1. LOOPER/ルーパー
《ネタバレ》 序盤、けっこうな時間を費やして世界観を解説する。全てに納得する訳ではないけれど、決定的な齟齬を感じることもない。映像の端々に映る芸の細かい設定に期待が募った。タイムトラベルによる未来や過去への移動に主眼を置かず、ただの殺人手段にしているところが面白い。TKと呼ばれる念動力はストーリーに対する必然が乏しく、専ら視覚を盛り上げるための設定だったと思うが、その効果はあった。小僧が暴走するシーンは「AKIRA」なんかを彷彿した。ということで、SFとしては良く出来た部類に入ると思うんだけど、観終えた充足感がイマイチでした。登場人物に共感できる余地が少ないからだと思う。主人公は殺し屋で、ある時点から30年の寿命を覚悟している。気怠い諦観を抱えたような生き様が良く分からない。自分の命が危ういとはいえ、未来の自分を殺そうとする姿勢も釈然としない。妻の復活に躍起になる熟年主人公の大暴れには、殊更に身勝手を感じた。また、ラストは負のループを断ち切ったように見えるが、ルーパーによる暗殺の仕組みを温存したとも取れる。タイムトラベルものって時間を越えて「因果」をオチにするが、念入りな設定の見返りとして、全ての「因果」にケリを付けられなかったという印象です。 [映画館(字幕)] 6点(2013-01-30 11:00:32) |