38.《ネタバレ》 藤沢周平の原作は未読です。久々に骨のある、しっかりとした時代劇を見た気がします。キャストにごり押し感がなく腰を据えてみることができます。本来当たり前のことですが・・・主要キャストいいですね。豊川悦司、吉川晃司の両者がこれだけ渋い味を出せるとは。バカ殿(村上淳)も雰囲気出ています。岸部一徳は相変わらず安定してます。池脇千鶴の純朴一途な役はどちらかというと見た目相応で、もうちょっと変化ある役をやらせたほうが面白いと思うのですが、まあこれはこれでよいでしょう。話もシンプルで無駄がなく、キャラクターの立ち位置もわかりやすく整理されています。志からすれば、むしろ手を組むべき者同士が、立場上、命をかけて剣を交えなければならないところに、侍(さぶらうもの)の悲哀を感じました。映像も落ち着いていて、信念を貫く侍たちの姿を損なわないものでした。 【camuson】さん [地上波(字幕)] 6点(2023-09-05 20:09:34) |
37.《ネタバレ》 生きるのに不器用な剣の達人が政争に利用されてしまうというプロットはあちこちで見ますね。今作の「鳥刺し」は、映像を見る限り、瀕死の状態で油断した敵を、刀を投げて倒すというものですが、重傷を負っても利き手が無事という前提なので、ちょっと無理があると思いました。 【次郎丸三郎】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2021-08-08 01:02:24) |
36.《ネタバレ》 藤沢周平の「隠し剣」シリーズの一篇を映画化した平山秀幸監督の時代劇。山田洋次監督以外の藤沢周平原作映画を見るのは初めてだったが、かなり本格的な時代劇でなかなか面白かった。打ち首覚悟で藩主(村上淳)の側室(関めぐみ)を斬殺したトヨエツ演じる主人公・兼見の処分がなぜ軽かったのかという点は最後まで興味を引くし、この主人公の生き様とでも言おうか、それを描いたドラマとしてもよく出来ていると思う。この兼見と吉川晃司演じる別家との対決、およびその後の大人数を相手にした決闘シーンがすごい迫力で、最近はCG処理されることの多い流血シーンを血糊で撮影したりしていてかなり気合が入っていてこれぞ本物の時代劇という感じがした。そして最後に兼見が繰り出す必死剣 鳥刺し。先ほども書いたように最初、側室を殺めた時点から死を覚悟しているような兼見だが、この技はまさにそんな兼見の執念がにじみ出ていて本当にすごかったし、兼見を利用するだけしておいて側室同様に道理に反することをし、結局は鳥刺しによって命を落とした家老・津田(岸部一徳)や最初に兼見に殺された側室の最期は兼見とは対照的でなんとも皮肉めいている見事な結末だった。最後のシーンが来るはずのない兼見を待ち続ける里尾(池脇千鶴)というのも余韻を残すうまいラストシーンだった。ただ中盤あたりに兼見と里尾の濡れ場があったのは余計だったかな。それに岸部一徳を時代劇で見るとたいがい悪役なので意外性に乏しく、側室役の関めぐみもわかりやすすぎる悪女でちょっと残念。とはいえ、トヨエツを時代劇の主役で見るのは初めてかもしれないが、静かな抑えた演技で味のある演技をしていてとても良かった。それにかなり久しぶりに見た平山監督の映画だったが、また平山監督の映画に興味がわくにじゅうぶんな出来だったと思う。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2020-12-14 17:48:02) (良:3票) |
35.《ネタバレ》 誰か上様を切ってください。胸糞悪くて仕方ないです。 『上様』『家老』『側室』の三大悪。この3人にそれ相応の報いを受けさせてこそ溜飲も下がるというもの。 連子を切り捨てるシーンも冒頭ではなく中盤くらいのほうが良かったのでは。冒頭でいきなり切り伏せ、物語は『何故兼見は連子を切ったのか』のミステリー仕立てでスタート。当然鑑賞者の興味はそこに向きます。中盤、連子に仕えていた出家した女性が『兼見様にお会いしたら聞きたいことがございました。何故連子さまを殺められたのですか』と尋ねるシーンのおまけつき。そこを明らかにしないというのはミスリードというより反則ではないだろうか。 また、別家の帯屋と兼見が切りあうクライマックスは見応えはありますが、どちらも正義なので、どのような結末になっても悲劇。とゆーかこの二人が家老の手の平で踊らされていたかと思うと腹が立ちます。 私は小さい頃『暴れん坊将軍』やら『水戸黄門』やら『遠山の金さん』やらを見て育ったので、どうしても時代劇には勧善懲悪を求めてしまいます。そーゆーわかりやすいもの、爽快な結末を期待する人にははっきり向かない映画。 ただ映画としてはもはや完成されていて、キャストも演技も良く、所作は美しく見応えがあります。 連子の横暴ぶりを見せる前半、そして悲劇の終盤は盛り上がりますが、中盤がやや中だるみ。また、悲劇を強調したかったのでしょうけど、兼見と里尾の恋愛は不要。 【たきたて】さん [DVD(邦画)] 6点(2020-12-14 02:39:10) (良:1票) |
34.もっと短い映画になったよね。なんで時代劇ってこんなにもさっとしてんのかね。 【センブリーヌ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2020-02-15 13:55:17) (良:1票) |
