2.《ネタバレ》 キンスキーの演技力の凄まじさをより味わう作品。
一兵卒に徹するキンスキーは、いつもの野獣のような獰猛さがこの作品には無い。
上官に踏みつけられるキンスキー。それでも彼は反抗しない。
あろうことかマッドサイエンティストのような軍医の実験材料にまでなって“小銭稼ぎ”だ。
ヴォイツェクは散々だ。それでも、この男はひたすら耐えて耐えて耐える。
その怒りを耐えているキンスキーの表情が凄い。
上官、軍医も、みんな噛み合わない意味不明なやり取りを繰り返している。
そんな彼らを、ヴォイツェクは人間の本質をツクように語る。
一見何の抵抗もしない、頭も空っぽではないのかという彼がだ。物事の考えを上手く表現する学もない、聞いてくれる友達もいない。
それを口に出せない苛立ちが積もり続ける。
そんあヴォイツェクの心を唯一和ませてくれる愛人のマリーと子供。
ヴォイツェクの笑顔がそれを語ってくれる。
マリーもまた、鏡に映る自分を見て残念そうなため息を付く。
それでもヴォイツェクを襲う悲劇。
堪忍袋も限界、ブチ切れたヴォイツェクはダムが決壊するように、獣が理性を失うように“ブッ壊れる”・・・!