41. 探偵物語(1951)
《ネタバレ》 9割方が21分署内で繰り広げられる刑事たちと犯罪人たちの群像劇は個々のエピソードが繋がってゆく見事な脚本で見応え充分。罪には罰を、犯した罪は償う。当然の事であって、マクラウド刑事の姿勢を支持するものの、結婚前のメアリーの過去を罵る「ちっちゃい男」ぶりには幻滅。チャーリーに素手で立ち向かうラストに、信念を貫くのとこの世への絶望感が入り混じった、他の生き方が出来ない男の哀れさを見せつけられ胸が詰まる。カーク・ダグラスはドンピシャのキャスティング。リー・グラントはほんわかとした存在感だったものの必要な登場人物だったのだろうか疑問が残る。邦題は鑑賞史上屈指の誤訳。 [DVD(字幕)] 8点(2019-01-13 22:17:25) |
42. 太陽は光り輝く
プリースト判事。冴えない見た目の飲んだくれが人を裁けるのか、やたらと陽気な音楽、ハズレだったかと思いました。しかし、「人間の尊厳は肌の色や職業に関係ない」譲れない思いは何があっても譲らない二つのシーンにひれ伏しました。とりわけ後のシーンの演出は鳥肌もので、将軍の胸中を想像すると泣けてきそうになりました。「怒りの葡萄」「わが谷は緑なりき」「周遊する蒸気船」に続く鑑賞となった本作も監督特有の骨太さに感じ入った傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2018-08-17 09:23:24) |
43. 大地震(1974)
《ネタバレ》 登場人物それぞれのドラマが交通整理された脚本による起承転結に無慈悲に襲い掛かる天災(アカデミー視覚効果賞受賞も納得の都市崩壊模様は息を呑む恐ろしさ)が入り混じるパニックものの傑作。気骨ある男達(社長、ルー、スチュアート)はロブソン監督作キャストに相応しい。濁流に落ちたエヴァ・ガードナーと上にいるジョヌヴィエーヴ・ビュジョルドとの間で数秒間逡巡するチャールトン・ヘストンの姿が堪らなく(この表情にプラス1点)予感通りの彼の選択と二人の結末は監督ならではのもので、見殺しにしてする後悔に耐えられなかったのだろうと思うと切なさがこみ上がってきます。 似てるなぁと思ったのが本人だったウォルター・マッソーの役柄について詳細を知りたいものです。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-04 16:03:35) |
44. 脱走特急
《ネタバレ》 一瞬も目が離せないスリル満点の物語でフランク・シナトラ、トレヴァー・ハワード、ウォルフガング・プライス、オリアリ大尉、コンスタンゾ大尉それぞれ味わい深いキャラクー達が輝いていました。とある所でライアン大佐が死ぬ事を知ってしまった上での鑑賞が何とも残念ですが、最後の一歩が踏めなかった全力疾走に鳥肌が立ち、ラストの台詞に涙が止まりませんでした。脚本・演出・撮影共に一級品で「大列車作戦」と並び称される傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-06-16 23:01:31) |
45. 太陽の中の対決
《ネタバレ》 「白人は助け合うのよ」と言いいながら先住民は虐げてきた。ペラペラ喋る女性に対するポール・ニューマンの淡々とした言動の端々に窺える憤りに寒々しさを感じる。hombreとしての最期も寒々しかった。フレデリック・マーチとの絡みが物足りないのがとても残念。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-31 20:56:44) |
46. 大空港
二組の不倫カップル、タダ乗り婆さん、爆弾犯と妻、それぞれもう少し掘り下げられていたら傑作となったでしょう。窮地に遭っての神父さんの「私に出来る事はありますか」に感服し、我が身可愛さだけの身勝手男に見舞った裏拳の一撃にアメリカ魂を見せてもらった。往年のパニックものの秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2017-12-15 02:57:35) |
