1. ロイドの人気者
《ネタバレ》 ロイド作品の中では一番好き。彼の映画は、ネタに関しては当たり外れが少ないんだけど、「ロイド」というキャラクターを活かし切った作品は以外に少なかったりする。お調子者のロイドが最後までお調子者のままハッピーエンドを迎える(『要心無用』)か、徹底的に打ちのめされてもなおハッピーを求め続ける(『ロイドの英雄』)かの違いだと思う。チャーリーやキートンと違い、ロイドというキャラクターにはスラップスティックの枠を越えた「人間性」を感じさせるのだ。そういう意味で、本作は後者のロイドを完璧に演じ切ったサクセスストーリー。多分「新入生」という立場が、ロイドの魅力にマッチしたんだろう。この映画でヒロインとの間に結ばれるのは愛ではなく淡い恋心。この時のロイドは今までのマドンナだったミルドレッドとリアル新婚ホヤホヤ状態で、本作のヒロインはいつもとは別のジョビナ・ラルストン(大学モノの定番、大家さんとこの娘さん。内気っぽい演技がグー!)。舞台は男臭さ満点のラグビー部。当然、恋にもスポーツにもヘナチョコなロイドの魅力爆裂だ。しかも今回のロイドは大学に疎い「新入生」で、自分の人生がお先真っ暗である事に一向気付かない(ここが、最初から計算高くてセコさ100%な『要心無用』のロイドと決定的に違う)。クライマックスで自分が笑い者の道化になっている事にやっと気付き、ガッツで挽回…という展開だが、普通なら中盤に持ってくるはずのストーリー転換点をギリギリまで引き伸ばしたおかげで、クライマックスのアクション爆裂度はビル登りシーンのソレどころではない。終わり方も終盤の勢いをうまく利用して、ほのかな恋が実る瞬間を描いてキレイに落としてくれた。サイレント時代の末期作品にあたる本作は、既に完成した「ハロルド・ロイド」というキャラクターを活かし切るべく立てられた企画なのだと思うし、ただ一片のパーツも蔑ろにせず、その目標に向かって徹底チューニングされた「ニッケルオデオン時代の最高級の職人芸」なのだ!と断言しよう。 9点(2004-12-04 00:41:27) |
2. ロケッティア
ディズニーって、戦時中は『バンビ』での精密なデッサン力を活かして、戦闘機の飛び回る、戦争バンザイな戦意高揚映画を作ってたんだよね。体質的に右寄りなのも創業者ウォルトの頃からだし(ただし国家事業と自作の芸術を天秤にかけると、自作の方が勝ってたらしい)。なんで、この映画は過去のディズニー自身に目を向けたセルフ・パロディに当たると思ってます。ディズニーを深く知ってれば面白そうな場面が多々あるんだけど、コッチはシロウトだからお構いなしの低得点です。 3点(2004-03-15 01:31:36) |
3. ローラーボール(2001)
ここまで徹底して評価が低いと、8点(2004/3/14 7点に変更)つけるのも勇気がいるなあ…好きですよ、ええ。旧作の煮え切らないラストを、無理は承知で勧善懲悪してくれたぶっ飛び方、そのソウルに脱帽します。オリジナルにはない埃っぽさと荒っぽさ、「所詮駄作なんだから」という開き直り方。みんなひっくるめて好きですね。消化不良だった旧作に怒りを覚えた人にしかわかってもらえないのは承知ですが。ただひとつ、注文をつけるとすれば、前作みたいに東京ツアーもしてほしかった…。 7点(2004-03-15 00:58:49) |
4. ロイドの要心無用
彼の代表作だと言うのは知ってるけど、ロイド作品の中では好きじゃない方。ハロルドお前、要領良すぎじゃないか…? 『ロイドの英雄(Grandmother's BOY)』の続編で、愛するミルドレッドを故郷に置いてきたばかりなのに、前作とあまりに人格変わってないか? あと、これは言ってはいけない事かもしれませんが…ビルダリングのシーンは一部、背景のビル群と陰の方向がズレてますぞ。真上からの俯瞰ショット以外はスクリーン背景のスタジオ撮りだと思うっす。 4点(2004-02-22 18:43:19) |
5. ロイドの牛乳屋
ロイド作品の中でもかなーり好きな方。派手なアクションは少なく、シチュエーションで笑わせるシーンが多い。ロイド作品は全般的に、他の喜劇俳優に比べてカメラワークが凝ってるんだけど、この作品でも地味ながらカメラの遊びが見られる(最高なのは『ロイドの人気者』のフットボールシーンだけど)。 7点(2004-02-22 18:35:11) |