33.主人公、兼見三左エ門をどう描きたいのか最後まで分からなかった。 苦悩や我慢をアップやしぐさで表現しても良かったのでは? 豊川悦司さんの存在感、寡黙なさま、殺段、どれも素晴らしかっただけに残念。 そして、吉川晃司さんも超クールでカッコ良く、作品を盛り上げていた。 クライマックスは見ごたえ充分、記憶に残る。 【たんぽぽ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2019-01-25 17:19:51) |
32.《ネタバレ》 最初に側室、最後に家老が殺されますが、やはり武士というものは藩主を討ちにくいものなのですかね。原作を読んでいませんが、必死剣そのものがよくわかりませんね。いくつか違和感ありましたが、ラストの余韻がいい感じでなかなか面白い映画でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-31 12:36:37) |
31.《ネタバレ》 終始凡庸な話だなと思って観ていたのですが、終盤の殺陣から必死剣披露するところまで実に見応えがあって良かったですね。普通、時代劇のチャンバラというと、1シーン1シーンを長めにじっくり見せるパターンが多いのですが、本作はいろんな角度から撮影してそれを編集でつなぎ合わせているという、なかなか高度な作りになっております。そんで首から出る血しぶきとか、鬼気迫る表情とか、少しずつ切られて弱っていく主人公とか、実に生々しくてぐっとくるものがありましたねぇ。ただ、あんだけ大人数いるわけだから、わっとかかればすぐに倒せるやんとか思っちゃうんですが、そういうツッコミは下衆なのでしょうかね。間違いなくトヨエツの代表作だと思います。 【あろえりーな】さん [地上波(邦画)] 6点(2014-02-18 22:51:17) |
30.別家の吉川も主人公トヨエツもよかったです、控えめでいて目力がはんぱないですね。必死剣については疑問が残る(成功する確率やいかほどか、練習している時点ではきっとわからなかったであろう点などなど)が、いい緊張感が保たれて、余韻が残る1本でした。 【HRM36】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-01-20 11:51:09) |
【マー君】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-12-01 00:30:41) |
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28.連子を殺めた背景やその後の苦悩がちょっと弱すぎるし、里尾との関係も中途半端。結局最後の必死剣を見せたかっただけか。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-05-26 17:48:58) |
27.《ネタバレ》 いやー面白かったです。鳥刺し。とりもちで雀つかまえるシーンが伏線に なってるのね。しかしあんな無能な殿様じゃ公儀隠密が内偵して、藩が取り つぶしの憂き目にあうってのが当時相場なんじゃないんかい? って思いながら観てしまった。池脇さんは良いです。 【かれく】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-05-19 22:47:52) |
26.2013.05/05 鑑賞。ゆったりした展開でオーソドックス 華やかさも軽快さも心地よさも無い。かなり控えめな演出もクライマックスにはタガが外れた感じ。でも必死剣の意味が解る。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-05-13 22:11:17) |
25.《ネタバレ》 「鬼の爪」も「武士の一分」も最低な出来としか思わなかったので、これも期待していなかったんだけど、何と予想外に良い内容だった。●豊川悦司って、こんなに落ち着いた芝居をしてたっけ?と驚き。池脇千鶴って、こんな可憐なキャラクターを表現してたっけ?と驚き。冒頭にいきなりキーポイントの刃傷をずばり持ってきておいて、あとは本筋と回想を織り交ぜる構成も巧い。あと、あまり時代劇では注目されることのない、「閉門蟄居」の具体的作法をきちんと描写しているのもポイントが高い。●クライマックスはちょっとしつこいくらいなんだけど、緊張感は維持されているし、文字通り「必死」の状態を表すには、あれくらい必要なんですね。主題に忠実な表現です。●ああそれなのに、エンディングテーマはとにかく最悪。こんな使われ方をしたら、歌手の方がかえって迷惑なのではないかと思うが、そういうことは誰も考えなかったのかね。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-05-06 23:58:40) (良:1票) |
24.《ネタバレ》 殿様の側室を殺して、たいした罰を受けない。裏に何かあるはずだけど、そんなことより、なぜ側室を殺したのかに興味が湧く。それを台詞では語らずに、側室の無軌道な我儘をぶりを見せて、殺されても仕方ない理由を説明する。それは分かったが、普通は殺さない。だから今度は主人公の人柄に興味が行くのだけど、やはり主人公は何も語らないので、「天誅」に及んだ心理は想像するしかない。 この「語らない」を良しとするかどうかが、評価の分かれ目かなと思います。作品の文体で「武士は多くを語らず」を体現している。それも分かるんだけど、私は「天誅」を決断した瞬間の主人公の心の動きに興味がありました。「死の覚悟」と同義ですから。残念ながら、そこはスルーして、ラストの斬り合いになだれ込んで終わってしまいます。斬り合いが凄まじかっただけに、その前後でストーリーが分断されている印象で、少し消化不良感が残りました。 あの「必死剣」ですが、死んだフリが上手いってことなんですか? それとも、死後の筋肉の反射行動を操ってるってこと? どうせなら家老では無く、殿様を鳥刺しにしてやれば良かったですね。 もうひとつ。「背中を流す」ってイイなぁ。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-10-28 08:40:00) (良:3票) |
