2.写真の世界では有名な人なんだそうで、そういえば日本でも浅井慎平さんが誘拐ものの映画『キッドナップ・ブルース』ってのを撮ってたけど、これも少女が心を病んだ人にさらわれちゃう話。カメラマンと被写体の関係に、そういうものに興味を惹かれる何かがあるのかとも思うが、まあ偶然でしょうな。自分の映像術に自信があるようで、そっちで見せていこうという映画らしく、あまりシナリオを練ったようには見えず、雨に森に水と、それぞれの場面は美しい。でもそれでは『シベールの日曜日』は生まれないわけで、いささか退屈だった。映画ってのは、カットとカットの間に生れてくるもんなんだなあ、とつくづく思った。ただこのころは本作も含めて「車に置いてきぼりにされかける人物」を続けて見ており(『愛を止めないで』『ピストルと少年』)、それにはなぜか映画ならではのスリルを感じるんだ。