもない。けれど、何となく、戻ってきた家族たちは生きる力を獲得したようにも見える。あるいは、家族の安らぎを再発見したようにも見える。あまりに「家」のシーンが美しすぎるので、中流の設定のわりに上等な家に見えてしまうほどなのですが、それは、この映画が「家」というものに対して肯定的であるがゆえなのでしょう。したがって、「プチ破滅」から帰還した親子がふたたび食卓を共にするシーンこそ、実質的な結末と考えてよいのだろうと思います。とはいえ、綺麗なピアノの演奏を終え、家族3人が衆目の中を歩き去ってゆくラストもまた(これも笑えるんだけど)、なかなか気の利いた演出になっていました。あえて言えば、作品のメッセージがやや「内向き」だというふうに見えなくもない。戦争、心中、自殺といった死があふれる世界から、辛うじて自分たちだけが家へ逃げもどり生き延びる、という物語ですからね・・。 【まいか】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-16 23:43:01) |
22.《ネタバレ》 家庭というものが形骸化、空洞化し、ギリギリのとこでなんとか成立している家族というのは、まぁ陳腐だがリアルなのかもしれない。しかしやや不満もあった。ここでは、主役の父親について。彼には、自分なりの理想とすべき威厳のある父親ってのがあるらしく、それを家族の前で虚勢を張って示している。しかし実際はプライドが邪魔をして本来の自分を家族の前で晒せないでいる可愛そうな男。ちょっと切ない。後半、車に轢き逃げされて覚醒するのだが、これも副次的なものにすぎず、自分から変わってやろうという意志が最後までほとんど感じられない。どこまでも受け身な感じが気になった。そしてラストに向かうわけだが、あの終わりだと、子供の才能に希望を託して終わったようにしか見えない。息子が弾く『月の光』は、親が太陽になってあげないといけないってメッセージなのだろうか?(月光は太陽無しには成立しませんからね)何れにせよ、ぶっ壊れた家庭の中に存在する、うっすーーい希望しか描かれていない。それ故に、あの父親のままだと、挫折ゆえに満たされなかった不満を子供に押し付けるような教育パパになってしまいそうな危機感が募る。親自身が発光して見えないんですよね。自分の満たされないモノを子供の価値で満たそうとする親っているじゃないですか。ああいう人達とダブって見えて、「これでいいのか…?」と何とも煮え切らない結末だった。父親の精神的成長をみたかったです。家族全員、落すなら落して欲しいし、希望なら希望を見たい。末っ子だけじゃなくて。父親が朝ピアノを買って自宅に戻ってきて、朝食後、「月の光」を息子がリビングで弾くという展開ならまだ納得できたかも。何れにせよ、どうにも中途半端で、映像と音楽の良さに脚本が追いついていない印象。役所の登場シーンは言うに及ばず、構成、台詞などもいまひとつ。しかし、ホラーとコメディを交互に行き来する不思議な世界観は充分に堪能。一番笑ったシーンは、キッチンで大威張りしてる父親のシーンの次に、ハロワの階段に並んでる父親を上から目線で撮ったシーンをつないでいるとこ。ニクイ。サントラ欲しくなった。 【Nujabest】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-08-16 12:50:03) |
21.《ネタバレ》 う~ん、分かります、分かります。自分も総務にいた時、バブル崩壊で会社を放り出されました。同じような道を歩んでます。でも、最後、香川照之が集中して、床掃除をしていたので、もうこの家族は大丈夫と言う感じがしました。職業に貴賎なし!でも、家は多分、手放さなきゃならないだろうなあ。教育費にもお金がかかるだろうし、小泉今日子も働きに出ないかんだろうし・・・などとストーリーを味わうより、この家族の今後を考えました。お金を戻したのは賢明でした。ぎりぎりのところで、家族を守ったというとこでしょうか。続編ができても面白いかもしれませんね。天才音楽家を貧乏父ちゃんが育てる、どっかで聞いた話と思えば「北京ヴァイオリン」「リトルダンサー」などなど過去の名作を思わせる話になりますよ、きっと。それにしても「空中庭園」での小泉今日子も同じような家族の母ちゃん役でした。こちらの映画の方が、たくましい母ちゃん役でしたね。こっちの方が小泉今日子には向いている気がする。 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-07 16:00:26) |