2.予想した展開を軽やかに裏切りつつ、納得のハッピーエンディングに収めてしまうシンプルな脚本の良さもさることながら、ストーリーそのものよりもその軽妙洒脱な映画的組み立て方こそがルビッチ作品の魅力だ。
時間経過を記す冒頭のランプや、王女の衣装の変化を簡潔に表すオーヴァーラップのスマートさ。
ミュージカルでありながら、屋敷内の会話を窓外から捉えたサイレントの1ショットの挿入によってアクセントをつけドラマに引き込んでいくテクニックの鮮やかさ。
階段の登り降りやドアの開閉が存分に駆使され、映画に様々なリズムを刻む。
そして、二人の女優の引き立て方が断然素晴らしい。
クローデット・コルベールと、ミリアム・ホプキンスが互いにビンタし合う後半の対決シーンからの流れは、特に二人の魅力が存分に引き出されている。
ハンカチーフを介して共感し、共にピアノを弾きデュエットし合う二人。
王女にファッションを指南すると、振り返ることなく別れを告げ去っていくコルベールの後姿のショット。
セクシーに変身したミリアム・ホプキンスが煙草をふかしながら艶やかにピアノ演奏し、モーリス・シュバリエに視線を投げるショット。
最高にカッコいい。