47. 第十七捕虜収容所
描かれる捕虜収容所生活は、捕虜達は愛国心に溢れるでもなし、独軍は管理者としての厳格さはあるものの陰惨さはなし。更に密造酒、鼠レース(爆笑)、覗きの行列(「早くしろ!俺の順番には婆さんになってしまう・・・」爆笑)、チョビ髭達の「ジーク・ハイル!」(爆笑)、大量の煙草、等々実に能天気なもの。オスカーを逃したのが残念なアニマル役のロバート・ストラウスに大笑いさせられる。スパイが判明する件から結末までは一転して手に汗握る緊張感に包まれる。孤高を貫く男(渋すぎる)セフトンの言うとおりあれしか方法はないにせよスパイの最期に息を呑む。ユーモアと非情さの塩梅が絶妙なワイルダー監督の名人芸をいつも通りに堪能させてもらった快作。 [DVD(字幕)] 8点(2017-11-05 09:51:09) |
48. 大列車作戦
《ネタバレ》 操車場の爆撃、単機による列車掃射、機関車の衝突、全てのシーンが臨場感に溢れる息を呑む迫力で撮影の困難さが想像出来ます。 「わが命つきるとも」で信念を貫き通したポール・スコフィールドが演じる悪役は、絵画に対する異常な執着心を持ち、やはり偏執的な信念を貫き通しておりました。一言の抗弁も許さぬ無言の目力に見惚れてしまいナチス式の敬礼までかっこいい。バート・ランカスターとの最後の対決は圧巻。盗人猛々しく価値観をまくしたてる威風堂々とした大佐に無言で引き金を引くラビッシュ。転がる多数の木箱と多数の射殺体が戦いの虚しさを漂わせます。傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2017-10-15 01:07:45) |
49. 007/スペクター
哀切感に満ちた主題歌に圧倒されるも、プロフェルドとボンドの因縁、プロフェルドの企み等、お話のレベルが曲と不釣り合い。残念。 [DVD(字幕)] 6点(2016-04-26 01:19:27) |
50. 大統領の執事の涙
《ネタバレ》 与えられた環境で全力を尽くし職を全うした父。与えられた環境を変える事に心血を注いだ長男。意志を貫いた者同士が最後に分かり合えた事が感慨深い。僅か50年前に繰り広げられた惨劇は目を覆うもの。オバマ大統領就任に夢を形にする偉大さを思わされます。 [DVD(字幕)] 7点(2014-08-23 10:47:41)(良:1票) |
51. 黄昏(1981)
初見。詩情溢れる湖の景色が脳裏に焼き付く作品です。ペラペラ喋りまくるキャサリン・ヘップバーンは元来苦手ですが今作は抑制されており嫌悪感はありませんでした。ヘンリー・フォンダがポツリポツリと吐く言葉に、老いての衰えは誰にも必ず訪れる事を突き付けられます。父と娘が抱擁を交わす姿に、父への憎しみが消えたのに亡くなるまで一度も抱擁どころか握手することもしなかった悔いが押し寄せてきました。 [映画館(字幕)] 7点(2014-08-03 23:57:27) |
52. ダイ・ハード/ラスト・デイ
異国の地で暴れまわる親子。組織の体を成していないその戦いぶりは派手で不死身であればあるほどドン引きしていきました。チェルノブイリを引っ張り出したいが為のロシアという舞台設定も放射能の無神経にも程がある描写に呆れ果てます。ハンス・グルーバーを彷彿とさせるシーンに、あの名作が今では見る影もない有様である寂しさと、こんな出来でダイハードを名乗る厚顔無恥さへの怒りを味わいました。 [DVD(字幕)] 2点(2013-08-02 01:48:34) |
53. 断崖
