1.《ネタバレ》 第二次世界大戦でドイツが実戦に投入した秘密兵器V1号(飛行爆弾)V2号(弾道ミサイル)をめぐって繰り広げられる攻防戦を描いたアクション映画。物語は史実を巧みに取り入れて、前半三十分はドイツ側の視点で秘密兵器開発の過程を詳細に描いています。新兵器に勘付いた英国はジョージ・ペパードら三人のスパイをV2号開発工場に潜入させます。この辺りから創作されたスパイストーリーになるのですが、その工作員たちや周辺の人物が無慈悲な運命に陥るところは、いかに英国製アクションものらしさが出ています。製作はイタリアの大プロデューサーのカルロ・ポンティなのですが、こいつが実はとんでもないはったりをこの映画でかましてくれるのです。タイトル・ロールは彼の奥さんであるソフィア・ローレンなのですが、本編が始まってもなかなか登場しません。40分たってやっと画面に現れるのですが、わずか15分であの世に召されてしまい、ハイ、お疲れ様でした。この映画のS・ローレンは、映画史上で出演時間が最も短いタイトル・ロール俳優としてギネス・ブックに申請したいぐらいです。J・ペパードはいまいち影の薄い俳優ですが、S・ローレンの後にタイトルされてはさすがの彼も怒ったのでは。というわけで、この映画は下手な脚本のせいか登場人物やエピソードのつながりが悪くて、なんか奇妙な印象が残ります。ラストは『ナバロンの要塞』を彷彿させる秘密基地大爆破シーンで、ミニチュア・ワークを駆使した特撮は結構迫力ありますが、なぜか合成シーンがお粗末なのが残念でした。