474.《ネタバレ》 2054年という、さほど遠くない未来の科学技術に多大な発展を見込んだ世界観のSF。
舞台はまずまずの出来。現代の我々からみたらキテレツに見える数々の装置は、近未来SFのカルト、ブレードランナーを思い起こさせる
一番判りやすく進化を描写できると思われる未来の交通システムはちょっとトンデモだったが、独自の魅力もそれなりにある未来観だ。
さて犯罪予知システムという、かなりリアリティに欠ける材料を物語の中心に据えた本作ですが、
それにまつわる設定を未来の夢として受け止めることは本作の鑑賞姿勢として最低限、跳び越えなければ始まらないハードルだ。
だから、これについての疑問は挟まずスルーする。あれ?スルーしてない、かな。
予知システムのGUIを操作するポーズとか微笑ましい。できれば細かいカット割りはせずに、フィックスでしばらく見せて欲しかった。
こういった陥れられるタイプのミステリー作品は登場人物の行動理念に疑問が生まれることがままあるのだが
本作は結構複雑なようでいて大体のことの理由付けはちゃんとしてある感じなので案外と見易かった
例えば、ジョンはなんでそう予知の通りに罠に嵌っていこうとするのかは、無実を証明するために虎穴に入った、という簡単な理由がある。
局長は大事な手駒のジョンを犯罪者に仕立てる必要性があったのか?という部分も、一石二鳥の動機がしっかりある。
よくわからないところは、ウィットワーが局長に殺されにわざわざジョンの家で会合・説明した理由。
いきなり撃たれるとは思わなかったんだろうか。アガサがいないシステムはダウンしているも同様とはわかっていたと思うが
殺人事件が6年間なかったから油断が生まれたか?よしんば実行犯と推測できなかったにしても、犯人は高官クラスと発言したし、
隠蔽の黒幕かもしれないのに、密室で手の内晒すかな?
極めつけは奥さんが目ん玉の保管場所を知っていたという事実。あの短時間でそんなことまでよく教わっていたな・・・
結局息子のショーンはどうなってしまったの?という問いには本編中に結論は出ていないが、
アガサが死者の魂になぞらえて含みを持たせた語りがある。
ただし予知しているわけではないのでどれだけ意味があることなのかはよくわからない。
誘拐があったのか?犯人に該当するものがあるのか?やっぱり殺されたのか?
全てを明かさずに幕を引くやりかた、場合にもよるがこの映画ではアリかなと。スピルバーグらしいと云えばらしいね。