《ネタバレ》 私の嫌いな舌先三寸男を見た目爽やかなケーリー・グラントが演じているものだから、「これでもかっ!」というくらい神経を逆なでさせられました。本性を剥き出しにしてリナを断崖から突き落とそうとするも間一髪のところでかわされ自身が転落死・・・私の確信はハズレ。なるほどそう来たかと呻らされるハズレでなく、なんじゃそりゃとずっこけるハズレだったのが残念でした。 [DVD(字幕)] 6点(2013-02-07 23:36:25) |
54. 007/スカイフォール
《ネタバレ》 前2作のダニエル・クレイグ版ボンドは駆け出し諜報員の粗野で荒削りな所に好感を持ちました。今作に頭が混乱しています。スパイは時代遅れと語られているので現代の話のようですが、彼は洗練されていない。おまけに衰えている(老いなのか、心身のダメージなのか?)007の魅力が皆無なのはいけません。悪役の目的がMへの意趣返しでMのお命頂戴!なのもいけません。そのクールビューティのMの焼きが回った姿(再試験不合格を黙認)が最もいけません。スカイフォールの攻防は気持ちはすっかり醒め、長尺の疲れを感じながら眺めていました。期待外れでした。 [映画館(字幕)] 5点(2013-01-04 18:28:45)(良:1票) |
55. タクシードライバー(1976)
《ネタバレ》 初見。期待外れ。帰還兵、独りぼっち、荒んだ街。トラヴィスの心情を思わせぶりに描いていますが、単なる狂人。その無軌道ぶりは狂気がなせる業と多少は理解出来るものの、ラストでいけしゃあしゃあと運転手に戻っているのに唖然茫然。一瞬アレは彼の妄想だったのかと思いました。3名を惨殺した者を英雄扱いする新聞記事(大統領候補が殺されていたらどんな記事になっていたのか)と共に、狂気を描いた作り手のほうがよっぽど狂っていると感じました。 [DVD(字幕)] 2点(2012-04-15 14:00:47) |
56. 第9地区
特筆すべきはあまりにも汚ならしい映像。吐き気に何度も見舞われ、その都度一時停止ボタンを押す羽目に。こんな事初めて。ただのスプラッターじゃないとばかりの舞台設定及びヒトとエイリアンの交流も思わせぶりなだけで、力だけが正しいという展開に少しも盛り上がれませんでした。観た事を忘れたくても記憶から消えないであろう作品でした。 [DVD(字幕)] 2点(2012-02-26 01:45:27)(良:2票) |
57. 007/美しき獲物たち
《ネタバレ》 初見。ユア・アイズ・オンリーを超える私的 best of 007。一片の情を持たぬゾーリンと、持っていたメイデイ。悪役好きの私のツボをこれでもかと刺激してくれたシリーズ最上の悪役に惚れ惚れしました。見どころたっぷりのアクション(スタントであろうが何だろうが)シーナ・イーストンと甲乙つけ難い主題歌。ロジャー・ムーアのボンド引退の花道を飾ってあげたいという皆の思いが察せられた作品です。 [地上波(吹替)] 8点(2011-06-25 18:52:58) |
58. ターミネーター3
2>1>3。2で止めておくべきでした。 [DVD(字幕)] 4点(2010-11-08 22:10:29) |
59. 007/トゥモロー・ネバー・ダイ
線が細いながらも、偏執狂的な雰囲気が漂うジョナサン・プライスに3点。彼に揶揄されていたカンフー・お姉ちゃんのミシェル・ヨーは、何一つとして魅力を感じないボンドガールとして記憶に残っています。 [ビデオ(字幕)] 3点(2010-05-02 15:20:26) |
60. 007/ワールド・イズ・ノット・イナフ
ロバート・カーライル演ずるレナードがしょぼい中年オヤジにしか見えないのが致命的であり、エレクトラ、Mも中途半端な役どころで物語が盛り上がりません。ただ、エレクトラを制裁するボンドの姿から、「慰めの報酬」「カジノロワイヤル」の駆け出し諜報員から積み重ねた年期を感じられたところに2点上乗せとします。 [DVD(字幕)] 5点(2009-12-21 21:25:54) |