1.ニューシネマ全盛の頃に作られた、冬季オリンピック映画。時代が時代だけに、爽やかというより相当シニカルでヒネくれてます。何よりレッドフォードが快演するスキー大回転の選手が、自信家で自分勝手な、イヤな奴なんですよ。で、ジーン・ハックマンのコーチと対立しながらも、アメリカチームを勝利に導いていく…かどうかは、ナイショってことで。マイケル・リッチーの演出は、淡々としたドキュメンタリー・タッチの画面とエッヂの効いたカッティングがめちゃくちゃクール! 主人公がアメリカの寂れた町にある実家へ立ち寄る短い場面に、この男の野心と孤独をさりげなく観客に分からせるあたりの語り口も見事です。何だか世間的には無名っぽい作品だけど、ガキ(や、その程度の精神年令のガキオヤジ)がはしゃぎまくるノーテンキなスポーツ映画にうんざりしている向きに、自信をもってご推奨いたしましょう。