23.《ネタバレ》 原作未読。しかしながらしっかりと藤沢ワールドにはなっていた。ただ、主君の側室を殺めた立場でありながらそこに居る不可思議さと、正しいはずの別家と切り合うまでの過程をもっと丁寧に描けなかったろうか。とてももったいない。 【monteprince】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-04-05 01:09:52) (良:2票) |
22.《ネタバレ》 兼見と別家の対決、及び多数の家臣たちとの中庭での戦い。剣捌きの良し悪しは素人には判別できませんが、兼見の気迫は伝わってきました。執念が、兼見を家老の下まで辿り着かせたのだと思います。下げ尾を切り落とし、口に咥える演出も冴えていました。必死を表現し、かつ鞘も必要無いという覚悟の表れ。“鳥刺し”とは相手の柄に切先を差し込む技術をさし、“必死剣”とは自らの命と引き換えに相手を絶命せしめる剣と理解しました。兼見という捨て駒を上手く利用しようとした家老。キレ者です。思惑通りに兼見は別家を退けました。しかし家老は人間の心を軽んじ過ぎました。組織にとっては駒であろうと、一人の人間。その矜持の高を見誤ったが故に、家老自らも命を落すハメに。保科は言います。連子が居なくなっても藩政に改善はみられないと。連子を殺めた時点で兼見は命を捨てる覚悟だったのですから、最期に藩最大の癌を取り除く事が出来たと考えれば、救われるというものです。あとは無能な君主が早期に隠居することを祈るのみ。人の命を奪うという事は、自らも同じ事をされても構わないということ。その覚悟は必死剣の理念にも通じます。道理を無視した連子と家老は報いを受け、兼見は道理に従ったという結末でありました。気がかりは里尾。傍からみれば縁談を進めていた方が幸せだったように思えますが、果たしてそうでしょうか。幸せの価値は本人が決めることです。少なくとも里尾はその意思を持っている女。兼見が迎えに来るとの約束を果たせぬであろう事は、最初から分かっていたはずです。でもその思いが嬉しくて、でも切なくて、彼女は泣いたのだと思いました。兼見の忘れ形見と共に、彼女は生きていく。ただ願わくば、思い出の中を生きるのではなく、今を、これからを、生きて欲しい。兼見もそう願っているはずです。正直トヨエツがこれほどやるとは思っていませんでした。殺陣もさることながら、実直な侍役がよく似合っていたと思います。トヨエツは現代劇よりも時代劇の方が向いているのでは。鑑賞済みの藤沢周平原作映画の中では『たそがれ』以来久々に満足できた作品でした。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-03-16 20:21:53) |
21.《ネタバレ》 丁寧な作りの本格時代劇。必死剣、自分的には有りです。ラストに繋がる過程など練られていて良かったです。池脇千鶴とのあの展開は少し納得がいきませんが、妙に色っぽいと思ってしまった。原作では剣を極めた話や主人公の感情についての説明もあったのかな?少し気になります。日本映画でしか感じることの出来ない満足感はありました。 【ラグ】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-02-06 22:07:14) |
20.《ネタバレ》 打ち首覚悟で藩主の側室連子を殺めた兼見三左エ門だが、処分は信じられないほど軽かった。津田民部の話では「上様は以前の事を悔いていた」との事だが、許されたのかと言うとそうでもなく「顔も見たくない」だそうだ。なかなか興味を引く話だが、これが思ったほど面白くはならない。主人公が静かなのは侍らしいとも言えるが、もっと苦悩する姿であったり、息が詰まる感じだったりを見せてくれても良かった気がする。淡々としすぎかな。刀を持った吉川晃司が乗り込んできて、これを豊川が迎え撃つというあたりからはそれなりに盛り上がるし、面白かったのだが、全体としては微妙な感じ。池脇千鶴とのああいうシーンも個人的には不要です。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-12 18:32:22) (良:1票) |
19.《ネタバレ》 兼見三左エ門へ感情移入ができませんでした。人に見合いの相手として里尾を紹介しておいて、結局は自分でおいしくいただいてしまう。正義のために主君の女を斬ったのに、今度は主君を守るためとはいえ、別家をあっさり斬ってしまう。これは当時時代の風習なのかもしれないけど…。ただ、殺陣のシーンではあんなに斬られても何度も立ち上がるさまはコントでした。息絶えて繰り出す必死剣は、コミックですね。豪華な役者と素晴らしい演技だったのですが、私には向いてない作品でした。 【おやじのバイク】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2012-01-07 13:43:42) |